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2017.10.31 06:01/ Jun

「詰め込み過ぎプレゼン」は「プレゼンターの恐怖」によってつくられる!?

※11月1日(水曜日)はブログ更新をおやすみします!朝っぱらからいろいろありまして・・・。明日お逢いしましょう!

 ついつい、プレゼンの内容を「詰め込みすぎ」ちゃうんですよね。
 適量にしたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
    
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 先だって、ある企業の若いビジネスパーソンの方から、プレゼンテーションについて、こんな軽いご相談を受けました。
 僕も「詰め込みすぎて」しまうことは「全くない」わけではないので、共感をもってお話を伺いました。その方とは、その後、あーでもない、こーでもないと議論をしていました。

 議論をしていて気づいたことは、
  
「詰め込み過ぎプレゼン」はそもそも「伝えなければならない内容」が「多い」から「詰め込まれている」のではない
  
 ということです。
 そもそも「内容」が多いから、そうなっているのではない。
  
 逆の言葉でいえば、本来「伝えなければならない内容」は実は「少ない」
  
 内容がもっと少なくていいはずなのに、「プレゼンターの感情」が悪さをして、敢えて「枝葉の内容」や「些末な内容」を多く盛り込みすぎる結果に陥っている
   
 ということです。
  
 ワンセンテンスでいえば、
  
 詰め込み過ぎプレゼンは「プレゼンターの恐怖」によってつくられる
  
 ということになりますが、いかがでしょうか。
  
  ▼
  
 それでは、詰め込み過ぎプレゼンを創り出してしまう「恐怖」とは何か。
 それは下記に述べるような3つの「恐怖感情」です。
  
1.途中で終わっちゃったらどうしよう恐怖症
 準備していたプレゼンの内容が「規定時間内」にすべて読み終わってしまい、時間があまってしまう恐怖のこと。プレゼンを読み終わったのはいいものの、規定時間があまっており、ポツンと演題に、何も話すことのない状態でボッチになってしまうところを想像してください(笑)。おー、恐怖!
 プレゼンの経験が不足しているか、練習不足が原因で、どのくらい盛り込めば、どのくらいの時間がかかるか予想がつかないことが主因かも。
  
2.聴衆とのやりとり恐怖症
 プレゼンをしている際に聴衆とやりとり(相互作用)をしたりすることへの恐怖。
 発言のイニシアチブ(主導権)を相手に「手放すこと」になってしまうので、相手からどんなボールがかえってくるかがわからない。「とんでもない角度」からボールが投げ込まれるのが怖い。
 この「恐怖」を感じなくするには、相手に主導権を渡さないこと=すなわち、自分がしゃべくりまくる他はない。よってしゃべくりまくる。
   
3.せっかく用意したのだから、もったいない恐怖症
 プレゼンを盛り込みすぎているので、時間が不足する。不足した時間のなかで、さらに終わろうと思い、早口でしゃべろうとする。きりのいいところで終わればいいのに、ついつい、「せっかく用意したのだから、もったいない」という思いが、一瞬、頭をよぎる。
 早口で、盛り込みすぎているから、さらに伝わらない。終わりたいけど、終われない。終われないけど、終わりたい、次第に、このデフレスパイラルに陥っている自分に「恐怖」を感じてしまう。
  
 これ以外にも、「詰め込みプレゼン」をつくりだしてしまう「感情要因」はいくつかあると思いますが、いかがでしょうか。
  
  ▼
  
 今日は「詰め込みプレゼン」をつくりだしてしまう、プレゼンターの「恐怖症」について書かせていただきました。
 自戒をこめて申し上げますが、いくつになってもプレゼンは難しいです。このうちのいずれかは、小生も恥ずかしながら、一年に一回くらいは罹患しているような気もします(笑)さらなる「精進」が必要です。
  
 あなたのプレゼンテーションは「詰め込みすぎ」になっていませんか?
 恐怖についつい、負けてしまい、ついつい、詰め込みすぎのプレゼンを、つくりだしていませんか?
  
 そして人生はつづく
  
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