NAKAHARA-LAB.net

2006.4.1 00:01/ Jun

出口のない論法で叩きのめす

 先日、愛読書「読むクスリ」を読んでいたら、こんなことが書いてあった。

たとえどんなに理屈として正しくても、出口のない論法で相手を追いつめてはいけません。
中略
逃げようのない叱り方をしてはいけません。その人を本当にだめにしてしまいます。どこかに逃げ道をのこしておいてやってはじめて、叱った効果がでるのです。

 なるほど、これは深い。
 論理にまかせ、相手を「ぐー」の音も出ないほど叩きのめし、完璧に追いつめてしまうことは危険である。
 「出口のない論法」は、追いつめる側の人間のカタルシスには寄与するだろうが、「追いつめられる方」にとって、あとに残るのは嫌悪感情、そして復讐の念だけである。
 「追いつめられた憎悪の炎」は、忘れ去られることなく、めらめらと揺らめき続ける。確かに胸に手をあててみれば、僕自身も完璧に叩きのめされ、幼気なそのココロに、憎悪の炎がともった経験がないわけではない。鳥頭なので、すぐ消えるけど・・・。
 しかし、これでは「追いつめる方」にとっても、「追いつめられる側」にとっても、前向きなことは何一つない。
 「アタマがよい」とは「論理的である」ってことだけを意味しない。「アタマがよい人」とは、「適切な避難場所をつくってあげつつ、論理的に話せる人」のことをいう。
 それは本当に難しいことである。
  —–
 一日一善ならぬ 1日1クリックをお願いします!

ブログ一覧に戻る

最新の記事

「今、何が、流行っているの?」という問いかけ自体が「オワコン」であった件

2025.6.13 08:10/ Jun

「今、何が、流行っているの?」という問いかけ自体が「オワコン」であった件

2025.6.12 08:20/ Jun

【無料オンラインセミナー参加者募集!】あなたの会社の内定者に「良質な同期の関係性」を提供できていますか?:Z世代がつくる、Z世代のための「内定者フォローワークショップ」を体験してみませんか?

2025.6.11 07:38/ Jun

生成AIを活かしながら、経営・現場に「インパクト」を与える研修を、いかにデザインすればいいのか?:「研修開発ラボ」参加者募集開始!

2025.6.6 08:41/ Jun

登壇すると、わかります!:内定者フォローワークショップ完成成果報告会!

2025.6.5 14:56/ Jun

【ラーニングバー2025参加者募集中】「睡眠」とうまくつきあう方法をともに考えませんか?