NAKAHARA-LAB.net

2017.11.28 06:03/ Jun

変わる世の中、変わらない森


   
 週末を「森」で過ごしたいと願うようになったのは、
 いつからでしょうか。
 願うばかりで、数ヶ月に一度しかやってこない幸せ。
 逃げるように都会を離れ、
 子どもを連れて、山に向かいます。
 自然と、アクセルを踏む力が強まります。
    
  ▼
   
 もともとは、我が子の「何気ないひと言」がきっかけでした。
 アスファルトですべてが舗装された街の中で、
 「どこにでもある小石」を見つけた我が子。
  
 物珍しそうに・・・本当に、生まれてはじめて手にとるかのように
 「どこにでも落ちている小石」をずっと触っていました。 
     
 直感的に「危機らしきもの」を感じました。
「子どもを自然に帰さなくては」と思いました。
 かくして、我が家の「森通い」がはじまりました。
   
  ▼
   
 我が家が出かける森は、山に全方位を囲まれた場所にあります。
 山に囲まれた場所に、自分の身をおくと、ホッとします。  
 おそらく、僕が、幼い頃、そういう場所で育ったからでしょう。
 右に、雪のかかった山頂を見つめ、左に山々の稜線を見る。
 「嗚呼、帰ってきたな」と感じます。
    
 「我が子のためにはじめたこと」がいまや「自分のため」にも
  なっていることに気づかされます。 
  
  ▼
   
 山の中腹にある森を歩きます。
 森を歩き、木々を見つめていると、いつも不思議な感覚に襲われます。
  
「この風景は、10年たっても、20年たっても、変わんないんだろうな」
   
 ここに木があり、向こうに山がある。
 おだやかな風が吹いている。
 ここに木があり、向こうに山がある。
 おだやかな風が吹いている。
   

  
 この風景は、おそらく、僕がどんなに世の中で動こうとも、
 どんなに人生に悪戦苦闘しても、変わらないでしょう。
  
 日々、変わりゆく変幻自在な世の中のなかで、
「変わらないもの」を見つけると、また、ホッとします。
  
 そんなとき、だいたい、いっぺんの詩が、脳裏に浮かびます。
   
 これが私の故里(ふるさと)だ
 さやかに風も吹いている
 (中略)
 ああ おまえはなにをして来たのだと……
 吹き来る風が私に云(い)う
  
  ・
  ・
  ・
  
「10年たっても変わらない木々たち」は、
 さやかに吹いてくる風の中で、ささやきます。
「おまえはなにをして来たのだ」と。
    
 もう一度「挑んでみよ」と、
 森は静かに教えてくれるのです。
    
 そして人生はつづく
   

  
  ーーー 
  
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