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2016.11.9 06:58/ Jun

「硬直化した先細り組織」が「活性化」しない本当の理由とは何か!?

「創設以来歴史が長い伝統的な団体」で、しかし、最近は、参加者メンバーが「高齢化・固定化」し、若手が集まりにくくなっている組織というものが、日本全国には3万6000団体(?)くらいございます。
   
 そした硬直化した組織には、よく「若手活性化委員会」といったような「別委員会」がつくられることが多いものです。
 古参・古株の団体の創設メンバーなどが、団体の行く末を案じて、業をにやしてつくる委員会。それが「若手活性化委員会」です。
  
 だいたい、ヨーダのような古参のメンバー(?)から将来を嘱望されている数少ない中堅が、そうした委員会の長に割り当てられ、活動を開始します。愛すべき組織であり、貴重な活動です。
  
  ▼
  
 しかし、こうした団体の活動が奏功することは、あまり聞きません。
 その理由を考えると、まず、浮かび上がってくるのは、その「ネーミングの残念さ」です。
 そして、このネーミングのまずさの背後には、団体側と若手のあいだの「埋めがたい認識のズレ」を感じるのです。
  
 ワンセンテンスで申し上げますと、
  
 若手活性化というネーミング自体が、ちょっと「若手の感覚」と「ズレ」ているような気がする
  
 のです。

 そして、
   
 この「ズレ」の背後には、「若手本位」で物事を考えない「団体の硬直化したメンタリティ」が隠されているような気がする
  
 のです。
       
  ▼
  
 だってね・・・若手活性化委員会と申しますけどね・・・。
 あなたがもし仮に「若手」だったとしたら、他人から「活性化されたい」と願いますでしょうか?

 しかも「活性化される」ということは、暗黙のうちに「君ら、若手は非活性なんだよね」というラヴェルを押されているということです。そこにズレを感じませんか?
   
 もし仮に、あなたが「活性化する側」だったとしたら、「活性化」したいと考えるのでしょう。
 しかし、それは「活性化する側」の論理です。

 しかし、あなたが「活性化される側」だとしたら、「活性化」されたいとは考えないと思うのです。
   
 あー、僕、最近「非活性」だからさ、こんど、若手活性化委員会の開催する集会にでるんだ。そこで「活性化」されたいんだよね
   
 という人に、僕は一度もであったことがありません(笑)。
 ま、あうわけないけど。
  
 というわけで、「若手活性化委員会」をつくってしまう、その感覚は、「若手の感覚」とズレているのです。
  
 そして、さらに述べるならば、「本体の改革」には手をつけず「若手活性化委員会」をつくることで、この深刻な問題の解決を「活性化委員会」だけに求めようとする、そのメンタリティこそが、「硬直化した団体が、いつまでたっても「活性化」しない理由だということです。
  
 また問題の真因を探究せず、「若手=非活性」という烙印を押して、問題解決を先送りしてしまう、そのパターンこそが「組織の非活性」の理由です。
    
  ▼
  
 若手はいつだって「正直」であり、その行動は「合理的」です。
  
 最近、若手が集まらない組織があるのだとしたら、それは、その組織の「本体」に、若手を遠ざけるメンタリティか構造が存在するためです。
  
 最近、あなたの組織の若手は「非活性」ですか?
 それは「若手の問題」?
 それとも「あなたの組織」の問題?
  
 そして人生はつづく
  
ーーー
 
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