NAKAHARA-LAB.net

2016.3.30 04:52/ Jun

創造的・脱二分法のすすめ!?

 Aか、さもなくば、Bのどちらかだ!
   ・
   ・
   ・
 この世には「二分法思考」があふれています。
 ここで「二分法思考」というのは、ある対象Aと、それとは真逆のBを想定し、それらを対照づけて考える思考法です。
 僕が、よく学生さんに申し上げているのは、
 二分法思考で描き出されるものは、たいてい「怪しい」
 ということです。
 言葉をもう少し換えるならば、
 人々が両極・両端に描き出そうとするものは、便宜上、その方が「簡単」だからそうしているだけであり、その内実は、いったん「疑う」必要がある
 ということになります。
 今日はこのことについて考えてみましょう。
   ▼
 例えば、伝統的に組織論では、よく「個人」と「組織」が完全に分けられた要素であるかのように論じられます。
 個人が・・・をする
 組織が・・・をする
 個人レベルでは・・・かくかくしかじかである
 組織レベルでは・・・ちょめちょめほにゃららである
 上述の物言いにおいては、ここでは、「個人」があたかも「組織」とは異なる独立した要素として描き出され、かつ、組織の方も、個人とは異なる主体かのように描き出されます。
 しかし、よーく考えてみてください。
 組織「が」・・・・する
 と、組織をあたかも「主体」かのように描き出しますが、組織を構成しているのは「個人」の集合です。
 「組織が」という言葉は日本語のセンテンスとしては通用しますが、
 「はい、それでは組織さん、出てきてくださいー」
 といっても、「ある特定の何か」が
 「はーい、何かお呼びになりましたかー?」
 とでてくるわけではありません。
 あたりまえですが、この世には「組織君」も「組織ちゃん」も、そのような実態は存在していません。組織はその概念の内部に個人を内包しています。また、個人は、組織を構成する要素の一部です。
 これは非常に簡便な例で、さらに掘り下げていくと、なかなか味わい深い例だったのですが、僕が述べたいことの概略はおわかりいただけたかな、と思います。
 冒頭に述べたとおり、人々が両極・両端に描き出そうとするものは、便宜上、その方が「簡単」だからそうしているだけであり、その内実は、たいてい「怪しい」ものです。
 
 日常的には、このような二分法を用いて世界を認識することはよいのですが、本気の本気でものを考えるときには、こうした二分法を、いったん疑う必要もありそうです。
 おそらくビジネスの世界も、二分法に支配されている世界のひとつです。
 多忙ゆえに致し方ないところもあるのですが、時には、二分法をいったん疑い、その内実をじっくり考えることが大切なのかもしれません。
 
  ▼
 今日は、二分法思考について書きました。
 今日は二分法のネガティブな側面についてのみ書きましたが、実は、逆手にとれば、二分法とはチャンスでもあります。
 なぜなら、二分法によって対照づけられる2つの要素は、そもそも
 一般に、人が「両極」に描き出すことをよしとしている常識のかたまり
 だからです。
 ここを逆手にとって、敢えて、意図をもち、それらを結合させることができたとしたら、そこにリマーカブルなアイデアが生まれる可能性が高まるかもしれません。
 
 すなわち「A or B」と他者に選択を迫られたら、「Aか、Bかのどちらかを選びたくなる習性」をぐっとこらえて、「A and B」が成立する地平を探す、ということです。
 あなたの近くに、疑う価値のある「二分法思考」は存在していませんか?
 そして人生はつづく

追伸.
本日(水曜日)19:00-20:00まで「マナビの笑劇場ライブ!」をYoutubeライブ配信いたします。
お笑いコンビ・モクレンに加え、中原も登場します。
配信は19時になったらこちらから!見てねー

マナビラボ公式 Youtubeチャンネル

https://www.youtube.com/channel/UCkIbtLt_5cEP93NF9Lb28xA?platform=hootsuite

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