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2017.10.26 06:05/ Jun

人材開発を志す人にとって必要な「3つの資質」とは何か?

 人材開発を志す人にとって必要な「資質」を3つあげるとすると「何」か?
   
  ・
  ・
  ・
   
 時折、考えることがあります。皆さんだったら、この問いに対して、どのような答えを考えるでしょうか?
   
 巷で、よく引き合いにだされる答えとしては、
  
 人の可能性を「信じること」
   
 とか
  
 明るさ、ポジティブさ
  
 とか
  
 自らが成長しようという意欲
  
 とか
  
 そういったものが掲げられます。
 皆さんは、この問いに対して、どのような答えをお持ちになるでしょうか? 敢えて3つ選べと言われれば、どのようなものをお選びになりますか。
   
 先ほどの答えに関しましては、どれもそうだよなと思いつつも、個人的には、その逆も「真」だよな、とも思います。
  
 人の可能性を信じつつも、その限界も知っていること
 (僕は、ひとに「希望」をもっています。しかしながら「絶望」もしています)
  
 明るく見えるのだけれども、実はネクラで、しかし、明るく振る舞うことができること
 (僕は超絶ネクラだと思います。ただし、明るく「演じる」ことができます)
  
 自ら成長しようとしつつも、しかし、まだ達成感は得られていないこと
 (僕は「成長実感」を感じる瞬間があまりありません。いつか感じたいです)
  
「ひとつの答え」があるというわけではありませんので、どんな「答え」でも意味づけ次第によって可能なのかなのかなと思います。皆さんでしたら、どのように答えうるでしょうか。
  
 この問いに緩く関連して、先だって、ある方が、僕にこんなことをおっしゃいました。
  
「そりゃ、即興に腹をくくってるかどうかだよ。どんな困難が生じても、学び手のために、今まで入念に準備していたものを変える勇気がもてるかどうか。中原さんは、そのことに覚悟をもっているような気がする」
  
 貴重なご意見をありがとうございます。僕が人材開発にふさわしいかはさておき、「往生際が悪いこと」は確かなことです。そして、ご指摘と同じことを僕も思います。
  
 「即興」に対する耐性
  
 といったら、非常に堅苦しくなってしまうのですが、
  
 「即興」を愉しむ勇気をもてること
  
 といいましょうか。いいえ、「即興」を愉しもうとするマインドをもっているかどうか。「そういったものが人材開発にとっては、たしかに重要であるような気がします。
  
 もちろん、「即興する」といっても、イコール、「準備を怠る」ということではありません。そうではなくて「準備を徹底的に行ったうえで、学び手のために、それをうち崩す勇気」があるかないか、ということなのです。
  
 なにせ、人材開発の現場は、どんなに入念に準備をしても、「うまくいかないこと」だらけなので(笑)
 うまくいかない現実を目の前に、学び手のために、最後の最後まで「あがき」、どんな「最善」を尽くすことができるかどうか。 入念に準備をする「臆病さ」と、一方であきらめきれない「往生際の悪さ」の同居が、人材開発担当者の方々にとっては、必要な資質のように思いますが、いかがでしょうか。やっぱり、ポジネガだよね。
  
 僕が、慶應丸の内シティキャンパスで行わせていただいている人事・人材開発向けコース「ラーニングイノベーション論」で、東京学芸大学の高尾隆先生に「インプロ」に関する授業を出講いただいているのは、そんな理由もございます(高尾先生、ありがとうございます)。
  
 皆さんは、どのように考えますでしょうか?
   
  ▼
  
 今日は、人材開発を志す方がもっていたらよい3つの資質について考えました。もちろん、ひとつの確固たる答えが存在しているわけではありません。皆さんでしたら、どのような答えを準備なさいますか。
  
 今週も、いよいよ後半戦にさしかかってきました。あとひといき、あとひといきです。
 今日のランチ時など、こんなゆるい話題で、対話するのも、面白いのかな、と思ったりしますが、いかがでしょうか。ま、メシどきくらい、仕事のことは忘れたいかな(笑)
   
 そして人生はつづく
  
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