(1)システムの概要
・対面的配置によるシステムに対して、「身体的メタファー」に基づいたシステム
・「身体メタファー」概念については、図2を参照。
・共同作業の内容は、アルゴブロックの操作。
・指示者は、天井のカメラ、遠隔操作カメラ、文脈提供カメラ、アルゴブロックの
・モニタ画面を見ながら、作業者に指示を出す。指示者はアルゴブロックのモニタ
画面を指し示して、ここをこーして、という指示を出すが、この指先の画面と、
・指示者の顔の画面が作業者に伝わる。
・実際の配置は図5のようになっている。
・ちょうど、作業空間に指示者の見えない腕が伸びている感じ、
作業者の肩越しに覗き込んで、指差しながらあーしてこーして、という具合か。
・作業者が指示者の顔と指先、どっちをみてるか伝わるように、顔の表示と
指先の表示を離すことが重要。
・「指差し指示」が成立するための条件
1. 指示者の指差しが作業者に見える
2.その指差しに対する作業者の志向が指示者にわかる
3.その志向に指示者が気づいていることが作業者にわかる
・指示者の顔を見ることで相互行為が成立するためには
1. 作業者に指示者の顔が見える
2. 作業者が指示者の顔に志向していることが指示者にわかる
(2)実験結果
・指示者は、文脈表示画面を見ながら、作業者が自分の指差しを見てるか
どうかを確認していた
(face-to-face ではやたら確認をとろうとする)
・指示は指示者と作業者の協同による:指映像がリソースとなる
・作業者は指示者の顔を見て、反応を得る
(3)問題点
・指示者が作業者に注目しているか、作業者が知らないことも
(二人が対等で共同作業ではなく、一方が指示を与えるのを想定していたから)
・指示者が作業者にわからない指差しを行ったことも(カメラの範囲外)
どんな情報が相手方に伝わっているのか?
・複数の指示者・作業者がいる時の問題
一方の作業者だけにしか指示が伝わらないことも
(4)結論
・「身体メタファー」によるシステム構築は有効であった
・教室・遠隔医療への応用
○指示者が「いる」実感はどの程度あったのだろうか。
○遠隔救急医療や料理など、手先が重要な状況では面白そう。
○「超鏡」との比較:
・汎用性
・1人対複数、複数対複数
・実在感/一体感
・折り紙だと?
・「顔」「手先」−「上半身」全体
・作業者自身が、相手先にどのように写っているかを知る必要は?
(どのようなフィードバック情報を返すか)
○今後の方向性は? 「行為や場面の組織化」「共同作業の過程分析」
○特定用途への特化?
・山崎他 「指示・道具・相互性−遠隔共同作業システムの設計と
そのシステムを用いた人々の共同作業の分析」『認知科学』, 5(1), 51-63. (March 1998)
・森川先生のホームページ
http://www.aist.go.jp/NIBH/ourpages/Morikawa/