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2023.6.8 10:19/ Jun

人事パーソンの「副業・兼業」は今後どうなっていくのか?:わたしには「夢」がある!?

 人事パーソンの「副業・兼業」は今後どうなっていくのか?
   
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 ここ5年間くらいで、じわりじわりと広がりつつあるものに「兼業・副業」があります。業種・業態によっては「兼業・副業、それ、何の話?」という方もおられるでしょうし、都市と地方では差があるかもしれません。
  
 が、少なくとも、わたしの周囲では、人事パーソンのなかで「兼業・副業している方」、ないしは「副業・兼業に興味はもっている方」が増えてきている印象があります。
  
 兼業・副業といっても「どかーんと、セカンドビジネス、立ち上げたるけんのー」という「鼻息の荒いハード系の副業・兼業」ではありません。そういうのも全然ありだとは思いますが、実態は、夜間や週末に「大学・専門学校で教えていたり」、キャリアコンサルタントとして働いていたり、コーチングをしていたり、組織調査のデータを一部分析していたり、他の企業の研修に一部登壇したりする「ソフトな副業・兼業」です。
   
 お金を儲ける、糊口をしのぐためにやる、というよりは、自分の人生、仕事の充実のために、副業・兼業に興味をもつ方が多い印象を持ちます。
   
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 このことに関して、せんだって、同僚の田中聡先生(立教大学)、日本の人事部の長谷波さんらと、ここ二年間かけて取り組んでいるデータ(ビジネスパーソンの学びとキャリアに関するデータ)を、たまたま分析していたら(田中さんがプレゼンしているあいだ、わたしが統計ソフトでポチポチしていた)、こんなデータが出てきました(日本全体を代表するデータではありませんので、あしからず!)。
(この研究、2023年春にはダイヤモンドさんで本になる予定です。田中聡・中原淳・日本の人事部(著)「シン人事の大研究ー人事パーソンの学びとキャリア」です。編集者の広瀬さん、構成の間杉さんと、現在、ひーひー言いながら、原稿をつくっております。田中さん、毎回の会議資料の作成、本当にお疲れ様です。)
     

   
 上記は「兼業・副業しているか」に関する職種ごとのデータです(人事パーソン1500名、ビジネスパーソンは総数2000名)。ご覧いただければ、おわかりのように、
  
 「今現在、兼業・副業しているか」という質問項目に関しては、
  
 経営企画(18%)>人事(13%)>広報>営業>商品開発
  
 の順番で多くなっています。
  
 「今現在兼業・副業していないが興味がある」の質問項目に関しては、
  
 人事(65%)>広報>営業>商品開発>経営企画
  
 の順番となります。
  
 面白いですね。人事職にかぎっていえば、「兼業・副業している」+「兼業・副業」に興味がある、だけで、なんと8割近い方々が、それに該当します。 わたしがキャリアを積み始めた20年前には、考えられないことですよね・・・。兼業・副業とは、真逆の世界に、当時の人事はあったような気がします。
  
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 しかし、この20年のあいだに、人事職が「兼業・副業」に前向きになりはじめているのは、なんとなく、わかる気もします。
  
 まず人事の方は、「兼業・副業」の問題について、他の職種の方よりも、豊富な知識や関心をもっています。また、人事の職種は、意外に会社を超えたネットワークがあり、横につながっています。どこかの会社で採用をやっていたひとが、他の会社にうつることもざら。
  
 また、人事職は、勉強会や交流会が盛んで、かつ、大規模なカンファレンスも多数あり、様々な方が、そこで登壇していたり、交流していたりします。人事は、人事だけのWebメディアも、雑誌もあるのです。つまり、情報が流通しています。
  
 こと、わたしの専門とする「人材開発・組織開発」の領域に関していえば、「自社で行っていた研修」の評判がよい場合に、競合他社ではない限り、「うちでもやってよ!」となるケースは少なくありません。競合他社ではない限りにおいて、組織開発のワークショップなども登壇機会があります。定評ある方は、すぐに引っ張りだこになるのです。
   
