NAKAHARA-LAB.net

2007.1.27 08:52/ Jun

リーダーシップを発揮したのはいつ、どんな時ですか?

 現在、アメリカでMBAを取得している後輩のK君が、自分のblogで「アメリカでの就職面接」について書いていた。非常に興味深かったので、この場でご紹介したい。
 それによると、
 —
1.アメリカと日本の就職面接は違う
2.アメリカの就職面接は下記の3つから構成されることが多いように思われる。日本の面接は、主にgeneral questionが多い。
 ・General Question
   - 略歴
   - 志望動機など
 
 
 ・Behavioral question
   -「~のスキルを発揮した時のことに
     ついて教えてください」というもの
   - 例えば「リーダーシップを発揮した
    ときの出来事について教えてください
   - 「Problem – Action – Result」という
     風に整理して話すと好印象だとか
 
 
 ・Case question
   - 短いケースを使って、業務知識・技能を
    見るもの
 —
 とのことであった。
 僕としては、特に「Behavioral question」に興味をもつ。「Behavioral question」とは要するに「自分が活躍したときの出来事をエピソディックに、わかりやすいストーリーにして語ってください」ということだ。
 なぜ、僕がこの問いに興味をもつかというと、僕自身が「面接をする側の人間」としていつも忸怩たる思いをしているからだ。
 僕の少ない経験からすると、ほとんどの志望者が苦手とするのが、この類の質問のように思える。エピソードを語る、ストーリーをつけてわかりやすく喋ることが本当にできない。
 多くの学生は面接で、
「わたしはリーダーシップがあります」
 と述べることができる。通り一遍の回答だ、意志の表明といってもよい。
 だけれども、こちらが
「どんなことでリーダーシップを発揮したのですか」
 と問うと、途端に顔が曇っちゃうことが多い。
「中学の頃、バスケ部の主将をしていて、そのときにリーダーシップを発揮しました」
 くらいが関の山だろうか。
「どんな問題が生じて、あなたがどんな行動をして、どんな結果が生まれたか」
 面接官はそういうエピソディックなストーリーをを求めているのに、それ以上、話が全く具体的にならない。
 なぜ、そういうストーリーを求めるか。それは、短い時間で、その本人の人となりを把握しなければならないときに、ストーリーによる理解が、最も認知的負荷が低く、かつ、弁別可能性が高いからである。
 —
 大寒を過ぎ、春の足音が聞こえ始めてきている。梅が咲いたという話もきいた。これから、いろいろな場所で、面接がおこなわれるだろう。
 これから面接に出かける人は、ぜひ、「ストーリーで語ることを練習する」といいと思う。

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.5.10 11:01/ Jun

新刊「リーダーシップシフト」完成しました!:全員参加型チームをいかにつくるのか?:もうマネジャーは、ひとりで抱え込まなくていい!

あなたの組織には「社員の主体性」をねこそぎ刈り取る3つの要因がありませんか?

2024.5.10 08:32/ Jun

あなたの組織には「社員の主体性」をねこそぎ刈り取る3つの要因がありませんか?

同じようなビルと、同じようなテナントが、果てしなく続くユートピア!?

2024.5.7 08:35/ Jun

同じようなビルと、同じようなテナントが、果てしなく続くユートピア!?

あなたの周囲では「従事軍」を見かけませんか?:モリモリに盛った「職務経歴書」の裏側にあるもの!?

2024.5.6 16:14/ Jun

あなたの周囲では「従事軍」を見かけませんか?:モリモリに盛った「職務経歴書」の裏側にあるもの!?

「わたしがチームから抜けたら、仕事が回らない」はイリュージョン(幻想)である!?

2024.5.3 08:41/ Jun

「わたしがチームから抜けたら、仕事が回らない」はイリュージョン(幻想)である!?