NAKAHARA-LAB.net

2007.8.21 07:35/ Jun

○○社らしい仕事のやり方を、いかに「伝える」か?

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 昨日は、仕事復帰1日目。
 先週の休みのせいか、アタマの回転が遅く、なかなか言葉が出てこないように感じた。今日から本格的に忙しい日々が続く。リハビリする時間はないけれど、何とかはやく本調子に戻したい。
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 昨日は、ある大手広告会社にインタビュー調査にでかけた。この会社では、2年前から、いわゆる「OJT」の制度改革に乗り出し、新入社員の早期育成をめざしている。
 新入社員に対して、
「社員に暗黙知として共有されている、○○社らしい仕事のやり方を、どのように伝えるか?」
 が、挑戦するテーマになっていた。
「暗黙知化された○○社らしい仕事のやり方」というのは、要するに、その「組織成員に共有される価値や行動規範」=「企業文化」のようなものである。
 外の人から見て、
「あー、あの人の仕事って、○○社らしいよね」
 と言ってもらえるような「何か(something)」を、新入社員に限られた日数で伝え、共有してほしい。そのためには、何をどうすればいいのか?
 もちろん、人事部だけでこの難題を解決することはできない。そのためには、各事業部の協力を得る組織内スキームをいかにつくりだすか。
 まず容易に予想できるのは、ここで伝えたい内容は、descriptive(記述的)ではない。descriptiveではないということは、システマティックに「伝達」することが最も難しい内容ということになる。少なくとも、インストラクショナルデザインで合理的に教授設計を行うような事象ではない。
 その会社では、「人と人のつながりの回復」を主軸にした、様々な施策や社内キャンペーンをうち、この課題に挑戦しようとしているのだが・・・。
 さすがは広告会社だけあって、キャンペーンでは、様々なグッズや映像などがつくられていた。クリエイティヴの質の高さは、さすがだと思った。これらは、社内各所に設置してある「液晶テレビ」で、毎日放映されるのだという。
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 今年に入ってから、これまで、たくさんの会社にお邪魔している。
 どの会社も、日夜「現場の学びの再創造」に取り組んでおられるが、つくづく思い知らされるのは、そこで伝えたい内容がことごとくdescriptive(記述可能)ではないことである。
 もちろん、descriptiveな内容もないことはないのだが、それ自体は、あまり問題にはなっていないような気がしている。
 今、本当に伝えたい重要なことは、descriptiveなものではない方が多い。それをいかに伝えるか・・・。
 このあたりのデザインは、本当に難しい。
 そこに一定のパターンを見いだせるとよいのだけれども・・・
 かくして、「僕の会社行脚」は続く。
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