NAKAHARA-LAB.net

2009.3.2 10:51/ Jun

今、ここで、何をするのか?

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行動にはつながっても、職場には広がらない
“学習・成長する個人”から”変化する組織”へ
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【本文】
 先日、日頃から大変御世話になっている企業教育ベンダーに勤めるAさんから、こんな話をお聞きしました。Aさんは、某社において、研修開発や講師育成などを担当なさっている方。
 テープレコーダをもっていたわけではないので、一字一句同じではないとは思いますが、おおよそ下記のような内容であったと記憶しています。
 ▼
「不況になると、みんな、自信がなくなります。研修でも、会話が盛り上がらなくなる傾向があります。受講態度だって変わるし、必要とされる教育内容も変わります。その傾向は、去年の夏以降、少しずつでてきていました。
それにあわせて、インストラクターの再教育が必要になります。”好景気”の時に必要とされるファシリテーション手法と、”不景気”のときに必要とされる、それは違うことが多いのです。
わたしは、ここ数ヶ月土日を返上して、全インストラクターの再教育を行ってきました。そうやって、何とか、研修の品質を保とうと思います。
でも、同時に、不況は”大きなチャンス”です。本当に”よいもの”しか残らなくなります。今が”勝負”です。
 ▼
 この「不況」をいかに乗り切るか・・・
 僕は経営学者でも、経済学者でもないので、これに関する明確な答えは持ち合わせていません。
 ただし、ここ数ヶ月、いろいろな人と話していて、「人によって、不況に対する認知(不況をどう捉えるか)は全く異なるな」と思いました。
 不況でひたすらトーンダウン、モティベーションダウンしている人もいれば、逆に、「今が好機!」という人もいる。どちらも、それほど経済的に余裕があるわけではないし、経験している内容は同じ現象であるにもかかわらず、「見え」が全く違っているのだな、いう印象を持ちます。
 先ほどの話題は「提供側」の話でしたが、「経営者」はどうでしょうか。
 小樽商科大学 松尾睦先生のブログには、下記のような話題が掲載されています。少し長くなりますが、全文、引用させていただきます。
小樽商科大学 松尾睦先生のブログ
http://blog.goo.ne.jp/mmatu1964
 ▼
 不況になると、教育訓練費を削る企業が多い。
 しかし、工作機器大手の森精機製作所は「不況で暇になった今が人材育成の絶好のチャンス」ととらえ、研修を通してベテランのノウハウを中堅・若手に伝授しているという。
 景気が上向きの時期に人材育成に投資しても、教育される側は「忙しくてそれどころではない」という状態に陥りがちだからだ。
 森社長は、2010年度の上半期に事業が底入れすると予想し、その後の増産時には、派遣規制強化によって非正規社員に頼れなくなると考えている。森社長は次のように語っている。
「仕事が減って研修に十分な時間を費やせられる今のうちに、正社員一人ひとりの能力を高めておかないと、需要を取りこぼしかねない」
 不況期には「今をなんとかしのぎたい」という短期的な見方をしがちであるが、不況期に先を見据えた人材育成をしているかどうかが、好況期の業績を左右するのだろう。
 環境変化に合わせて人材育成の方法を工夫できる組織能力が競争優位につながる、と思った。
出所:日経産業新聞2009.2.6
(以上、松尾先生のブログより引用)
 ▼
 あなたにとって、「不況」はどう見えていますか?
 そして、今は何をするべき時ですか?

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