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2007.4.11 16:10/ Jun

早稲田アカデミー・教師力養成塾に行ってきた!

 大手民間塾「早稲田アカデミー」が、今春からはじめた「現役教師のためのスキルアップ講座:教師力養成塾」を見学させていただく機会に恵まれた。
早稲田アカデミー:教師力養成塾
http://www.waseda-ac.co.jp/t-canpass/youseijuku/index.html
 教師力養成塾のルーツは数年前にさかのぼる。数年前から、早稲田アカデミーでは、教育委員会や学校単位での教育サービス(BtoBサービス)を提供してきた。
 具体的には、足立区や港区などで、半日単位の教員研修を請け負ったり、土曜日に子どもをあつめ学力向上ゼミなどを実施するなどの実績をつんできた。
 今春からはじまったサービスは、これまでとはうってかわって、BtoC向けサービス。ビジネスモデルとしては、「組織」ではなく、「個人」からの収益確保である。その取り組みでは、これまで大手新聞社でも何度か取り上げられた。
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 「教師力養成塾」で教えられている内容は非常に多岐にわたる。が、そのストレスポイントは、「授業の力量」以前に、「学習するための雰囲気をいかにつくるか」ということである(教師養成塾では、学習する空間をつくる、と表現している)。
 学習するための雰囲気とは、要するに「気配」のようなもの。学習がはじまる前の「エモーショナルなレディネス(準備)」といってもよいかもしれない。
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 教師力養成塾では、下記の点が重要だとしている。
 1.生徒とは「縦の近い関係」をつくる
  ≠決して教師と子どもが横並びではない
   ・挨拶の徹底
   ・ルールの設定
   ・しかる勇気、ほめる演技
 2.生徒の行動コントロール
   ・「単指示」の徹底
   ・レディネスの活用
   ・生徒に迎合しない
 3.生徒に「教師のやる気」を伝える
   ・発声
   ・目線
   ・体の向き
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 声の大きさ、抑揚、目線、体の向き、身振り手振りのジェスチャー、明確で短い指示。そうした「演出」によって、空間と時間を分節化し、子どもをのせていく。
 教師は、授業というテーマで表現をする役者です
 という言葉が印象的だった。つまり、「教える」ということは「役割演技」であるということである。
 声の大きさ、抑揚などの「演出」によって、「教師と子どものあいだに作動する義務、ルール」を作動させ、効果的な授業を行う、という思想が、塾の根幹にあると思った。
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 現役教師のスキルアップ、専門性向上に関する社会的養成は、日に日に高まるばかりである(それが妥当であるかないかは別にして)。
 戦後何度目かの教員養成、教員システムの転換点に、我々は、今、いる。

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