NAKAHARA-LAB.net

2007.1.28 10:35/ Jun

コンセプトを決めることの重要性 DSとWii

 モノをつくるにあたって、最も重要なことは「コンセプトを決めること」である。
 「そもそも誰が使うものなのか」
 「何のために開発するのか」
 「そのモノを使う人が、どういう生活を実現できるのか」
 こうした基本的な事柄を、誰にでもわかる言葉で、しっかりと決めておく必要がある。コンセプトが揺らぐと、すべてが揺らぐ。コンセプトが無ければ、曖昧なものができる。
 逆にいったんコンセプトを決めてしまえば、あとは「カタチ」をつくることである。
 昨今の開発物で、コンセプトが秀逸だったのはNINTENDOの「DS」と「Wii」であると思われる。
 NINTENDO DSのコンセプトは、
 ・5歳から95歳まで
 ・誰もが同じスタートライン
 である。
 Wiiの方は、
 ・家族の誰にも敵視されない
 ・年齢・性別・ゲーム経験を問わない
 ・家族全員にとって自分に関係のある存在になる
 ・毎日電源をいれてもらう
 ということで、基本的にはDSの路線を踏襲している。
 そして、このコンセプトに基づいて、DSの方はタッチスクリーン、Wiiの方はセンサーリモコンを実装しているのは周知の事実だ。コンセプトがカタチを伴った好例だと思われる。
 しかし、ともすれば実際の開発現場では、カタチがまず何にも先行してできあがっていて、それからコンセプトを後付で決めることを強いられたり、「カタチの高度化」自体がコンセプトになってしまう場合が、見受けられる。注意が必要だ。
 ともかく、1にコンセプト、2にコンセプト、3・4がなくて、5にコンセプトである。そのためには、開発全体を100だとするならば、半分程度の資源をさいてもよいと個人的には思う。

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2025.7.19 11:28/ Jun

生成AIを用いて「リフレクションの質」を「爆上げ」する方法とは何か!? 

エンゲージメントサーベイの数字を「こねくり回す」だけでは「組織課題」は見えてこない!?

2025.7.18 18:23/ Jun

エンゲージメントサーベイの数字を「こねくり回す」だけでは「組織課題」は見えてこない!?

2025.7.4 16:20/ Jun

SHRM2025(米国人材マネジメント大会)報告:「巨大な嵐」の到来で、ある日突然、「DE&I」が放送禁止用語になった日、各社は今後どう動くのか?

「今、何が、流行っているの?」という問いかけ自体が「オワコン」であった件

2025.6.13 08:10/ Jun

「今、何が、流行っているの?」という問いかけ自体が「オワコン」であった件

2025.6.12 08:20/ Jun

【無料オンラインセミナー参加者募集!】あなたの会社の内定者に「良質な同期の関係性」を提供できていますか?:Z世代がつくる、Z世代のための「内定者フォローワークショップ」を体験してみませんか?