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2022.3.18 08:20/ Jun

新卒内定者が「組織に円滑になじむこと」をサポートするワークショップを開発せよ!:自分たちの「少し先の未来」をプレビューする!?

 立教経営・中原ゼミは、本年度「リアル商品開発」にチャレンジしています。コラボしていただいた企業様は、ダイヤモンド社、ダイヤモンドヒューマンリソースの皆様です!
 同社では、内定者支援ツールとして「フレッシャーズコース」を長年展開しており、今回、わたしたちで開発させていただいたワークショップも、これに付随するものとなります。
      
内定者フォローツール「フレッシャーズコース」
https://jinzai.diamond.ne.jp/tools/fresherscourse/
    
 先日、今年度の成果発表会を開催させていただきました。このまま商品開発を「GO」するか「NO TO GO(NG)」とするかを判定する会議です。学生たちは、とても緊張した面持ちで、最終発表会に望んでいました。
 成果発表は、各班が、完成品の90分のワークショップを、自ら実践する(登壇する)かたちで行われました。ダイヤモンド社グループの皆さんが、内定者に「なりきって」ワークショップに参加し、評定を行いました。
       
 学生たちが開発したワークショップは、
       
 1.内定者同士が圧倒的に「仲良く」なることを支援するワークショップ
     
 2.内定者が「自らの強み」に気づき、それを職場のひとびとに伝えるためのワークショップ
    
 3.内定者の「質問力」を向上させるためのワークショップ
    
 4.内定者の「課題発見力」を向上させるためのワークショップ
    
 です。

(現在2年生が、内定者ツールをつくっているということは、実は、別の教育効果もあります。なぜなら、彼らは、あと数ヶ月後に、自分たち自身が就職活動に入っていきます。昨今の就活は早期化しておりますので。今回のワークショップづくりは、その前に、就活時期、内定時期、新入社員時期に、どのような問題が起こるかを、プレビューしていることになります。コンテンツをつくっているようで、自分たちに近いうちに降りかかる未来をプレビューする授業になっているということですね)
    

   
 いずれもオンライン、オフライン双方で展開することができます。企業内部の実践者のかたが「内製化」することができるようになっており、ツールには、プレゼン、ワークシートなどのほか、スクリプト(台本)なども含まれる予定です。
     
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 学生のなかには
    
「大学に入ってから、対面でプレゼンするのは、はじめてかもしれない」
     
 といったことを述べていた方もいました。コロナ禍のなかで、対面での授業機会が制限されていたことが、その理由でしょう。非常に印象的な言葉です。今年は、対面でのプレゼン機会を増やしていきたいな、と思いました。
    
 また
   
「社会人の皆さんにワークショップを展開するということと、学生相手にワークショップするということは、こうも違うことなのか」
    
 と気づきを得た学生もいました。そうなんです、学習者が置かれている状況、学習者個人によって、何を、どのようにデリバーすればいいかは、変わるんです。人材開発の原理に気づけてよかったですね。だから「学習者中心」じゃなきゃ、だめなんですよ。
   
 4つのグループの発表が終わり、いよいよ成果発表です。
  
 結果は・・・
  
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 祝!:4つのワークショップともに「商品化を行う」ということになりました。
 しかし、条件がついているものや、微妙な調整などを行う必要があるものが、ほぼすべてです。春学期のあいだ、それを行い、いよいよ7月にリリースということになると思います。
   
 ホッとしました。
   
 ダイヤモンド社、ダイヤモンドヒューマンリソースのみなさま、本当にありがとうございました!学生の皆さんも、本当にお疲れ様でした。引き続き、どうか頑張ってください!
  

(十分な感染対策を行い、直前までマスクをつけています。撮影中は声をださないように配慮しています)
  
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 最近の大学では、いわゆる「PBL(プロジェクト学習:Project – based Learning)がカリキュラムに取り入れられています。その形式は、ボランティア学習、地域振興、地域連携プロジェクト、企業連携プロジェクトなど、さまざまなものがあります。PBLは知識獲得だけではない、身体性を取り入れた学びであり、コミュニケーション能力の向上などの、全人格な発達を目指すことができます。いずれも、そのすべてが貴重な試みです。
 
    
 中原ゼミでも、ゼミ発足当初から、PBLを積極的に取り組み、多くの企業を訪問させていただいたり(ヤフーさま、マクドナルドさま、内田洋行さま)、産学連携コラボ(BOSCHさま、金融庁さま、きらぼし銀行さま、パーソルさま、エンジャパンさま、ビズリーチさま)を実施させていただいておりました。
  
 今年のゼミ(2年生)が行ったのは「超・プロジェクト学習(PBL)」です。PBLでは、企業とのコラボのとき「アイデア提案」までを行うことが多いものです。アイデアを実行し、商品開発に活かすかどうかは、企業のみなさんの判断ということになっていることが多いのです。

  
「超・プロジェクト学習(PBL)」は、これを超えます。端的に申し上げますと、企業のみなさんとご一緒させていただき、自分たちの専門知識を活かして、「ともに新たな商品・サービスをうみだすこと:共同研究開発」をめざします。
  
 要するに「提案で終わる」ではなく「提案がよいもの」であれば「商品の共同研究・協働開発」を行い、「マーケティング」され、実際に売り上げをあげるまでを行うのです。もし開発したものが実際にお客様にご購入いただいた場合には、利益の一部を還元していただけるそうです
  
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 最後になりますが、学生に貴重な機会を与えていただき、ありがとうございます。ダイヤモンドグループの永田正樹さん、広瀬一輝さん、廣畑達也さん、小川敦行さん、濱崎麻美さん、井上直さん、石丸恵美さん、永井敬太さん、渋木結さん、筒井智之さんに心より感謝いたします。なんとか年度内完結いたしました。
  
 ダイヤモンド社のみなさんとともに、同社の新卒内定者フォローツールである「フレッシャーズコース」に準拠した「内定者向けワークショップ・ツール」などを準備し、販売させていただきます。ワークショップが販売開始になるのは、おそらく7月だと思います。
  
 そして人生はつづく
     

   
内定者フォローツール「フレッシャーズコース」
https://jinzai.diamond.ne.jp/tools/fresherscourse/

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