NAKAHARA-LAB.net

2017.4.4 05:58/ Jun

「今年の新人の特徴は?」という問いに、胸がザワザワしちゃう理由!?

 毎年、この時期になりますと、研究室に、メディアの方々から、お問い合わせがございます。
 なんだか最近肩身が狭い?人文社会科学の研究者にお問い合わせをいただけること自体、ありがたいことであり(!?)、なるべくお役に立ちたいとは思うのですが、ちょっと気になることがあります。
    
 といいますのは、この時期増えるお問い合わせのなかで、僕が大変気がかりなのは、
  
「今年の新人の特徴は、何ですかね?」
  
 というご質問です。
  
  ▼
  
「先生、今年の新人の特徴は、何ですかね?」
  
 この問いに対しては、「ほにゃらら型」とか「ちょめちょめ型」とか「ほげほげタイプ」とかいう回答を期待してくださっていると思うのですが、小生は、いつも困惑してしまうのです。他の方はどうお答えしても、小生は何ら気にしません。ただし、僕は胸がザワザワしちゃうんです。
    
 胸がザワザワしてしまうポイントは
   
1.同世代人口でおおよそ100万人くらい存在する「新人」を「今年の新人」という「同一カテゴリー」で十把一絡げにしようとする点
  
2.「今年の新人」という「十把からげカテゴリー」に対して、しかし、それでいて「特徴」という「個人的資質」を想定しようとしている点
 

 
3.しかも、その個人的資質が、毎年、変化することを、ひそかに期待されている点
  
 です。
  
 だって、新人ていったって、めちゃめちゃ、いるんだよ・・・。
 いったい「誰のこと」を応えればいいの?
  
 それにさ
   
 特徴ったって・・・そんなの、僕、知らないよ(笑)。
 それは時代によって、変わるのかなぁ・・・。
  
 というわけで、たいてい
  
「お気持ちは大変うれしいんですけれど、そのままの問いには、お答えできないんです。申し訳ないです」
 
 と申し上げます。
  
 ただ相手の方も、それでは仕事にならないと思いますので(生産性あげなきゃね!)、場合によっては、
  
「たとえば、今年、教育機関を卒業なさる方々が、置かれていた社会的状況(就職の状況、採用の状況、迎え入れる育成の状況)ならお答えできますが・・・」
  
 と申し上げることもございます。
 あ、あまりピンとこないのかもしれませんが(笑)、それでご納得いただけるケースもございます。
  
 ふぅ。
    
  ▼
  
 今日は新入社員について、この時期増える問い合わせについて書きました。
    
 たとえば、僕は1975年生まれですが、
    
「中原さん、75年生まれの特徴は?」
  
 と聞かれても、なかなか回答できないと思うんです。
 そんなの、めちゃめちゃ多様ですがな(笑)。
    
 万が一答えうるとすれば、男性の場合は
  
「今年が42歳になって、オッサンになりかけているってことですかねぇ・・・」
「僕、加齢臭、してないですかねぇ」
   
 くらいかなぁ(笑)。
 えっ、僕だけ?
 ちなみに「75年生まれの特徴は?と聞かれて、42歳云々」と答えるのは「トートロジー」だけどね。「1975年生まれの特徴は、1975年生まれです」といっているのと同じでしょう(笑)。
  
 というわけで、思わずぐっとくる「ナイスな問い」を期待しております。
 脳がちぎれちゃうくらい考えさせる問いがくると、うれしいなぁ。

 ま、こんなブログ記事を書けば、もう来年は、二度と問い合わせはないと思いますけれども(笑)。
 でも、多様性の時代に・・・十把一絡げで「新人の特徴」は、ちょっとピンとこないと思うよ(笑)。
  
 そして人生はつづく
   
 ーーー
  
新刊「育児は仕事の役に立つーワンオペ育児からチーム育児へ」(浜屋祐子、中原淳著 光文社新書)発売中です。AMAZONカテゴリー1位(光文社新書)、経営学カテゴリー2位を記録しました。育児と仕事の良好な関係、ワンオペ育児を乗り越え、チーム育児に転換していくヒントがあふれる書籍です。浜屋祐子さんの修士論文の知見をモティーフにした、育児の科学。どうぞご笑覧くださいませ。
  

   
    
新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、すでに3刷・重版出来です!AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!
年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。
   

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.4.17 23:54/ Jun

給特法、および、それにまつわる中教審審議に対する私見(中原淳)

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.17 08:17/ Jun

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.15 08:05/ Jun

「タイパ重視の時代」だからこそ「時代遅れ!?のラーニング」を楽しむ!

2024.4.15 07:29/ Jun

【参加費無料】リーダー育英塾2024募集開始!:特色ある学校づくり+持続可能な学校づくりを進めたいあなたへ!

日本の企業はホワイトになったのか?:あなたの周りには「ノスタルジー温泉」につかって「昔」を懐かしんでいるひとがいませんか?

2024.4.4 08:57/ Jun

日本の企業はホワイトになったのか?:あなたの周りには「ノスタルジー温泉」につかって「昔」を懐かしんでいるひとがいませんか?