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2021.9.7 08:22/ Jun

自分たちのゼミは、自分たちで「組織開発」せよ!:エンゲージメントサーベイを使って、ゼミの組織課題を「見える化」してみた!?

 自分たちのゼミは、自分たちで組織開発せよ!
 自分たちの新メンバーは、自分たちで採用して、自分たちで育成せよ!
      
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 中原ゼミには2年生から4年生まで約60名が所属しており、人材開発・組織開発の両方を学んでいます。
    
立教大学中原ゼミナール
http://www.nakahara-lab.net/zemi
      
立教大学中原ゼミナール(ゼミ生による独自ページ)
https://www.nakaharaseminar.com/
  
 ゼミの方針は、
    
 自分たちの未来は、自分たちでデザインせよ!
     
 ゼミの運営は「自己決定」。基本的には、「学生の主体性」にまかせし、わたしが口をだすことはほぼありません。
    
 彼らからやりたいことが提案されれば、打ち合わせを持ちます。求められれば、助言もしますし、指導もします。お題を与えれれば、シコシコとプレゼンもつくります。しかし、わたしからコンテンツを提供することはほぼありません。
    
 ゼミの時間は「ぼく」を好きに使っていい。
       
 と言っています。
       
 このような運営をとっているのは「学生同士が話し合い、自己決定する経験」をたくさん持って欲しいという思いからです。
   
 今日は、このくらいにしておきますが「話し合って、自己決定すること=要するに対話すること」こそ、大学生の時分にたくさんもっておいた経験であると、わたしは思っています。
    
  ▼
     
 ゼミの、もうひとつの方針は、
    
 自分たちを「素材」にして「生きた経営学」を学べ!
 経営学は「Do」せよ!
     
 です。
        
 それが冒頭でかかげさせていただいた
      
 自分たちのチームは、自分たちで組織開発せよ!
 自分たちの新メンバーは、自分たちで採用して、自分たちで育成せよ!
     
 ということですね。
      
 わたしの専門分野である、人事領域(とりわけ人材開発・組織開発)は、実は、大きな「教育上のメリット」をもっています。
   
 それは・・・
    
 自分たちを「組織」と見立てれば、その「組織」を「素材」にして、人材開発・組織開発を実際に「実践」して、学ぶことができる
   
 ということです。
    
 つまり、別の言葉で申し上げるのなら、
   
 自分たちを「組織」と見立てて、人材開発・組織開発を「自分たちに対して」実践して、経験学習を行うことができる
   
 ということです。
  
 知識や専門的概念を「机上」で学ぶことも重要です。
 しかし、一方、わたしは、人材開発・組織開発を「自分たちに対して」実践して「経験学習」して欲しい、と願っています。わたしどもの研究領域は、それができる研究領域です(これは分野にもよるでしょう)。
     
 こうした教育のあり方を、わたしは「生きた経営学」と呼んでいます。別に「死んだ経営学」があるわけではないのですが、このネーミングが気に入っています。
      
 ▼
     
 自分たちのチームは、自分たちで組織開発せよ!
  
 今、大学は夏休みにはいっていますが、3年生が、早速、「自分たちのチームは、自分たちで組織開発せよ!」を実践しているようです。
   
 夏休み中の彼らは、2学期に何をするのか、自分たちの「カリキュラム」を自己決定しているはずです。
 一方、「ゼミ3年生」を「組織」としてみたてて、サーベイフィードバック型の組織開発を行っているようです。エンゲージメントサーベイを行っているようですね・・・なにやら・・・下記のブログを読むと・・・。
  
【つぶやき】エンゲージメントサーベイ始めてみた!
https://www.nakaharaseminar.com/post/%E3%80%90%E3%81%A4%E3%81%B6%E3%82%84%E3%81%8D%E3%80%91%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%99%E3%82%A4%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%81%9F%EF%BC%81
  
 プロジェクトは、まず、数十問の組織サーベイを実施し、そのデータの取り扱い方、グラフのつくりかたを示したマニュアルなどをつくったようです。ひとによっては、こうしてゼミで学んだHRDやODを、インターン先の組織で実践したりしているひともいるようですね(人材開発・組織開発を学んでいるゼミ生をピンポイントで採用いただいている会社もございます・・・ありがとうございます)。
    
   
    
 そのうえで、ワークシートをつくり、ゼミ生として「Goodなポイント」「Mottoなポイント」をそれぞれが「解釈」して「共有」するということを行うようですね(笑)
    

       
 上記のいくつかのセンテンスが「どこか伝聞調」になっているのは、この件に関しては、わたしは相談されていないからです。
    

        
 おそらく、自分たちで「勝手に」決めて、「勝手に」自分たちで行っているのでしょう。
            
 ちなみに・・・「勝手にやる!」とは素敵な言葉です。ゼミの理念を体現していて、素晴らしいと思います。
    
 シャバの世界は、「マジでアウト」なら、すぐに「他人からとめられます」。いいですか、「とめられないことは、たいていのことは、やっていいこと」です。これからも「お好きになさいな、勝手にやってください」。
      
 自分たちの未来は、自分たちで決めてください。これまでも、これからも。
        
 ▼
    
 今日は、ゼミのことについて書きました。こういうと、順風満帆なようですが、まったくそんなことはありません。
   
 60名も学生がいれば、「いつも順調に課題だらけ」です(おわかりでしょう・・・想像つくでしょ)。今は夏休みがあるので落ち着いていますが、秋学期がはじまれば、また喧噪が戻ってくるでしょう。
   
 少し残念なのは感染拡大が進んでから、もう1年半ちかく、多くの学生に会えていないことです。秋学期は、何とか、頃合いをみて、何度か対面授業ができたらな、なんて思っています。一教師の願いですが。
     
 秋学期には2年生が、採用活動+育成活動をスタートさせるはずです。これを機会に「採用学」「人材開発」を学び、「生きた経営学」を学んで欲しいと思います。
   
 自分たちの新メンバーは、自分たちで採用して、自分たちで育成せよ!
「経営学」を「Do」せよ!
  
 そして人生はつづく
  
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拙著「職場学習論」(東京大学出版会)のカバー・装いが10年ぶりに変わりました(内容は変わっていませんのであしからず!)。ひとは、職場でどのようにして学ぶのか、というテーマを考察しています。どうぞご高欄くださいませ!
    

    

      
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新刊「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
  

   
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中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
       
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
     
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
   
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
 
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
   
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
    
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
   
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
    
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