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2006.1.31 21:17/ Jun

リタイア

 リタイア・・・
 まだ30になったばかりの僕にとって、それは「遠い未来」のように思うけれど、それは違う。
 人は日々老いていく存在である。一歩一歩、死に近づいていく、そのことは悲しいかな真実である。そして、リタイアは、まだ若いと思っている僕にとっても「遠い未来」なんかじゃなく、「確実な未来」である。
 でも、リタイアのかたちにもいろいろある。
 そんな話を親戚の方から聞いた。
 まずは「昔を引きずる人」がいる。大企業の部長などをやった人で、リタイア後、「僕はマネジメントができます」と言って、地域のNPOやボランティア組織などに顔をだす。でも、そういう人に限って、「使い物になったためし」は一度もないのだという。でも、プライドだけは高いので、非常に始末が悪い。
 ちなみに、「昔をひきずる」といえば、「おばあちゃんの原宿」で有名な「とげ抜き地蔵界隈」では、今日も、おじいちゃん、おばあちゃんが出会い、恋をしている。で、そこの「おばあちゃんたち」にモテる条件ってのは、「昔とった杵柄を自慢しない」ってことらしい。「オレは昔部下が100名いてー」とか「昔はオレのところにお歳暮がひっきりなしに届いたんだ」というのは論外。昔は昔、今は今。
 「リタイアできない人」もいる。要するに、引き際が美しくない。もう意志決定のスピードに限界がきているのに、いつまでたっても、人に任せることができず、引退しようとしない。ひどい場合には、「院政」や「傀儡政権」をひく場合もある。周りの視線は冷ややかだが、いつまでたっても、「オレがいなくては」「オレがやらなくては」と思っていて、それには気づかない。
 そういう「困ったちゃん」がいる一方で、うまくリタイアする人もいる。引き際美しく、第二の人生を謳歌する。「昔とった杵柄」を隠しつつ、新たな出会いを愉しむ人もいる。
 リタイアは、僕にとっても、あなたにとっても「遠い未来」かもしれないが、「確実な未来」である。できることなら、美しく去りたい。若いときには皆そう思い、そしていつの日か、「困ったちゃん」になっていくのかもしれないが、そういう話を年配の方々から聞くたびに切実に思う。
 皆さんは、どんなリタイアしたいですか?

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