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2006.11.2 14:07/ Jun

学会シンポジウム「社会人の学習環境」の見どころ!

 明日11月3日、午後1時半より日本教育工学会シンポジウム「社会人の学習環境を創る」が開催されます。
 今日は、このシンポジウムの「見どころ」をご紹介します。
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 まず、このシンポジウムは下記の2つのゴールが設定されています。
1.企業・組織における社会人の学習環境・人材育成事例を知る
2.企業人材育成に対して教育工学に何ができるか、可能性を模索する
 1の事例をもとに、ディスカッションタイム等で2の課題に取り組むことを目的にしています。
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 本シンポジウムでは、具体的に下記の事例をご紹介します。
1.企業eラーニングの新しい開発事例を知る
2.戦略的・効果的なOJTの事例を知る
3.知識創造の場づくりの事例を知る
 まず1では、北村先生@熊本大学から「企業eラーニングの現状」「企業eラーニングを推進する人材の育成方法」をご紹介いただける予定です。
 また、新しい企業eラーニングの開発事例として、産業能率大学で開発された「タラレバeラーニング」のデモンストレーションを行っていただけます。
 タラレバeラーニングは、ロジャー・シャンクのゴールベースドシナリオ理論に基づいた、ストーリーベースの教材です。一度、BEATセミナー「ゲームルネッサンス」でもご紹介いただいたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
「ゲーム・ルネッサンス」シンポジウム
http://beatiii.jp/seminar/023.html
 ストーリーベースの教材をご覧になったことのない方は、ぜひ、本シンポジウムにお越し下さい。
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 2では、蒋先生(しょうせんせい)・リクルートマネジメントソリューションから「OJTを立て直すアプローチ」として、ワークプレイスラーニングアプローチをご紹介いただきます。
 蒋先生は、リクルートワークス研究所にて、知的資本経営、能力開発等の研究開発に従事なさってきました。
 かつて日本の企業の人材育成を支えていた「OJT」、それが機能不全に陥ったと言われるようになってから、長い時間がたっています。
 かつてないほど人材が流動するようになった企業において、どのようにOJTを復活させるのか。
 OJT、徒弟制度等に興味がおありの方は、ぜひ、本シンポジウムにおこしください。
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 3では、妹尾先生(東京工業大学)に「知識創造理論の概論」「ナレッジマネジメントの事例紹介」を行っていただきます。
 知識創造理論といえば、PM理論にならんで、日本初の理論として、経営学の文脈で最も知られている理論ではないでしょうか。提唱者の野中郁次郎先生は、知識創造の源泉を「暗黙知」「形式知」の変換においたことは、記憶に新しいところですね。

 ナレッジマネジメントの事例紹介では、
1.製品の使用現場を体験することによる研究開発者育成
(製薬企業A社の研究開発部門で実施された共同化促進)
2.新人教育の形をとった知識喪失対応
(電機メーカーB社の製造部門で実施された表出化促進)
3.イントラとオフィスの変更による社員のワークスタイル改革
(C社の情報技術部門で実施された連結化促進活動)
4.高業績者によるマニュアル作成と指導を通じた知識継承
(医薬品D社の営業販売部門で実施された内面化促進)
 などをご紹介いただきます。要するに、知識創造プロセスの各プロセス「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」をすべてご紹介いただけるとのことですね。
 知識創造、ナレッジマネジメントの詳細な事例についてご興味がおありな方は、ぜひ、本シンポジウムにおこしください。
 それでは、明日、シンポジウム会場でお会いしましょう!

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