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 今日は人事パーソンの兼業・副業のお話をしました。
  
 わたしは、今後、人事パーソンは、さらに、その仕事が高度化・専門化していくと思っています。そして、おそらくは、近い将来、人事という職で、様々な会社を渡り歩くキャリアが、今よりもずっと増えていくでしょう。わたしどもの大学院、ひとりづくり・組織づくりの大学院(立教大学大学院 経営学研究科 LDCコース)が、人事職の高度化・専門職化に貢献させていただきたいとも考えております。
 ま、実際、もうすでに、大学院生生仲間うちで、チームを組んで、ビジネスにあたっておられたり、どこかの会社の変革を兼業・副業で手伝っている方もおられます。たぶん、流動性はますます高まるでしょう。
  
立教大学大学院 経営学研究科 LDCコース
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
 
 わたしには夢がある。  
 人事の仕事を「天職」として、さらに活躍する多くの人々が、生まれる日がくることを
  
 そして人生はつづく   
    
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【ご案内】新刊「話し合いの作法」!:すべてのひとびとに、対話し、合意して、決断できるスキルを! 人事パーソンはもとより、現場のマネジャー、現場の先生方などなど「話し合い」のスキルを高めたいすべての方々にお読みいただきたい一冊です!
   

新刊「話し合いの作法」(AMAZON予約)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4569851843/nakaharalabne-22
     
 同書の内容をサクっと学べる動画も公開されています。どうぞご笑覧くださいませ!
     
■仲が良くても心理的安全性が低い残念な理由【中原淳 立教大学経営学部教授】
   

    
■“残念な話し合い”5つの病【中原淳 立教大学経営学部教授】
   

  
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【人事・採用ご担当者さまへ】御社で人材開発・組織開発のプロフェッショナルを採用しませんか?
   
立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 リーダーシップ開発コース(以下、LDC)では、経営学を基盤にしながら、次世代のリーダーシップ開発(人材開発・組織開発)を企業・組織で推進することのできる高度プロフェッショナル人材を育成しています。
  
このたび、このコースを修了した大学院生の皆さん(卒業生ネットワーク:アルムナイネットワークのメーリングリスト:アルムナイネットワークは、卒業生の自主的な活動です)に対して、企業人事の皆様が「採用情報」をお届けいただけるサイトを開設いたしました!。利用上の注意をご高欄いただき、適宜、ぜひ、ご利用くださいませ。無料で情報を送付いただけます。
   

    

    
■立教大学大学院・採用情報発信サイト■
https://ldc.rikkyo.ac.jp/recruit/
     
【立教大学大学院で大学院生として学びませんか?】
 授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。来年1月に願書提出、2月に入試が予定されています。
    
 在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
     
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
           
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【アンコンシャスバイアス研修・内製化ツールキット開発!】武蔵野大学・島田徳子先生、ダイヤモンド社の皆さん(広瀬一輝さん、永田正樹さん)との数年にわたる共同研究と、NPO法人日本ブラインドサッカー協会との連携で、スマホで手軽に受検できる「アンコンシャスバイアス測定テスト」と、内製化研修(プレゼンキット)を開発しました!。この問題は、学術的な背景などは、わたしどもが、テスト結果に基づき動画像(ビデオ)で解説させていただきます。ご利用くださいませ! ご自身の組織にもっともフィットしたアンコンシャスバイアス研修をつくることができます。どうぞご利用くださいませ!
      
  
■アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)のWebページはこちら!■
https://jinzai.diamond.ne.jp/ub/unconscious-bias/
      
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新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください! 
       
「チームワーキング研修版」リリースされました!
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
   
「チームワーキング」が「アセスメントを絡めた管理職研修」として利用されております。モニター利用各社の人事担当者の皆様、開発担当者の堀尾さんと、座談会をさせていただきました。ぜひご覧くださいませ!
   
チームワーキング座談会
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/case/index.html 
  
 書籍「チームワーキング」の方も、おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
     
    
 
https://amzn.to/3esCOrW
         
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!           
  
