NAKAHARA-LAB.net

2009.1.15 12:33/ Jun

遊泳時間

 ちょっと前のことになりますが、ある企業の方とお話ししていたときのことです。その方がなさった、こんな話が印象的でした。
 曰く、
 わたしは、ランチが終わって自席に戻るときに、「自席まで最も距離のある道」を、その日ごとに選んで通るようにするんです。あえて階段を使って戻ります。
 あるときは3階でブラブラ、ある時は5階でブラブラ。みんながやるように、エレベータを使って、最短距離のルートで足早に自席に戻ろうとはしない。
 この時間のことを、自分の中では「遊泳時間」と呼んでいます。で、これが、結構、仕事に役に立つことが多いのです。
 なんかあの人顔色悪そうだな、とか、思うこともあります。また、遊泳していると、声をかけてくれる人もいます。「あっ、○○さん、今度、折りをみて、行こうと思ってたんだけど」みたいに。人の顔を見ていると、「あっ、あの件、△△さんにフォローをしとこう」と思い出すこともしばしです。
 要するに、情報がいろいろ集まってきますし、わたしからもでていきます。これが、仕事をしていく上で、とても役に立つことが多いのです。
  ・
  ・
  ・
 テープレコーダをもっていたわけではないので、一字一句同じではないですが、こんな趣旨のことをおっしゃっていました。「遊泳」という言葉が印象的だったのですね。
  ▼
 組織において、情報収集や情報共有が大切だ、とよく言われます。最近は過剰な期待は以前より少なくなりましたが、「これを使ってなんとかせい!」と、仰々しいITツールが導入されることも少なくありません。
 でも、「情報を収集する」「情報を共有する」って、そんなに大それた事なのかな、と思うこともあります。
 もちろん、この方が、とても人間的魅力にあふれる方だから、情報のやりとりが発生しているのだ、ということは言えると思います。また、職場のメンバー全員がランチのあとに遊泳しているのは、「葛西水族館のマグロ」みたいで困ります(笑)。
 でも、ささやかな「プチ工夫」で、情報のサーキットをビミョーに変化させることはできるのではないでしょうか。それは、いつでも、今日から、自分の職場で、できることなのではないかな、とも思ってしまうのです。
 最近、僕も「遊泳」してないな、と思います。
 「遊泳」を増やしたいと思っています。

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2025.7.4 16:20/ Jun

SHRM2025(米国人材マネジメント大会)報告:「巨大な嵐」の到来で、ある日突然、「DE&I」が放送禁止用語になった日、各社は今後どう動くのか?

「今、何が、流行っているの?」という問いかけ自体が「オワコン」であった件

2025.6.13 08:10/ Jun

「今、何が、流行っているの?」という問いかけ自体が「オワコン」であった件

2025.6.12 08:20/ Jun

【無料オンラインセミナー参加者募集!】あなたの会社の内定者に「良質な同期の関係性」を提供できていますか?:Z世代がつくる、Z世代のための「内定者フォローワークショップ」を体験してみませんか?

2025.6.11 07:38/ Jun

生成AIを活かしながら、経営・現場に「インパクト」を与える研修を、いかにデザインすればいいのか?:「研修開発ラボ」参加者募集開始!

2025.6.6 08:41/ Jun

登壇すると、わかります!:内定者フォローワークショップ完成成果報告会!