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2019.3.28 06:55/ Jun

人生100年時代、大人はどのように発達し、いかに学ぶのか?:岩崎久美子著「成人の発達と学習」を読みました!

まだ、大人になっても「発達」するんですか?
やばくないですか、それ。
  
大人になっても「学ぶこと」に興味あるんですか?
やべー、まじ、うけるー。
     
  ・
  ・
  ・
    
 世の中には、子どもちゃんの発達論、子どもちゃんの学びを論じた本は、星の数ほどございます。しかし、大人の、それを論じている本は、なかなか多くはございません。
  
 岩崎久美子先生の書かれた「成人の発達と学習」という書籍を読みました。こちらは放送大学大学院のテキストになっている書籍で、「成人の発達と学習」について、全15章で論じておられます。
    

  
 目次は下記のとおりです。
  
 一見してわかるように、前半が「成人の発達論」、後半が「成人の学習論・キャリア論」をもとに編まれております。社会学、心理学、教育学、そして経営学など、さまざまな「成人の学び」に関する理論をあますところなく、かつ、わけへだてなく紹介しているところに、非常に共感がもてました。おすすめの一冊です。
  
 1. 社会変動と成人学習
 2. エイジング
 3. 心理的発達
 4. 記憶と学習方法
 5. 学習動機
 6. 学習資源としての経験
 7. アンドラゴジー
 8. 自己決定学習
 9. 変容的学習
 10. ナラティブ学習
 11. 身体化された学習
 12. 組織における学習
 13. 人のつながりと社会関係資本
 14. キャリア理論
 15. 成人が学習する意義
  
 これまで「成人の学習」は、教育学のなかの社会教育・生涯学習といったカテゴリーの内部において、脈々と論じられていたように思います。その知見は、非常に重要であるものの、あまり学問以外の、外部との通行をもたずに蓄積されてきた気がいたします。
  
 今回のこの本には、「新たな時代」にあって、それをオープンに開いていこう、という著者の意気込みらしきものを感じることができて、個人的に共感いたしました。実は、何を隠そう・・・12の「組織における学習」の放送の一部(すみっこ)あたりに、僕も、ちょろんと出現させていただいております(講義は、ラジオ講義です:岩崎先生、お声がけいただきましてありがとうございました)。
   
 久しぶりに訪れた放送大学のキャンパス(もとの僕の職場です・・・わたしが所属していたセンターはもうございませんが・・・)は、とても懐かしく、かつての自分の研究室あたりや、当時頻繁におとずれていたスタジオのあたりを、ウロウロ散歩させていただいておりました(怪しくない範囲で・・・)。
  
 嗚呼、助手時代。
 このキャンパスを、走り回っていたなー。
  
 あれから、もう20年弱の時間が流れています(遠い目)
  
  ▼
  
 今日は、子どもちゃんの学びではなく、成人、大人の学びを論じた教科書についてご紹介させていただきました。
 もうすでにわかっている方も、復習のつもりで読んでみるのも一計かもしれません。
  

  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
9月13日、早稲田大学で開催されます日本社会教育学会の9月研究大会とやらに小生、登壇させていただきます。こちらは、東海大学の堀本麻由子先生、都留文科大学の冨永貴公先生にお声がけをいただきました。成人の教育の分野で頑張っておられる先生方、将来を担っていく若手研究者の先生方にお声がけをいただけるのは、非常にうれしいことですね。日本社会教育学会は、わたしは「お初」なのですが、精一杯努めさせていただければと思います。
  
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新刊「データから考える教師の働き方入門」(辻和洋・町支大介編著、中原淳監修)好評発売中です。1日の労働時間が約12時間におよぶ、先生方。その働き方を見直し、いかに持続可能な職場をつくりだすのか、を考えます。「サーベイフィードバック方の組織開発を応用した働き方改革」の事例として、教育機関以外の組織でも応用可能です。どうぞご笑覧くださいませ
  

  
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新刊「残業学」重版出来、5刷決定です!(心より感謝です)。AMAZONの各カテゴリーで1位を記録しました(会社経営、マネジメント・人材管理・労働問題)。長時間労働はなぜ起こるのか? 長時間労働をいかに抑制すればいいのか? 大規模調査から、長時間労働の実態や抑制策を明らかにします。大学・大学院の講義調で語りかけられるように書いてありますので、わかりやすいと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
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新刊「女性の視点で見直す人材育成」(中原淳・トーマツイノベーション著)が、AMAZONカテゴリー1位「企業革新」「女性と仕事」を記録しました。女性のキャリアや働くことを主題にしつつ、究極的には「誰もが働きやすい職場をつくること」を論じている書籍です。7000名を超える大規模調査からわかった、長くいきいきと働きやすい職場とは何でしょうか? 平易な表現をめざした一般書で、どなたでもお読みいただけます。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
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新刊「組織開発の探究」発売中、重版4刷決定しました!AMAZONカテゴリー1位「マネジメント・人事管理」を獲得しています。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
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