2017.6.28 06:06/ Jun
「論理的思考(ロジカルシンキング)」というものがあります。
一般の書店にでかければ、書棚に、さまざまな関連書籍が並んでいます。中にはベストセラーになっているものもあり、参考になるところも多いものです。
僕は、一応「大学の教員」などを行っておりますので、論理思考(ロジカルシンキング)にはひとかたならぬ関心をもっています。
なぜなら、学生や大学院生に「論理」や「ロジック」をいかに「組み立てるか」を教えることは、僕の仕事だからです。そして、論理的思考は、イコール、研究をすること、論文を書くこと、プレゼンをつくること、に直結するからです。
論理的思考を「教えること」に関しては、僕には「持論」らしきものがあります。
個人の持論なので、青筋たてないで聞いてください。
まとめますと、下記の4点になります。
1.論理的思考は、「必要性」にかられなければ教えられない
2.論理的思考は、「素材なし」では教えられない
3.論理的思考は、「論理的思考させるなか」でしか教えられない
4.論理的思考は、「フィードバックなし」では教えられない
裏をかえせば、
1.論理的思考は、「前もって」準備しておこうと思っても、なかなか身につかない
2.論理的思考は、「座学」だけでは、なかなか身につかない
3.論理的思考は、「机上の空論」では、なかなか身につかない
4.論理的思考は、「ひとり」でうんうん考えていても、なかなか身につかない
ということになります。
要するに、論理的思考を教えるためには、1)プレゼン発表や研究発表を「しなければならない」というコンテキストや「必要性」がまず大事、2)その上で、実際に自分たちが文章やプレゼンを脳がちぎれるほど論理的思考をして、実際に素材をつくってみて、3)それに対して教員がフィードバックをかけていく「中」でしか、なかなか身につかない、と思う、ということです。
言葉をかえるならば、
論理的思考を鍛えるってのは、「手間暇かかる」ってことです。
そして
「鍛錬なし」では、人は、それほど論理的に物事を考えられない
ということになります。
大変申し上げにくいことで、本当に恐縮なのですが、「トレーニングをしていない社会人」は「トレーニングをしている生徒・学生」に負けることがあります。
またこれも言いにくいことなのですが、ロジカルシンキングは「学歴」には、あまり関係がありません。高学歴でも、アンロジカルなオッサンは腐るほどいます。
要するに「やっているか、やっていないか」「フィードバックを受けてきたか、こなかったか」だけの話です。
なるべく早い段階から、ロジカルに考える習慣や癖を持ちたいものです。
▼
今日のブログは「論理的思考」の鍛え方に関する、僕の「持論」を書きました。
何をあたりまえかと思うかもしれませんが、どうも世の中には、ロジカルシンキングを「物」のようにとらえる見方が大勢のようです。
つまり、「前もって」何らかの座学を行い、そこで「ディシジョンツリー」などの「ツール」や「概念装置」などを教える。すなわち、あたかも「物」のように「論理的思考の源泉となるもの」を、個人の頭の中に「注入」する。そして、それさえ与えておけば、論理的思考はできるようになる、という考え方です。
もちろん、そうしたツールや概念装置には大切なものもあるでしょう。しかし、それだけで人は、論理的思考ができるようにはなりません。
むしろ、必要なのは「必要性」「素材」「論理的思考を自ら実際にやってみること」「フィードバックを受けること」である、と僕は思います。
結局、 考えることは「考えるなか」でしか身につきません
そして人生はつづく
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