Using Mobile Computing to Enhance Field Study

Robert Rieger and Geraldine Gay

Robert Riegner and Geraldine Gay

rep. Junko FUJII

-Summary-

■Abstract

 本研究は、自然科学教育における(手のひらにのる大きさの)モーバイルコンピュータの使用をめぐり、教育的・技術的問題やその評価を追究するものである。第一の目標となるのは、マルチメディアの資源を戸外での実験演習に適用するための試験的なカリキュラムを開発することである。

 「まさに適切なタイミングで(just-in-time)」、そして「自由な?(nomadic)」フィールドという文脈において、学習者はスキルや理論を試す機会を与えられ活躍すると仮定される。コンピュータは、その戸外でのフィールド経験を豊かにするものなのだろうか。本論文は、筆者が開始したモーバイルコンピュータ研究プロジェクトの背景、そして移動可能な学習環境のために開発された2件のフィールド適用例の原型を明らかにする。

■Introduction

 自然科学や生物学の教師は、戸外でのフィールド調査に重点を置くことが多く、生徒もまた、このような実際的な面はその内容の理解に不可欠だととらえている。コンピュータの新しい技術は、フィールドでの経験に取って代わるのではなく、フィールドワークを教育的に価値のあるものにしつつ高めていくことができる。本論文は、技術と状況学習の相乗作用を促す試みについて報告する。

■Supporting Technology

 モーバイルコンピュータを支える新しいハードウェア・ソフトウェアの例:

Windows-CE, Apple MessagePad 2000, eProbe

■Literature

 科学教育を支える技術の可能性を論じたもの:

生徒は、スキルや理論を実際的な文脈において学ぶ機会を与えられたときに最もよく学び、そして彼ら自身の解釈を作り、理解した内容を他人に伝達する (Resnick and Soloway)

 モーバイルコンピュータにより、最も教えるのに適当な時機に、生徒は文脈に適した情報を受け取ったり、あるいはスキル構築の課題を完成させることができる(Schorr)など。

 しかし、モーバイルコンピュータの価値について、教育あるいはコミュニケーションの視点から論じたものは少ない。例えば、モーバイルコンピュータを用いた図書館情報へのアクセスを調査したモLibrary without a Roofモプロジェクトや、自由なコンピュータ環境における情報検索を研究したモThe StudySpace Projectモなどは、学習という文脈におけるモーバイルコンピュータの価値よりも、その技術面に焦点が置かれている。

 その他、「まさに適切なタイミングで」教育的指示を出し適用することについて論じたもの。

■Research Questions

 モーバイルコンピュータ技術の使用により、正規・非正規の学習者はフィールドでの実験演習の経験をいかに深めることができるか。

もし方法があるならば、どのような方法で、モーバイルコンピュータの環境は生徒に共同学習に取り組むよう促すのか。

  他6項目

■Mobile Computing Project

このプロジェクトの目的は、正規及び非正規の学習者に対する教育における、モーバイルコンピュータモデルの開発、改良、そして評価である。そのために、モーバイルコンピュータの試験的なカリキュラムと、アプリケーション(メCornucopiaモとモPlantations Pathfinderモ)が開発された。対象となるのは、正規の学習者であるコーネル大学植物遺伝学コースの学部生と、非正規の学習者である一般の訪問者。実施場所は、キャンパス周辺の森林公園も含むCornell Plantationsである。評価については、生徒の使用及び進展状況を記録するために作られたオンラインのトラッキングシステムなど、教育におけるモーバイルコンピュータの使用を的確に評価するプロトコールが制作されている。

■Pilot Applications

  表1参照

■Cornucopian

 とうもろこしに関して、遺伝子型、表現型、由来、地理といった情報を入手するための検索機能を持つ。

User scenerio:

 戸外でのフィールド学習の1週間前に、事前にインストラクターにより説明を受け、さらに準備としてモーバイルコンピュータで利用することになるのと同じインターフェイスが教示される。そして実際に現場で、モーバイルコンピュータやeProbeなどの装備が与えられ、データベースの再検討、及びデータ収集(最低10種のとうもろこし)を行う。データはモーバイルコンピュータに入力され、その後、クラスのウェブサイトにアップロードされて復習やオンラインでのディスカッションが行われる。

Evaluation:

 概して学生・教員の間の関心は高い。提案としては、現在使用しているデスクトップのアプリケーションをフィールド環境へ移動するということや、フィールド環境からウェブ・サイトへアクセスできるようにする、などが挙げられた。

■Plantations Pathfinder

 まずは、訪問者が植物の使途や由来といった情報を入手できるようカスタマイズし、electronic tour guideとしての役割を果たす。そして、「動いている博物館」として機能し、electronic guideは常に更新され、訪問者の関心についても記録され活用される。コラボレーションの手段としては、このPlantationsではユーザーが情報を入力することができ、そしてその情報はディスカッション・フォーラムへアップロードされる。

User scenerio:

 事前にモPlantationsモのウェブ・サイトにログオン可能である。現場においてユーザーは、データベース検索も含む多くの情報を得ることができる。また、Pathfinderという手のひらにのる大きさのコンピュータを借りて活用することもできる。

Evaluation:

Plantationsモは、分類システムよりもより詳細な情報、そして印刷物よりもより時間的に適切な情報を提供できる。モPathfinderモもその価値を評価されている。しかし、中には「庭を楽しむ喜びを台無しにする」という声もある。

■Conclusion

 フィールドでのモーバイルコンピュータは、例えば現場でのデータ収集・分析において強力ではあるが、研究者はフィールドから得られる従来の資源入手も怠ってはならない。

 システム計画はユーザーを第一とすべきであり、将来的には、教師のような専門家がそれぞれ独自のニーズに対してモーバイルコンピュータ技術を適用できるようような、強力でかつ使用が容易なものを計画する必要がある。

 現在重要であるのは、新しい技術に依存するのではなく、フィールド研究を魅力的そして価値あるものとしているのは何なのかを検討することである。そしてそれはフィールド環境の教育者から学ぶことができる。

-critique-

 データ分析の第一段階であるモーバイルコンピュータと、更に分析・研究を深めるためのデスクトップの役割分担を明確化していく必要があるのではないか。現場でモーバイルを用いて取り組むからこそ最大の効果が期待できる学習と、時間をおき改めて客観的に結果を見直し、そして反芻し内面化していく学習のプロセスを、適宜見極めることが重要。

 また、実際的なコンピュータの使用に生徒の関心や注意が傾き、現場で本来得られる成果に対する関心や探究心が弱くなるという状況が起こらないよう、学習者のコンピュータ技術・レベルに適したプログラム提供が望ましいと思う。

-suggestion-

 本研究のように、研究や学習に対する意図・関心が明確な大人においては、モーバイルコンピュータの現場への導入は、学びを本来の目的に沿って支援できると思われる。しかし、例えば自然科学への興味や関心がまだ方向づけられていない、成長段階にある子どもたちに対しては更に検討を要するのではないか。豊かな自然環境の中での人工的なコンピュータの使用に際し、普段からコンピュータを苦手とする子ども、あるいは好まない子どもなどは、フィールドでの学習意欲を減退させることもありうる。


NAKAHARA, Jun
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