NAKAHARA-LAB.net

2007.8.14 07:57/ Jun

サマースクール

 アメリカの大学にあって、日本の大学にはないもの・・・
 先日もこのような書き出しで、記事を書いたような気がする。引き続き書き足さなければならないことがあるのだとすれば、そのひとつに「サマースクール」があるのではないだろうか。
 サマースクール(サマープログラムともいう、要するに夏期講義)? 何? 日本の大学にだって、集中講義があるではないか?
 と訝る方がいらっしゃるかもしれない。
 確かに、日本の大学にも集中講義はある。しかし、アメリカの大学のそれ(少なくとも、僕が留学していたボストン近郊の大学)、と日本の大学のそれは、ちょっと性格が異なっているような気がする。
 ひとつに、サマースクールは有料である。日本の集中講義が、原則、通常授業の「集中版」と位置づけられ、「無料」であるのとは対照的である。
 ボストン近郊の大学につとめる知り合いの先生によれば、大学にとってサマースクールは「Cash cow(金のなる木)」であるらしい。
 講義によっては、結構な金をとる。かつて僕が参加したプログラミングの実習は1週間で8万円、カミサンが参加したCM制作のプログラムは、7万円であった。
 また、サマースクールは、その大学の学生ばかりか、外部の人々、社会人、留学生も受けることができる。
 大学の学生、あるいは、その大学に入学する学生にとっては、「単位」が付与される。たとえば大学院生にとっては、9月入学前に、必要単位をここで大量にゲットしておくこともできる。
 外部の学生に対しては、履修証(サーティフィケーション)が交付される。ここも日本の大学のそれと違うところだろう。日本の集中講義は、原則的に外部に公開されていないのではないだろうか。
 履修証プログラムについては、専門的なことはよく知らない。しかし、ある大学の先生がこんなことを言っていたことを思い出す。
 アメリカの大学で履修証プログラムが広まったのは、そうねぇ、1990年代かねー。履修証は、社会人をひきつけるもっとも簡単な方法だからね。
 夏・・・7月に入ると、キャンパスには、通常期とは異なる学生が集まり始める。集中講義はいくつかのタームに分かれていることが多い。8月末まで、それは続く。
 かくして、キャンパスには「講義」が途絶えることがない。
 サマースクールは今日も続く。

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2025.9.26 18:14/ Jun

立教大学中原ゼミの学生たちが開発した「ワークショップ」が、220社の内定者教育・新人教育として導入されています(感謝感激!):8期生・新プロジェクト・キックオフ会を開催しました!

「最近の学生」や「新入社員」を「十把一絡げ」にする「便利な言葉」が嫌いなのである!?

2025.8.31 08:12/ Jun

「最近の学生」や「新入社員」を「十把一絡げ」にする「便利な言葉」が嫌いなのである!?

2025.8.26 20:52/ Jun

【無料イベント参加者募集中】アンコンシャスバイアス研究の最前線!:アンコンシャスバイアスとうまく付き合う方法をさぐる!?

【イベント参加者募集中】若手社員と学生の本音から考える「新卒オンボーディング」

2025.8.25 18:16/ Jun

【イベント参加者募集中】若手社員と学生の本音から考える「新卒オンボーディング」

大学教育の改善は「データ」だけでは進まない!? : 高等教育機関のIRについて思うこと!?

2025.8.14 21:25/ Jun

大学教育の改善は「データ」だけでは進まない!? : 高等教育機関のIRについて思うこと!?