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2022.10.19 08:21/ Jun

仕事人生は「稜線あるき」!? : あなたは「装備品」をアップデートしていますか?10年前の登山靴とレインウェアで立ち往生していませんか?

 仕事人生は「稜線あるき」
 あなたは「装備品」をアップデートしていますか?
     
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 今年の慶應丸の内シティキャンパスにおける、僕の授業「ラーニングイノベーション論」では「人事パーソンのキャリア」をテーマのひとつに扱っています。
  
 とかく、
  
 人事パーソンは、他人のキャリア形成を促す側にいることが多い
   
 のですが、変化の激しい世の中においては、
  
 人事パーソンこそが、自分のキャリア形成を考えることも、さらに重要になってきている
   
 と思うからです。
  
  ▼
   
 せんだっての授業では、中原ゼミの学生たち(MCCでインターンをさせていただいております:ゆい、りょうへい、はやて、ひより、ありがとう!感謝です!)の協力も得ながら、
  
 1.人事パーソンが仕事経験を棚卸しするキャリアマップを作成し、
  
 2.それを用いて、他者から様々なフィードバックを得て
   
 3.人事パーソンが「これまで」と「これから」を「見える化」するようなワーク
   
 に取り組みました。
   
 今回、キャリア系の授業を行うのは、14年のラーニングイノベーション論ではじめてのことです。
 人事パーソンおひとりおひとりが、自分のキャリア、スキル形成、能力開発について考える時間がもてたとしたら、うれしいことです。
   
  ▼
   
 授業では、「長期化する仕事人生=キャリア」を「山登り」のメタファに喩えたりもいたしました。70歳あたりまで働くなど、仕事人生が長くなってくると、そこを「完走」することも、また知恵や工夫が必要です。
  
 曰く
        
・山登りは「登山」するときよりも、「下山」するときに、怪我が多い
 (=ミドル以降、どのように下山するかは重要)
     
・下山といっても、健康寿命が約75歳の時代にあっては「完全に下山すること」は難しいかもしれない
  
・むしろ様々な山の高さをアップダウンしながら、その「稜線を歩いて行く」イメージが近いのではないか
  
 というお話をさせていただきました。
   
 すると、参加者のお一人の露本一夫さんが、こんなお話をしてくださいました。
   
露本一夫さんのTwitter
https://twitter.com/tsuyumoto1/status/1580054455390642176
  
 曰く
  
 稜線あるきは、視界が開けて見晴らしの良くて最高です。でも、そこは、まわりに遮るものが何もないので、もっとも雨風を受ける場所でもあります。
   
 最近は装備品をアップデートしないまま、10年前にかった登山靴やレインウェアで、稜線歩きをするひともいる。そういう古い装備品は、ゴムに亀裂がはいったり、役に立たなかったりするものが多いものです
  
 稜線を歩いて美しい風景を見たいのなら「装備品」のアップデートはどうしても必要ですね

   
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  ・
    
 ICレコーダを持っていたわけではないので、一字一句同じというわけにはいきません。また、わたしは「山」のことは、あまり知りませんが、「装備品をアップデートする」というメタファは、素晴らしいメタファであるように感じました。
    
 ここで「装備品」と喩えられているのは、おそらく、冒頭のキャリア論のお話に引きつけて考えますと、自分の持っている「仕事のスキル、能力、技術」なのかな、と思います。
        
長期化する仕事人生とは「視界が開けて見晴らしのよい場所を、アップダウンしながら、稜線あるきしていく」ようなものです。
 人生のキャリアが、そのように「長いもの」であるならば、それに十分耐え得るような「装備品」のアップデートも必要になります。
    
 10年前には通用した「古い装備品」で、稜線あるきをしていたら、思わぬところで風雨に見舞われ、足がズブズブ・冷え冷えになってしまった。場合によっては、立ち往生してしまった、ということもありえそうです。
   
 皆さんは「装備品のアップデート」行っていますか?
     
 今回のセッション、わたしにとっても、とても学びの多いセッションになりました。
 参加者の皆さま、本当にありがとうございました。
    
  ▼
    
 今日はキャリアの問題を「登山」「稜線あるき」のメタファで考えてみました。
   
 皆さんの「山登り」は、いま「登山」の真っ最中ですか?、それとも、いまは「下山のまっただ中」ですか?
     
 皆さんは「稜線あるき」に向かっていますか? 見晴らしのよい視界がひらけていますか? それとも風雨にさらされていますか?
      
 皆さんは、稜線あるきに向かう際、「装備品」をアップデートしていますか? それとも「10年前の、使い古された装備品」で山に向かっていませんか? 10年前の登山靴をはいていって、ソールがベロンベロンになっていませんか? レインウェアに水がしみて凍えていませんか?
   
 お互いに、見晴らしのよい視界を眺め続けていたいものですね。
  
 僕にとっても、人ごとではありません。
 そして人生はつづく
   
  ーーー 
   
【ぼやき】
    
 仕事人生のことが気になって、寿命や余命のことを調べてみました。
     
 僕の年齢(47歳)で、平均余命はあと35年です。
 人生100年時代は、平均余命よりも、健康余命だと僕は思います。
   
 某調査によると、健康余命と平均余命の差は、おおよそ5年。
 そうすると、この5年を差し引くと、のこり30年(77歳)です。
   
 しかし、ここから、さらにさらに、介護されている期間を抜きます。
 平均要介護期間は、おおよそ2年。
 これを差し引くと、結局、28年。
  
 ということは、元気でいられるあいだは28年です(そのとき75歳)。
  
 この数字、びっくりするくらい、人生、長いともいえます。
 あと、元気でいられるのは、28年もあるのか。
 仕事せなあかんなー。
   
 でも、短いともいえます。
 どうせ、人生は1年1秒です。
 よって、28年28秒。短いともいえますね。
   
 本当に笑っちゃうな。
 そして人生はつづく。
      
 ーーー 
   
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職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発) 
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