NAKAHARA-LAB.net

2023.5.24 07:14/ Jun

あなたには「自動化された行動」がありますか?:最近、言葉を「はしょって」いませんか?

 あなたには「自動化された行動」がありますか?
 最近、言葉を「はしょって」いませんか?
 大事な何かを「見失って」いませんか?

     
  ・
  ・
  ・
   
 ひとは、経験を繰り返しながら、徐々に学びます。学んだものは、やがてルーティン(定石)として、日常行動に定着し、やがて自動化していきます。あまり注意を配分したり、意識しなくても、ひとは行動を効率的に繰り返すことができるようになります。こうしたプロセスを「経験学習」といいます。
  
 畢竟、経験学習とは「行動の自動化」、それによる「効率化」をめざす学習です。
  
 しかし「意識」をしないというのは、一方「リスク」でもあります。
 今日は、その「リスク」とやらについてお話しをしましょう。
  
  ▼
  
 第一のリスクは、ひとは、意識をしなくても「自動化された行動」によって自らを存立せしめることができますが、この「自動化された行動」の裏に潜む「メカニズム」が、いかに達成されているのかを、自らの言葉で説明できなくなる、ということです。つまり、ワンワードでいえば「言葉の不在」
  
 よくある寓話に、ムカデの寓話があります。
  
 曰く
  
 ムカデは器用に「数十本の足」を動かして移動します
 しかし、ムカデの歩みを止めるのは、実に簡単なことです
  
 ただ一言「あなたは、たくさんの足を、どうやって動かしているの?」と尋ねればいい
  
 ムカデは足を「意識」したとたんに動けなくなるはずだから
  
  ・
  ・
  ・
   
 「自動化されている対象」に対して、ひとは意識を配分しません。
 よって「自動化されているメカニズム」を問われても、ひとは、それを説明する手段を持たないのです。
  
 あなたにとって自明な、その仕事を、他人に説明するときも、まったく同じ事が生じるかもしれません。
  
 「その仕事、どうやっているのですか?」
  
 と他人に尋ねられたとしたら、あなたは何と答え得るでしょうか。
    
 自動化された行動の果てにある「言葉の不在」、あなたには起こっていませんか?
  
  ▼
  
 もうひとつの危機は「存在基盤の忘却」です。
 自動化された行動は、「自分を存在たらしめているもの」すら忘却のかなたにおくりだしてしまいます。それは「自明化」し、「透明化」します。自動化された行動が、あまりにも「自明」であるがゆえに「存在基盤」すら忘却してしまうのです。
  
 どこで目にしたのか忘れましたが、これに類する寓話に「息物(いきもの)」のお話しがあります。
  
 曰く
  
 ひとを変える「転機」になるのは「病気」です
   
 ひとは「病気」になって
 肺が苦しくなったときにはじめて
   
 自分の「呼吸」を意識します。
 自分という人間存在が「呼吸」に支えられていたことを知ります
  
 呼吸が苦しい。このままじゃ、死ぬ。
 そうしてようやく、自分が「息物(いきもの)」であることを知るのです
  
  ・
  ・
  ・
  
「存立基盤の喪失」もよく起こることです。とりわけ、組織内では頻発することではないでしょうか。組織のなかでは、様々なひとびとが協力して、なかば自動化されたルーティンに従って仕事をしています。その仕事のなかには、組織の存立基盤となる機能が、おそらくは、ある。
  
 しかし、いったん、それが「機能不全」になったとき、組織は知るのです。
 何がもっとも大切なことだったのかを。
  
 逆にいうと、機能不全に陥ることがなければ「組織は、いつまでたっても、わからない」とも言えますが。
  
  ▼
  
 今日は「自動化」ということについて考えてみました。
  
 あなたには「自動化された行動」がありますか?
 最近、何かを「はしょって」、何かを「見失って」いませんか?
  
 そして人生はつづく
      
 ーーー
   
【ご案内】     
 研修の内製化を支援する『研修開発ラボ』が記事になりました。この講座では、研修内製化について学び、効果的な研修をデザインすることができるようになります。ダイヤモンドさんが主催なさっております。
 関根雅泰さん、鈴木英智佳さん、島村公俊さんらの講師陣の丁寧なサポートもあり(感謝)、また、中原のゼミナールも開催されています。今年度も募集も、おそらくじきにはじまると思われます。ぜひ記事をご覧くださいませ。
      
  
     
研修の内製化に欠かせない『研修開発ラボ』とはいったい何か?
https://diamond.jp/articles/-/319547
     
 ーーー

【ご案内】新刊「話し合いの作法」!:すべてのひとびとに、対話し、合意して、決断できるスキルを! 人事パーソンはもとより、現場のマネジャー、現場の先生方などなど「話し合い」のスキルを高めたいすべての方々にお読みいただきたい一冊です!
   