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立教大学経営学部 中原ゼミ4期生、ゲームなどを活用した「内定者フォローワークショップ」を共同開発! ダイヤモンド社・ダイヤモンドヒューマンリソースさまから発売中!デンソー様、東急不動産SCマネジメント様、ラインズ様、日水コン様、リリカラ様など、なんと「40社」を超える企業で、内定者研修・新入社員コンテンツの一部として、ご利用いただいております。
  
先だっては、JTさまのご協力のもと(同社の三島紀子さんに心より感謝いたします)、ワークショップの実践が記事になりました。下記をご覧くださいませ。

JTの内定者懇親会が教えてくれる、内定者同士の“つながり”の大切さ
https://xn--diamond-kc4f0b9lnf.jp/articles/-/316499

内定者の論理思考力、質問力などの工場、強みの発見、内定者同士の関係構築を、オンライン・オフラインで行えます。スライド、ワークシート、動画など完全完備。企業ごとに内製化してお使いいただけます。
     

    
立教大学経営学部 中原ゼミ、ゲームなどを活用した「内定者フォローワークショップ」を共同開発! ダイヤモンド社・ダイヤモンドヒューマンリソースさまから発売中!
https://jinzai.diamond.ne.jp/rp/prospective-employee-workshop/

 どうぞご高覧くださいませ!
    
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 職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
   

職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発) 
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
   
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【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
  
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061   
  
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【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
  
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新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
     

   
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
    
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【泣くな!新米管理職!】
  
おかげさまで10刷重版出来。「駆け出しマネジャーの成長論」は、「実務担当者」から「新任管理職」への役割移行をいかに進めるかを論じた本です。「脱線」をふせぎ、成果をだすためには「7つの課題」への挑戦が必要であることを解説しています!全国の管理職研修で用いられています。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
パーソル総合研究所と中原は、このテキストをもとにした「マネジャーになる研修」を開発しました。種部吉泰さんとディスカッションは、非常に楽しいものでした。このコースについても、どうぞご覧くださいませ!
  
「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/become-a-manager.html
    
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Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
「新人研修をアップデートするための5つのコンセプト」に基づいて開発された、中原が監修をつとめる新人研修プログラムです。全4回にわたって実施する「オンライン研修」と「現場での実践&振り返り」を往還することによって、新人期に直面する壁を乗り越え、トランジションを果たせるよう手厚くサポートできるようになっています。経験学習を習慣化するほか、ストレスマネジメント、フィードバック、ジョブクラフティングなどについて学ぶことができます。
  

Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/k00HD0024/
          
OJT指導員向け・短時間&動画で学べる 部下育成スキルの動画もございます。中原が新人育成のポイントについて解説しています!
   
短時間&動画で学べる 部下育成スキル・解説動画
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/000HD6260/

    
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新刊「研修評価の教科書」好評発売中です。アカデミックな知見に根ざしつつも、実際の企業のなかで実践可能な研修評価とは、いかにあるべきか。「企業における」研修評価のあり方を論じた本です。質問事例などのワークシートなどもついております。3つの企業事例も含まれています。どうぞご笑覧くださいませ。
   

新刊「研修評価の教科書:数字と物語で経営・現場を変える」
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新刊「M&A後の組織・職場づくり入門」発売中です。AMAZON「企業再生」カテゴリー1位を記録しました(感謝です!)。
  
これまで税務・法律の観点からしか語られなかった「企業合併(M&A)」の問題に対して、ひとと組織(人材開発・組織開発)の観点からアプローチし、シナジーを生み出す可能性を考えます。
  
M&Aという「巻き込まれ事故」に関わってしまった経営企画・人事・現場の管理者・リーダーの皆様にぜひお読み意いただきたい一冊です!
  

購入はこちら!「M&A後の組織・職場づくり入門」
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拙著「経営学習論」の増補改訂版が、東京大学出版会より刊行されました。新たに「リーダーシップ開発」の章を追加し、カバーの装いも変わっています。人材開発の基礎的な理論を体系的に学べる一冊です。どうぞご高覧くださいませ!
       

    
   

      
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「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
    

     
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「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
   

      
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