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2022.10.12 08:11/ Jun

よしなに「決めて」、よしなに「絡めて」、よしなに「儲けろ」社会をサバイブせよ!?

 よしなに「決めて」、よしなに「絡めて」、よしなに「儲けろ」!?
   
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 最近、立て続けに、3人の、異業種のビジネスパーソンが「同じようなこと」をボヤいていました。
   
 僕は、こういうセレンディピティが生まれる瞬間に、「世の中が動いている実感」をもちます。
 こういうとき、「もしかすると、世の中の働き方、仕事の質みたいなものが変わっている瞬間に、立ち会っているのかなぁ」なんて、真っ昼間から「妄想」します。
  
 というわけで、今日は、3人のビジネスパーソンの語りと、僕の妄想を紹介しましょう。
  
  ▼
  
 まず、おひとりめ。
 自動車メーカにつとめる、あるビジネスパーソン曰く
   
 昔の私たちの仕事は「車をつくれ!」です
   
 でも、今は違うんです
 「移動」で儲けろ!
  
 何をつくるのか、つくらないのか?
 どう儲けるかもわからない
  
 それを決めるところから仕事がはじまります
 そこが、なかなか決めきれないのですが。。。
  
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 おふたりめ
 あるITメーカにつとめる、ビジネスパーソン曰く
   
 昔は「コンピュータを売れ」ですね
  
 でも、
  
 今は「情報を絡めて儲けろ」です。
    
 絡めても、絡めなくてもいいけど
 自社が得意なのは、やはり「情報」です
 絡めるものは、
 必ずしも自社製品だけじゃなくてもいい、とも言われます。

   
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 さんにんめ。
 ある地方の金融機関につとめる、ビジネスパーソン曰く
  
 昔は「お金を動かして儲ける仕事」です
  
 これからは「経営の何でも屋」です
 経営の役に立つことなら
 何でもやります
    
 何でもやらないと利益がでません・・・

    
  ▼
   
 以上3人のビジネスパーソンの語りをご紹介しました。
  
 どのビジネスパーソンも、この数十年のあいだに生じた、仕事の変化について述べています。
   
 その特徴を端的に申し上げるならば、
    
 仕事が「高度化」して「課題解決」に近づいている
    
 のかな、と思います。
  
 その特徴を3点にまとめると、
   
1.昔はやるべきことが「クリア」で、シンプルで、決まっていた。決まったことを「なるべく、はやく、安価に」やれれば儲かった
   
2.今はやるべきことが「曖昧」で「やわらかふんわり」しており、そのなかで、自分たちが自ら「課題設定」を行い、課題解決をしなくてはならない
   

   
3.課題解決の内容によっては、自社に必ずしもこだわらず、他社や他業種のひとびとと、タッグを組む「異種格闘技」を行わなければならない
    
 もし仮に「コンサルティング」というものが、ここでいう「課題解決」とイコールだとするならば、
  
 現代社会の仕事は「オールコンサル化=課題解決化」に向かっている
   
 ともいえそうです。
  
 そういう付加価値の高い仕事にこそ「高い収益」が生まれるようになっている、ともいえそうですが、いかがでしょうか。
  
  ▼
  
 今日は仕事の変化について書きました。
  
 もちろん、ご紹介させていただいた3人のビジネスパーソンのような仕事の変化を実感しているのは、ごくごく一部かもしれず、「過剰な一般化」は危険です。そこは「妄想」ということでお許しください。
  
 一方で、わたしはこうも思います。
   
 よしなに「決めて」、よしなに「絡めて」、よしなに「儲けろ」!?
    
 は、一見「自由」なようでいて「シンドイ」ということです。そこには高い課題解決力、曖昧耐性能力、メンタル保持能力が必要です。
     
 そんなとき、哲学者のジャン・ポール・サルトルの名言がふと心に浮かびます。
    
 ひとは「自由の刑」に処せられている
    
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 いずれにしても、よしなに「決めて」、よしなに「絡めて」、よしなに「儲けろ」社会は、今後、さらに高度化していくのではないか、と妄想します。先日、この話を、ある出版関係の会合(編集者、構成、著者の集まる会)の方にお話ししたら、「出版業界もまったく同じですね。昔は本をだすことが重要だった。今は、本も売るけど、研修をつくり、イベントをやり、ネット通販もする。なりふりかまわず儲けるほかはない」といった趣旨のことをおっしゃっていました。

この社会をサバイブするためには、したたかに、かろやかに、自分の能力開発と向き合い、仕事と付き合っていく必要がありそうです。
  
 そして人生はつづく
       
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