NAKAHARA-LAB.net

2017.8.17 06:52/ Jun

「書棚力の高い本屋さん」へようこそ!?:本のプロフェッショナルたちの凄まじい知性!?

※8月18日はブログをお休みします。次回ブログは8月21日となります。See you soon!
  
 仕事柄、本屋さんに頻繁に訪れることがあるのですが、そんなとき、
  
 書棚力(しょだなりょく)
  
 というものを感じる瞬間があります。
「書棚のレベル」が、書店によって、まったくといっていいほど異なるのです。
  
 書店で書籍を渉猟しながら、皆さんは、そうしたものを感じたことがありませんか?
   
  ▼
   
 僕と本は「切っても切れない関係」にあります。
 一応、研究を生業にしておりますので、一ヶ月で読む本は、数十冊を超えます。だいたい毎週、数時間くらいは複数の書店で過ごし、そのすべてのフロアを見て回るのが、僕の日常です。
  
 書店では、自分の専門である、組織、学習、キャリアのコーナーは、実は、ほとんど行きません。
 それらの本は、AMAZONなどが、ご丁寧に勝手にレコメンドしてくれるし、ネットで常にモニタリングしているので、ことさら「掘り出し物」がないためです。専門のことは、だいたいは、わかるものです。
    
 反面、専門外のことは、何一つ、わかりません。
 下手の横好きかもしれませんが、医学、科学史、社会学、哲学、演劇、映像、看護・・・など、まったく違う分野の本を渉猟するのが、僕は好きです。そこには、自分の分野と掛け合わせると興味深い知見を生み出せるような「掘り出し物」が眠っている場合があります。
  
  ▼
   
 そういう背景もあり、僕の「書棚あさり」は「執拗」です。
 そして、書店の書棚をじっと見ていると、書店によってまったく「書棚の分類」が異なることが理解できます。あまり書店に出かけない方なら感じないかもしれませんが、複数の書店を一度に見て回ると、同じ本が、どのように分類されているかが、たちどころに見て取れます。
  
 そして、そうしたとき・・・その分類に「クリエィティビティを感じる場合」があるときがあります。
    
 おっ、その角度から、この本をとらえて、ここに置いたたんですね・・・おぬし、なかなかやるな
 なぬ、これをこのカテゴリーにいれるとは。おぬし・・・ネットの動向に詳しいな・・・
 ややや、この本とこの本を並べるとは・・・おぬし、人文社会科学の歴史を知っているな・・・
   
 こんなことを申し上げると、まことに恐れ多いのかもしれませんが、書店員さんのクリエィティビティ、博学に舌を巻くときがあります。素晴らしい、ブラボー! そのクリエィティビティに負けないように、新しいものを書くようにするよ! ありがとう!

 また、本の分類から、店員さんが、どのように世界を見ているか。どのようなカテゴリーで物事を捕らえているかを感じる場合があるのです。物事をそう捕らえたか・・・なんと斬新な! ブラボー! なんか、この勢いにのせられて、いい研究ができそうな気がするよ。ありがとう!
   
 また、平積みされている本の種類や、POPに書いてある文字などにも、書店員の方々の類い希なる知性を感じるときがあります。
  
 あー、ここでこういうキャンペーンを打てるのは、社会の流れを相当意識しているんだろうな・・・
 この切り口で、本を売るというのは、なんと斬新な!
 このPOPは、硬派なこの本を全部読んでなければ書けないだろうな・・・すごいな
  
 おぬし、できるな(笑)
  
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 反面、どんなに大きな書店であっても、分類に「どう考えても無理がある場合」や「えっ、こっちにおいた方が売れるのに」と思える場合などを感じる場合があります。ひどい場合には、「単に段ボールからほどいて、並べただけなんだろうな」と感じる場合もあります。
   
 こうした違いがでてくるのは、おそらくは、書店の店員さんによって、「分類のレベル」「分類のスキル」が異なるためではないか、と思うのですが。実際のところはどうなんでしょうか?
  
 最近ですと、ジュンク堂池袋店が、僕の中では、いい味だしてます。
 個人的に好きなのは、梅田の紀伊國屋さんとか、青山ブックセンターさんとかも好きです。
 これらの書店さんには「書棚力大賞」というものを勝手につくって、ぜひ、差し上げたいと思うレベルです。面白いと思うけどな・・・本好きが選ぶ「書棚力大賞」!

 たとえば、ジュンク・池袋さんの下記のような書棚は、並大抵の読書量、企画力ではつくれない、と思いませんか。
  

  
 こりゃ、プロの仕事だわ(笑)。
   
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 今日は書店の「書棚力」について書きました。
  
 何でもかんでも、勝手に「力(りょく)」をつけて、「能力の鋳造」をしてしまうのは悪い癖なのかもしれませんが、ブログなので、どうかご容赦いただければと思います。
  
 ところで・・・皆さんのお近くには、「書棚力」が高い、お気に入りの本屋さんはございますか?

 書棚力は、きっと、書店のサイズとはひと味違う概念です。「書棚の構成や分類から感じる創造性・知性の力」ともうしあげましょうか。そうしたものが高いおすすめの書店があったら、SNSなどで、ぜひご教示くださいませ!
   
 そして人生はつづく
  
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僕の新刊「マンガでやさしくわかる部下の育て方」が発売されました。発売後ただちに重版出来です。ありがとうございます。本書は、はじめてチームリーダーのなった方が、4つの部下育成のスキルをマンガで学ぶことのできる書籍です。どうぞご笑覧くださいませ!
    

  
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新刊「仕事人生のリセットボタンー転機のレッスン」が発売されました。長期化する仕事人生を振り返り、転機を乗り越えるためのヒントにあふれる本です。元アスリート・為末大さんの紆余曲折名人生の遍歴を、中原と為末さんで振り返ることで、その機微とレッスンを学びます。どうぞご笑覧くださいませ!
   

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