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2022.4.25 18:06/ Jun

教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化:中央教育審議会・特別部会・基本問題小委員会における中原のコメントメモ

 中央教育審議会・特別部会・基本問題小委員会でした。「教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化」がテーマとなりました。下記、資料です。
     
中央教育審議会・特別部会・基本問題小委員会
https://bit.ly/3k9nbrd
    
 上記「資料1−2」のp6からp15が現状です。。。厳しい。かなり厳しい。
  
 下記は中原の発言趣旨メモ(速報)です(時間が限られているため、発言とまったく同じではありません)。
   
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中央教育審議会・特別部会・基本問題小委員会
https://bit.ly/3k9nbrd
中原のコメントメモ
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■学部教育と教職大学院の連携について:リソース不足問題
    
資料1−1のp1に、こうある・・・ 
「学習科学等の実証的な学問成果に基づく省察的実践
を通じて学び続ける教師の育成に今後一層力を入れて
取り組んでいくことが重要であり、理論と実践を往還
させた省察力による学びのデザイン等」
(横浜国立大学の発表のp6にもある)
  
   ↓(要するに、コアコンセプトは下記の2つ)
    
【コンセプト1】学習科学と省察
 ・これを教職大学院・学部教育のコアコンセプト
  にするなら「実証的研究の強化」が必要ではないか
     
  これらの概念を深く理解している教員
    +  
  データとエビデンスに基づいた研究ができる教員
  教員増加が重要

   
 ※逆にいうと、これらの概念を「実証的に研究・教育推進できる
  教員」がどれだけいるだろうか?
  とりわけ「フラッグシップ以外の大学」は
  これらを進められるのか?

  
 ※教師を増やすために定員増しているが、リソースは増えていない。
 教員養成系大学は疲弊している
    
  【リソースなきビジョンは空しい:リソース確保が重要】
  【いいアイデアだけど、それ、誰やんの?問題】
         
  ▼
   
2.理論と実践の往還
 ・これを本気でやるためには大学側・学校側ともに「リソース」が必要
  フラッグシップ大学にはリソース投入しているのか?
  フラッグシップ大学以外へのリソースは足りているのか?
  教師にならない学生を「実践現場」に連れて行くのは
  学校側にメリットがない=学校側へのメリット・リソースは?
  
要するに・・・
  
理念としては素晴らしいが、これにリソースが伴わない
場合には、教員養成系大学の疲弊+フラッグシップ大学と、
非フラッグシップ大学の格差につながる可能性がある

   
  +(これらに加えて下記2点も必要ではないか)
    
3.「大学での教師の卵の学び」と
  「学校における子どもの学び」の同期

 ・教師は「自分が教えられた方法」で子どもを教える
 ・しかし、これにもリソースが必要
 (教育Dxの取り組みなど:大阪教育大学)
    
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■教職大学院の定員未充足問題
    
1.入口と出口をクリアにしたほうがいいのではないか?
(特に「出口のない/出口がクリアでない教育機関」は長続きしない
    
・入口の明示化(誰が、いつ入るのか?:どこから送られてくるのか?)
出口の明示化(出た後、どのような知識を活かして、どんな活躍するか?)
  
【資料1−2p24に「多様な教職員集団の中で中核となる教師」
とあるが、これは曖昧だ。

どういう人材が、いつ来て、その後、どうするのか?それを解像度高く明示化
していく必要性

   
=ミドルリーダーの不足に寄与するのも一計
=その場合は、教育委員会との人事戦略(キャリア戦略)と
 連携しなければならない。いずれにしても、教職大学院と教育委員会
の連携は必須

     
※ちなみ、老婆心ながら学部卒(ストレートマスター)と
社会人を安易に混在させると、授業の質を社会人側に設定
することは難しくなるのでは?社会人は白けないのか?
   
よって、多くのビジネススクールでは社会人経験を求めるが・・・。
ないしは、学生の選抜、「相応の選抜ハードル」をもつべきでは???
  
  ▼
    
2.働きながら学べる環境整備:オンライン授業
 ・社会人大学院生には大変好評
    
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■学部教育の連携のあり方
        
【現状】
 ・教員採用数が減る
 ・教育学部に入っても教師にならない
 ・一般学部から教師になる
 (要するに、教師にならない学生を教育学部で育成している)
          
   ↓
    
 ・どうするのか?リソースが減るなかで、いかに既存の組織を維持するか?
 ・そのひとつが「分散共同型の広域連携」
  (鳴門教育大学のとりくみ)
   
 ※別の解は議論にのぼっていないだけで
  他にもあると思う=課題解決ではすべての課題・解決策を
 ならべることが重要
  
  たとえば「量から質へ:定員の見直しと質的向上)」
  (ただでさえリソースが不足しているので
   パラダイム転換することも必要) 
     
   ↓(ともかく・・・)
    
 ひとつの答えは「分散共同型の広域連携」
   
 ・大切なのは「シナジー」を生み出せるかどうか?
 ・シナジーを生み出すためには「連携」の「その先」
 ・「その先の戦略」と規制緩和が必要ではないのか?
    
※企業でいえば合併したあと、PMI戦略をたてる
PMIとは「Post Merger Interation戦略」
   
※連携の「その先」をどう考えるのか?ということが
早晩問題になるでしょう
       
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