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2008.2.19 09:28/ Jun

場をオープンにすること

 最近依頼される講演では、だいたい1時間、あるいは、1時間半のプレゼンテーションが求められる。しかし、プレゼンテーション時間をきっちり守って進行することが、滅法難しい。これが今の僕の課題である。
 通常のプレゼンならば、正確に予測する方法がある。それは、当日と同じかたちで、プレゼンを声をだして読むことであろう。しかし、これは1時間ないしは1時間半の時間を、すべて僕が一方向で喋る場合にのみ、つまりは通常のプレゼンの場合のみ、うまくいく方法である。
 僕の講演の場合、僕が話している時間はだいたい3分の2くらいである。3分の1は、聴衆の皆さんにお隣同士でディスカッションをしてもらったり、問題をといてもらったりしている。そして、この3分の1が「予測不能な要素」になる。
 この3分の1の時間は、その日のエクスペリエンスを左右する非常に重要な時間ではあるけれど、聴衆の社会的背景によっては、進行が微妙にズレる。アイスブレーキングに時間がかかったり、問題をとくのに時間がかかったりする。
 あっというまに、予定時間を過ぎてしまい、真っ青になってしまうこともある。全く逆の場合もある。「あれっ」と叫んでしまうほど、聴衆の方々がアクティヴィティを早くこなしてしまって、「やべー、時間あまった、これから何話そう・・・」と途方に暮れてしまうことも少なくない。
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 場をオープンにするとは、ヴァルネラビリティを引き受ける行為である。一方向で好きなことを話すだけなら、自分は何もリスクを抱えないで済む。
 しかし、たとえ自分をヴァルネラブルな立場においたとしても、意図した進行がビタッと決まったときには、何にも代え難い成果 – この場合はオーディエンスの方々との「一体感」らしきもの – が得られる。
 場をオープンにすることの魅力には、なかなか抗しがたいものがある。

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