新刊「話し合いの作法」(AMAZON予約)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4569851843/nakaharalabne-22
     
 同書の内容をサクっと学べる動画も公開されています。どうぞご笑覧くださいませ!
     
■仲が良くても心理的安全性が低い残念な理由【中原淳 立教大学経営学部教授】
   

    
■“残念な話し合い”5つの病【中原淳 立教大学経営学部教授】
   

  
 ーーー
     
【人事・採用ご担当者さまへ】御社で人材開発・組織開発のプロフェッショナルを採用しませんか?
   
立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 リーダーシップ開発コース(以下、LDC)では、経営学を基盤にしながら、次世代のリーダーシップ開発(人材開発・組織開発)を企業・組織で推進することのできる高度プロフェッショナル人材を育成しています。
  
このたび、このコースを修了した大学院生の皆さん(卒業生ネットワーク:アルムナイネットワークのメーリングリスト:アルムナイネットワークは、卒業生の自主的な活動です)に対して、企業人事の皆様が「採用情報」をお届けいただけるサイトを開設いたしました!。利用上の注意をご高欄いただき、適宜、ぜひ、ご利用くださいませ。無料で情報を送付いただけます。
   

    

    
■立教大学大学院・採用情報発信サイト■
https://ldc.rikkyo.ac.jp/recruit/
     
【立教大学大学院で大学院生として学びませんか?】
 授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。来年1月に願書提出、2月に入試が予定されています。
    
 在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
     
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
           
 ーーー
          
【アンコンシャスバイアス研修・内製化ツールキット開発!】武蔵野大学・島田徳子先生、ダイヤモンド社の皆さん(広瀬一輝さん、永田正樹さん)との数年にわたる共同研究と、NPO法人日本ブラインドサッカー協会との連携で、スマホで手軽に受検できる「アンコンシャスバイアス測定テスト」と、内製化研修(プレゼンキット)を開発しました!。この問題は、学術的な背景などは、わたしどもが、テスト結果に基づき動画像(ビデオ)で解説させていただきます。ご利用くださいませ! ご自身の組織にもっともフィットしたアンコンシャスバイアス研修をつくることができます。どうぞご利用くださいませ!
      
  
■アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)のWebページはこちら!■
https://jinzai.diamond.ne.jp/ub/unconscious-bias/
      
 ーーー
              
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください! 
       
「チームワーキング研修版」リリースされました!
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
   
「チームワーキング」が「アセスメントを絡めた管理職研修」として利用されております。モニター利用各社の人事担当者の皆様、開発担当者の堀尾さんと、座談会をさせていただきました。ぜひご覧くださいませ!
   
チームワーキング座談会
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/case/index.html 
  
 書籍「チームワーキング」の方も、おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
     
    
 
https://amzn.to/3esCOrW
         
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!           
  
  ーーー    
    
立教大学経営学部 中原ゼミ4期生、ゲームなどを活用した「内定者フォローワークショップ」を共同開発! ダイヤモンド社・ダイヤモンドヒューマンリソースさまから発売中!デンソー様、東急不動産SCマネジメント様、ラインズ様、日水コン様、リリカラ様など、なんと「40社」を超える企業で、内定者研修・新入社員コンテンツの一部として、ご利用いただいております。
  
先だっては、JTさまのご協力のもと(同社の三島紀子さんに心より感謝いたします)、ワークショップの実践が記事になりました。下記をご覧くださいませ。

JTの内定者懇親会が教えてくれる、内定者同士の“つながり”の大切さ
https://xn--diamond-kc4f0b9lnf.jp/articles/-/316499

内定者の論理思考力、質問力などの工場、強みの発見、内定者同士の関係構築を、オンライン・オフラインで行えます。スライド、ワークシート、動画など完全完備。企業ごとに内製化してお使いいただけます。
     

    
立教大学経営学部 中原ゼミ、ゲームなどを活用した「内定者フォローワークショップ」を共同開発! ダイヤモンド社・ダイヤモンドヒューマンリソースさまから発売中!
https://jinzai.diamond.ne.jp/rp/prospective-employee-workshop/

 どうぞご高覧くださいませ!
    
