NAKAHARA-LAB.net

2017.6.15 05:58/ Jun

言葉に詰まって、冷や汗タラタラのプレゼンテーションは、なぜ生まれるのか?

 プレゼンテーションを「成功」させる上で、個人的に、ひとつだけ、確かだと思われることがあります。
 年間、おそらく数百回のプレゼンテーションをする機会がありますが、個人的に、絶対に、これだけは守りぬいていることです。逆にいうと、これを守り抜かなければ、僕は、100%、プレゼンテーションを「失敗」する自信があります。
  
 のっけからご質問で恐縮ですが、皆さんは、何だと思われますか?
   
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 それは「いつもどおりの話し方を守り抜くこと」です。
     
 壇上に行ったからといって、特別に「プレゼンテーション用の話し方」をしない。
 多くの人を目の前にしたからといって、変にめちゃくちゃ丁寧な「敬語」を使わない。
「自分が、いつもどおり話している、そのやり方」を、そっくりそのまま、用いて話す。せめてというのなら、いつもの言葉に「です・ます」をくっつけたくらいがちょうどいい。
  
 なんだ、そんなことか、と拍子抜けした方がいらっしゃるかもしれませんが、ほんとうに、それだけのことなんです。
  
 「いつもどおり」が一番失敗しない。
 過去20年・・・数多くの失敗プレゼンテーションを繰り返してきて、僕が悟ったのは、このことでした。
  
  ▼
  
 このことはよく考えてみれば、あたりまえのことなのです。
  
 ある日、「舞台の上」にあがったからといって、「舞台の上用の敬語」がうまく喋れるわけがないのです・・・だって、ふだんの自分は、いつも使っていないのだから。
  
 また、ある日、「みんなの前」にたったからといって、いつも利用していない「言葉遣い」がうまくできるわけがないのです。だって、いつもの自分は、全くそんなしゃべり方をしていないのだから。
  
 かつて20年前の僕は、完全に、このことを誤解していました。
  
 舞台の上では、プレゼンテーションをするときには、それに特化された、よりフォーマルな言葉を用いなければダメなんだろう、と思っていました。そして、失敗を繰り返していました。
  
 失敗を繰り返した末に、僕は、だんだん気づき始めました。
  
 僕は、「プレゼンテーション」」に失敗をしているのではない
 僕は、「いつも通りのしゃべり方をしていないこと」に失敗している
  
 のだと(笑)。
 だから、余計に緊張して詰まってしまったり、ヘンチクリンな言葉使いになって、何を言っているのかわからなくなったりしているのだ、と(泣)。
    
 そのことに気づくまで5年ほどはかかったような気がしますが(我ながら遅い!)、これは僕にとって、大きな「転機」になった気がします。考えてみれば、ごくごく、あたりまえのことなのです。
    
 いつも使っていないものを、突然、使えるようになるわけがない
  
 のですから。
  
   ▼
  
 今日はプレゼンテーションのお話をしました。
 僕自身、まだまだプレゼンの能力は発展途上なのですが、よりよいプレゼンテーションがさらにできるようになるよう、研鑽を続けたいと思っています。
 まだ、他に、なんか工夫できるところがあるはずだ。
  
 そして人生はつづく
  
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