The knowledge Integration Environment

Theory and Design

Phillip Bell, Elizabeth A. Davis, and Marcia C. Linn
■summary
The Knowledge Integration Environment(以下、KIE)は、科学の学習を改善するため、それにふさわしい教授学上の原則に従って、ネットワーク上の学習資源・ソフトウェアを結合する。KIEのネットワークツールを使うことによって、生徒は、科学的探求を行うのに必要な「科学的な根拠」を手に入れることができ、細分化された科学の知識を統合することが出来る。
試行テストでは、中学2年の物理の授業において、生徒は協同して、たとえば「光は直進するか?」といったような科学的な問題に取り組んだ。KIEを利用すれば、生徒は「電子ノートブック」・オンラインの議論支援ツールなどの道具や、ネットワークから科学的根拠を引き出し利用することができ、集団で協同してその真偽を議論できる。この論文は、教授学上の概念枠組み、KIEのソフトウェアの構成、試行研究の結果を論じる。最後に、我々は科学教育におけるネットワーク利用の「さらなる発展」を論じる。
KIE projectは、生産的な「学習共同体」を「ネットワーク上」につくりだすことを目的としている。我々は6才から18才までの生徒が、いまだ成長の途上にあるインターネットを利用することによって、科学的な事柄を解釈し、複雑な科学の概念を統合して理解することができるような「学習環境」をデザインしようと試みた。
このprojectは、日々拡張する新しい電子メディア・ネットワーク上の学習資源、および人的資源が、以下に「はやく」・「スリリング」に「科学の学習」を改善するかを探求する。
生徒の科学の知識は細分化されており、その統合の必要性は様々なところで主張されてはいるものの、なかなか実現していない。また専門化した科学の学習で、生徒は「表面的」な「学習」を強いられている。また「科学の学習」が生徒の日常生活と全く断絶したところに存在していることも、非常に問題である。
さらには従来の「教科書」・「一斉授業」の形式によって、生徒は「科学」を「あらかじめ答えの決まっている教科」として認識してしまう。
かくして、学校で教えられる科学は「活動的な本来の科学」とは無縁なものになる。故に、この状況を打開するために、KIEのソフトウェアとカリキュラムは、生徒がネットワークを利用し、「大規模なproject」で協同して学習し、自らの生活と連続した「統合された科学」を学ぶ環境を提供する。
しかし、ネットワークを使うといっても、「目的のないbrowsing」は「ネットサーフィン」になりかねない。認知的な側面からいえば、生徒には「ネットワークをNavigateし検索する」ための「scaffolding-足場かけ(支援)」が必要である。つまり、学習者には、「何が注目する価値のあるもの」で「何が無視してよいもの」なのかを決定する「guidance」が必要なのである。KIEは、そうした事柄を支援するツールを提供する。
KIEのprojectの使用するソフトウェアは、「一般に売られているソフトウェア」と「projectのために開発したソフトウェア」に大別できる。
前者としては、WWWのブラウザ・HTMLエディタ・E-mailerがある。後者には、「KIE Tool Palette」・「Netbook」・「Networked Evidence Database」がある。「KIE Tool Palette」は、これらのシステムを自在に操作するためのインターフェースである。「Netbook」は、ネットワーク志向のノートブックで、それを使うことによって学習者グループは、科学的根拠をあつめたり、分析したりすることができる。「Networked Evidence Database」は、ネットワーク上から集めてきた、或いは、学習者によって生み出された「科学的根拠」を集めるデーターベースである。
(以下省略)

NAKAHARA, Jun
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