NAKAHARA-LAB.net

2017.1.25 06:50/ Jun

管理職を「観察」したら見えてくる光景とは何か?

 先だって、某企業を訪問させていただいた際、人事担当者の方から、大変興味深い「管理職候補者の養成プログラム」の話を伺いました(貴重なお時間をいただいた企業の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます!)。
  
 その企業では、「管理職養成プログラム」のひとつの学習機会として、
   
 自分の管理職(上長)を「観察」して、その仕事の様子で気づかなかったことをレポートする
   
 というモジュールが存在する、とのことでした。
 まことに興味深いことです。
  
  ▼
    
 せんだって、このブログでご紹介さしあげたエグゼクティブ・シャドーイングはもちろんのこと、これから管理職になられる方が、それより「前」に、「管理職になったあとの世界」をあらかじめ、前もって体験しておくことは、非常に重要な学びになりえるのだと思います。
  
 エグゼクティブシャドーイングとは、次世代の管理職候補者が、いわゆる「黒子=シャドー」に徹して、現在の経営者の行動に影ながら同行させてもらい、ときに、その場で薫陶をうけること、をいいます。
  
 その効果はパワフルである反面、一方、非常に負荷が大きい、というデメリットもあります。
 仕事をへっぱがされて経営者に同行する方も、受け入れる経営者の負担も、それなりに多いのです。
  
 冒頭でご紹介させていただいた「管理職の観察」というものは、「エグゼクティブシャドーイング」よりは負荷が高くなく、学習成果も望める点でよい方法だなと思いました。まぁ、見られる方は、緊張するだろうけど(観察されることは管理職には事前通知されるとのことです)
  
  ▼
   
 管理職になる前に、管理職を観察して、管理職が何をしているのか?を知る
  
 もちろん、管理職の仕事の多くは「見える仕事」は少なく、「見えない仕事」が多いものです。
 あるいは、ふだん、「見えては」いても、「気づかない」ものも多々あるでしょう。
 はたまた、「見えない仕事」が、意外に多いことにも気づかされるのかもしれません。

 興味深いことですね。
  
  ▼
  
 今日は管理職の「観察」という学習機会について書きました。
  
「観察する」というものは「積極的に見ること」や「意識してみること」を意味しますので、「何の気なしに見ている日常」とは、異なるものが見えてくる可能性が生まれます。
  
 えっ、
  
 観察したら、管理職が寝ていた?
 観察したら、管理職が新聞読んでいた?
 観察したら、管理職がツメをパチーン、パチーンと切っていた?
 観察したら、ハナクソほじってた?
  
 こんな事態が生まれると「絶望的」ですが(笑)
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
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