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2016.5.30 06:32/ Jun

「親子の会話」を一変させる「ムリ、ウザイ、知らん」の中2病ウィルス!?

 先だって、小学校高学年の娘さんをもつ親御さんと、立ち話をしたときのことです。
 最近、自分と娘とのコミュニケーションが、非常に短い単語レベルになってきて大変困っているとのこと。
 娘さんは口をひらけば
 「ムーリー(無理)」
 「べつにー(別に)」
 「どっちでもいい」
 「うざい」
 「知らん」
 の「5点盛り」しか言わなくなったそうなのです(笑)。
 親が、どんなセンテンスを子どもになげかけても、かえってくるのは「文章」ではなく「単語」。
「会話」というよりは、娘からは「単語をなげつけられていること」に近いな、と苦笑いをなさっておられました。
 うちのTAKUZOは、子ども同士の年齢が近いせいもあり、人ごとじゃないなと思ってきました。
 ▼
 この問題、胸に手をあてて考えてみれば、僕自身も自分の親に、似たようなことをしてきた記憶があるので、何とも困ったことだなと思います。
「思春期」だからなんでしょうか、何かの「疳の虫」がさわっているのでしょうか、あるいは、何かの「祟り」なんでしょうか(笑)ていうか「中2病」
 成長のある時期に、急に親と話をするのが億劫になり、せんだってのような単語の投げつけをしていたような気がします。
 今から考えてみれば、まことに申し訳ないことです。
 おとうさん、おかあさん、すみません。
 ただ、僕の場合、きっと、どっかで親に甘えていたんだろうな、とも思います。
「親は他人じゃないのだから、どんなに不遜な言葉かけをしても、わかってくれるに違いない」
 どんなにコミュニケーションを省いても、どんなにコミュニケーションに手を抜いても、親はわかってくれるに違いない。心配してくれるに違いない。
 僕には、そんな甘えがあったような気がします。
 かたじけない。
 ▼
 我が家でも1年くらいまえに同じようなことが、すこしだけ起きました。
 僕の場合、TAKUZOが一時期
 「むーりー」
 を連発してきたことがあります。
 そのときには、当初、
 「何がどうムリなのかを説明させること」
 を強要しました。
 主語をはっきりせい、と。
 しかし、1ミリも効果を持ちませんでした(笑)。
 TAKUZOのくせに・・・生意気に(笑)
 結局、短い単語を先方が連発してきたときには、こちらも短い単語でかえす、ということをくどくやっていった結果、僕に対しては「むーりー」はなくなりました。
「会話はキャッチボールなんだから。オレは、オマエから投げられた球と似たような球しか返さない」
「いくら親でも、オレとオマエは他人だ。だから不愉快なものには不愉快にかえす」
 と断言しています。
 ま、どこまで実効があるのやら(笑)
 でもね、パパが言いたいことはこういうことさ。
「他者とのコミュニケーション」を面倒くさがって省いていると、「他者からのコミュニケーション」において、あなた自身が「省かれる」ようになっちゃうよ・・・。
「他者とのコミュニケーション」を省力化していると、他人も「あなたとのコミュニケーション」を省力化するようになっちゃうよ
 コミュニケーションってのは、そういうことさ。
 だから、甘えないでね。
 ▼
 TAKUZOはこれから思春期に入ります。
 彼は、きっと、ただでさえ説教臭く、言葉にうるさいオヤジを、きっと疎ましく思うでしょう。
 しかし、彼がそのことの不遜さに気づくのは、もっともっと後のことかもしれません。そう、彼が僕の年齢になる頃に、同じような経験をして。
 人生はつづく 
 そして歴史は繰り返す

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