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2006.6.18 17:27/ Jun

鮨処 平河と鮨 青木

 暇な時間を何とかつくって「食べることを愉しむ」。これだけが、僕の目下の趣味みたいなものです。最近、行った寿司屋のご紹介。
 まず1件め、鮨処平河です。
 ここは、地下鉄麹町駅から歩いて5分くらいの所にあるんですね。地下鉄赤坂見附から、歩いても15分くらいかな、といった感じです。
鮨処 平河
http://www.leport.jp/restaurant/hirakawa/index.html
昼食11:30~14:00 夕食17:30~22:00
03-3265-6437
http://www.leport.jp/map/acsses_r.html
 平河の魅力は、安さとボリューム、ネタの新鮮さでしょう。
 特にランチタイムは、破格の安さ。一番リーズナブルな「にぎり」になりますと、1000円以下です。「ランチタイムでは儲けることは考えず、店を知ってもらうため、とわりきる」のだそうです。
 ボリュームは、1.5人前というのがありますので、男性の方でもお腹いっぱいに食べられるでしょう。「安くて、ボリュームがある」というと、どうも味の方は今ひとつ・・・といったことになりやすそうですが、ここはそんなことはありません。ネタは夜と同じモノをつかっているそうです。
 個人的にはネギトロ巻き、ヒラメ、まぐろなどがおいしいなぁと思いました。
hirakawa.jpg
 カウンターは白木のもの。接客もホテルならではで、大変丁寧です。おすすめのお寿司屋さんです。
 —
 2件めは、銀座の寿司屋 of 寿司屋ですね。泣く子も黙る!?「鮨 青木」に行ってきました。
鮨 青木
http://nikkei.hi-ho.ne.jp/selectrestaurant/kishoku/aoki.html
東京都中央区銀座6-7-4 ギンザタカハシビル2階
電話:03-3289-1044
 カウンターから、職人さんの動きを見ていると、丁寧に丁寧に職人さんがひとつひとつ握っている様子がわかります。
 彼の手から、僕の目の前に寿司がひとつひとつ届けられる。手を離した瞬間に、一瞬ふんわりと米のクッションが沈むのです。その瞬間に寿司を手でつかんで食べる。
「寿司と天ぷらは、親の敵でもとるように食べろ」
 とよく言いますけれども、その「一瞬」を逃したくない宝石のようなお寿司でした。なお、ほとんどの寿司は、煮切り醤油がすでについていて、敢えて醤油をつけることはありません。
 個人的に気に入ったのは、
 ちょうどよい締め具合のコハダ
 ツメをぬったタコ
 コリコリとした青柳
 ふんわりとして、それでいて香ばしい穴子
 しっかりとした歯ごたえのあるかんぴょう
 でしょうか。もちろん、それ以外のものも、本当に美味しかった。職人さんの心意気が感じられた一品でした。
aoki.jpg
 ちなみに、鮨青木に関しては、僕は、下記のようなところにも非常に好感がもてます。
鮨青木 板前紹介
http://www.sushiaoki.com/staff/index.html
 ホームページで、自分のところに勤める若手の板前さんの紹介をしているんですね。名前つきで。
 ひとつひとつの寿司が、彼らにとっての「作品」だとするならば、「クレジット」をキチンと明示しているんです。これは「できるよう」で、なかなかできないことですよ。少なくとも、僕は、他の寿司屋のWebサイトで、こういう風に、キチンとクレジットを明示している店を知りません。
 味もさることながら、こういうところ、素晴らしいと思うんです・・・なかなかできないことです。
 この世の中、いかに、若者のアイデアをペチッて、自分のアイデアのように語ってしまうことの多いことか。
 自分は何もやっていないのに、自分に少しでも関係あれば、さも「自分がすべてをやったように語ること」の多いことか。
 若者に貢献を求めつつ、そのベネフィットについては、キチンと説明せず、お茶を濁すことの多いことか。
 そして、若者には「実働」を課すくせに、それを「アンタのためでしょ」という<教育的>な理由で – ブルデュー風にいうならば、まさに象徴的暴力! – 誤魔化す奴の多いことか。
 要するに、いかに「フェアじゃないこと」が多いかってことです。みんなで生み出したものなハズなのに、「ちゃんとクレジットをつけないこと」、「クレジットを省略してしまうこと」、いいえ、そもそもそうしたことにセンシティヴになれない人が、なんと多いか、ということです。
 その点、僕はスゴイと思いました。こんなに「フェア」な寿司屋のWebは見たことがない。そして、自分の店の生み出すものに自信がなければ、なかなかできないことです。
 こんな風にクレジットを明記し、チームの一員として意識させた方が、若者のモティベーション向上、責任感向上につながることはわかっているんだろうけど、いったん上にあがると、なかなか「できなく」なる。ていうか、自分が若かったときに感じたことを忘れてしまうのでしょうね。
 こういうところに痛く感服しました。
 —
 来週も忙しい毎日が続きます。
 でもどんなに忙しくても、ごはんはちゃんと食べたいですね。別に高価でなくてもよいのです。ゆっくりとした時間をかけて、しっかりとしたものを、ちゃんと食べたい。
 「確実な死に向かって、有限の時間を確実に減らしていく。だから今日という一日が大切なんだ。毎日そう思って、飯を食え。そう思って酒を飲め」
 そううそぶいたといわれるのは、かの池波正太郎です。
 僕もそれに同感で、「今日の夕食は適当に」とか言われたりするのが死ぬほど嫌いです。パーティとかでだされる「夕食なんだか、軽食なんだかわからないオードブル」も好きではありません。
 要するに一言でいいますと、こと「飯」に関してだけは「適当に」が大嫌いなのです(それ以外は、適当きわまりないのですが・・・)。
 飯を、適当にとは何事だ!
 飯は、本気で食べるものです。
 そして、そのための時間も精神的余裕も、なんとしても確保したい。
 そう思って、日々を過ごしています。

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