 ーーー 
    
 職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
   

職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発) 
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
   
  ーーー
       
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
  
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061   
  
  ーーー
   
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
  
 ーーー

新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
     

   
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
    
 ーーー
  
【泣くな!新米管理職!】
  
おかげさまで10刷重版出来。「駆け出しマネジャーの成長論」は、「実務担当者」から「新任管理職」への役割移行をいかに進めるかを論じた本です。「脱線」をふせぎ、成果をだすためには「7つの課題」への挑戦が必要であることを解説しています!全国の管理職研修で用いられています。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
パーソル総合研究所と中原は、このテキストをもとにした「マネジャーになる研修」を開発しました。種部吉泰さんとディスカッションは、非常に楽しいものでした。このコースについても、どうぞご覧くださいませ!
  
「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/become-a-manager.html
    
  ーーー  
    
Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
「新人研修をアップデートするための5つのコンセプト」に基づいて開発された、中原が監修をつとめる新人研修プログラムです。全4回にわたって実施する「オンライン研修」と「現場での実践&振り返り」を往還することによって、新人期に直面する壁を乗り越え、トランジションを果たせるよう手厚くサポートできるようになっています。経験学習を習慣化するほか、ストレスマネジメント、フィードバック、ジョブクラフティングなどについて学ぶことができます。
  

Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/k00HD0024/
          
OJT指導員向け・短時間&動画で学べる 部下育成スキルの動画もございます。中原が新人育成のポイントについて解説しています!
   
短時間&動画で学べる 部下育成スキル・解説動画
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/000HD6260/

    
 ーーー
        
新刊「研修評価の教科書」好評発売中です。アカデミックな知見に根ざしつつも、実際の企業のなかで実践可能な研修評価とは、いかにあるべきか。「企業における」研修評価のあり方を論じた本です。質問事例などのワークシートなどもついております。3つの企業事例も含まれています。どうぞご笑覧くださいませ。
   

新刊「研修評価の教科書:数字と物語で経営・現場を変える」
https://amzn.to/3ta9mhf
   
     
 ーーー
  

  
新刊「M&A後の組織・職場づくり入門」発売中です。AMAZON「企業再生」カテゴリー1位を記録しました(感謝です!)。
  
これまで税務・法律の観点からしか語られなかった「企業合併(M&A)」の問題に対して、ひとと組織(人材開発・組織開発)の観点からアプローチし、シナジーを生み出す可能性を考えます。
  
M&Aという「巻き込まれ事故」に関わってしまった経営企画・人事・現場の管理者・リーダーの皆様にぜひお読み意いただきたい一冊です!
  

購入はこちら!「M&A後の組織・職場づくり入門」
https://amzn.to/3v0P0bE
  

 ーーー
   

拙著「経営学習論」の増補改訂版が、東京大学出版会より刊行されました。新たに「リーダーシップ開発」の章を追加し、カバーの装いも変わっています。人材開発の基礎的な理論を体系的に学べる一冊です。どうぞご高覧くださいませ!
       

    
   

      
 ーーー
   
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
    

     
 ーーー
    
「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
   

      
 ーーー
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約39000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

ブログ一覧に戻る

最新の記事

あなたの周りには「底付き経験」寸前のオラオラマネジャーがいませんか?

2024.6.11 08:32/ Jun

あなたの周りには「底付き経験」寸前のオラオラマネジャーがいませんか?

長く元気に働き続けるためには「3つの資源」が必要である!? : あなたは身体資源、学習資源、心的資源を確保できていますか?

2024.6.10 13:46/ Jun

長く元気に働き続けるためには「3つの資源」が必要である!? : あなたは身体資源、学習資源、心的資源を確保できていますか?

「学力」イコール「5教科の総合点」と考えるのは「勝手に決めただけ」である!? : 社会人に出ると「賢さの物差し」が変わる!?

2024.5.31 08:45/ Jun

「学力」イコール「5教科の総合点」と考えるのは「勝手に決めただけ」である!? : 社会人に出ると「賢さの物差し」が変わる!?

フィードバックは「1点」にしぼれ!:ギャーギャーたくさん指摘されても、行動が1ミリも変わらない理由?!

2024.5.28 08:11/ Jun

フィードバックは「1点」にしぼれ!:ギャーギャーたくさん指摘されても、行動が1ミリも変わらない理由?!

昭和時代の「企業拘束性」が時代にあわなくなっている!? : 正社員とは「どこでもいく」「いくらでも働く」「何でもやる」の3点セットを飲み込むことである!?

2024.5.27 08:22/ Jun

昭和時代の「企業拘束性」が時代にあわなくなっている!? : 正社員とは「どこでもいく」「いくらでも働く」「何でもやる」の3点セットを飲み込むことである!?