NAKAHARA-LAB.net

2006.12.20 05:00/ Jun

我が研究人生は続く

 今年もいよいよ残すところあと1週間とちょっとです。どのプロジェクトも、落ち着いてきました。
 10月、11月はあまりに忙しくて、このまま「廃人」になるのではないか、と思ったこともありましたが、何とかかんとか乗り切りました。
 下記、現在かかわっているプロジェクトの進捗状況。
「以前は頻繁に研究の進捗状況を書いていたのに、最近は、それがないねー」と言われたので。
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■なりきりEnglish!(ベネッセ寄付研究部門での研究)
 W-ZERO3で動くモバイルリスニング学習教材の開発プロジェクト。 単なるリスニング教材ではない! 学習者が英語を利用する文脈に従って学ぶことができるステキな教材です。
 単にピコピコとモバイル学ぶだけじゃない。ワークショップと教材が連動している、個別学習あり、協調学習ありのカリキュラムとなっています。
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 通常、ビジネス教材はEnglish for Specific Purposeと呼ばれるものが多い。なりきりEnglish!の場合は、これを一歩進めて、「Contexualized English for Specific Purpose」なんです。「Contextualized(文脈づいた)」ところが新しいのですね。
 本プロジェクト、11月後半から12月前半に実証実験を終了し、今、分析の最中です。これから詳細な統計分析や、事後インタビューを行うつもりです。
 ちなみに、このプロジェクトは3年間のプロジェクトです。来年が本実験。再来年が論文成果の公表を行います。
 ちなみに分析の結果、途中経過は、大変よいものでした。
 自作テスト、標準化テストのプレポスト比較は、わずか1週間のモニター試験であったのにもかかわらず、向上が見られます。また、英語学習不安などの尺度にも変化があらわれている。
 もちろん数多くの反省点もある。うまくいかなかったところ、冷や冷やしたところもありました。だけれども、来年の本実験では絶対に克服したいですね。僕はこのプロジェクトをはじめる際、メンバーに話したことがあります。「自分たちが心から使いたいと思うものをつくろう」。
 この結果は、3月24日のBEAT成果報告会で、山田さん@東京工業大学、島田さん@国際交流基金・北村君@東京大学大学院、中原でご報告いたします!
 ぜひ、お楽しみに!
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■MEETプロジェクト
 マイクロソフト先進教育環境寄付研究部門では、「未来の大学教室」を支える基盤のソフトウェアを開発しています。その中で、僕が関与しているのは、1)Web2.0系授業シラバスの開発、2)未来のノート開発プロジェクトです。
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 前者は西森さん@東京大学がトップ、後者は望月さん@東京大学がプロジェクトリーダです。
 前者は既に発注がすみました。4月から全学で運用がスタートします。それと同時に、いわゆる2.0系の機能追加を行っていく予定です。
 後者の未来のノート、e-journal plusプロジェクトはようやく研究のコンセプトが固まった段階ですね。館野君@東京大学がこの大筋をつめる仕事を現在しているでしょう。このプロジェクトには、館野君のほか、三宅君@東京大学、脇本君@東京大学M0なども参加しています。
 次回のミーティングではインタフェースのデザインをします。これは結構大変だね。
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■「OJTの科学」プロジェクト
 このプロジェクトは、古くて新しいテーマである「企業のOJT」にフォーカスした総合リサーチプロジェクトです。
 この研究知見をまとめて、近い将来に「OJTの科学」という本を出版する予定です。
 これまで、先行研究、関連理論の読み込みやインタビューなどを、シコシコと行ってきました。
 これから2ヶ月程度のあいだに、1)企業におけるOJTの実態把握、2)OJTの評価、転移の様子を把握する質問紙をつくる予定です。これもただの質問紙ではない! 臨床心理学の過去の先行研究のある手法を用いています。フフフ。
 荒木さん@東京大学大学院、北村君@東京大学大学院、中原の共同研究プロジェクト。
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■「人を育てる科学」ワークショップの開発
「企業人材育成入門」を執筆したメンバーによる共同研究プロジェクト。今度は、あの本で紹介した教育学、学習科学のエッセンスを学んでもらうための2日間のワークショップを開発しようと思っています。
 
 どうせ開発するのなら、ステキなWorkshop of Learningをつくりたい。ステキな学びの場を創ることができるのは、そういう学びを経験した人だけなのです。
 
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■ITを活用した教師教育
 鈴木真理子さん@滋賀大学、永田智子さん@兵庫教育大学、望月さん@東京大学、西森さん@東京大学、笠井さん@岡山大学との共同研究プロジェクト。
 このメンバー+酒井君@東京大学で、「ITを活用した教師教育」(鈴木真理子+永田智子編著)に関する本を書いています。僕はちょっとだけコラムで登場します。
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■おやこdeサイエンス
 OYAKOは今年で最終年度。成果発表(=論文化)を行っています。査読を通ったものが1本、査読待ちなのが1本、投稿前が2本です。投稿前のものも、すでにスケジュールが組まれており、順次投稿される予定です。
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 以上が東京大学で行っている研究プロジェクトです。
 これ以外にも、外部の団体のWebサイト開発、ワークショップ開発など、コンサルティング・研究開発などを行っています。商品開発などのワークショップにも参加しています。こちらは、NPO法人 Educe Technologiesの仕事ですね。
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NPO法人 Educe Technologies
http://www.educetech.org/index.html
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 また、学内では「東京大学の教育の情報化」の各種のプロジェクトのディレクションしています。こちらは、今、新しい組織づくりをしているところです。
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東京大学教育企画室 教育リデザインプロジェクト
http://tree.ep.u-tokyo.ac.jp/
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 こう列挙すると、結構いろいろなことをやっているなぁ。
 嗚呼、毎日エキサイティングな日々です。
 パンツを掃き忘れるほど忙しいけれど(12月1日の日記参照)、毎日が愉快で愉快でたまりません。
 そして、我が研究人生は続く・・・。

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