NAKAHARA-LAB.net

2021.2.3 08:24/ Jun

あなたの周囲の年配者・リーダーたちは「自分は100%正しい症候群」に陥っていませんか?

 あなたの周囲の年配者・リーダーたちは「自分は100%正しい症候群」に陥っていませんか?
   
  ・
  ・
  ・
  
 平均年齢が80歳ー90歳になりかけている、この国で、今年46歳になる僕が、こういう話をすると、
  
「おまえなんか、まだペーペーだ。生まれてすらいないわ」
  
 というお叱りを受けるのでしょうが・・・この年齢になってくると、だんだんと、自分よりも、さらに若い世代が、様々な場所で活躍し始めます。
  
なかには、前の世代を凌駕するような、素晴らしい働きをなさる方々もいて、非常に微笑ましく思えます。心ゆくまで知的に暴れていただきたいものです。
  
  ▼
  
「人生の正午」といわれる40歳を超え、この世代に入ってくると、ときには、若い世代にまじって、ひとり仕事をすることも増えてきます。僕以外は20代、30代。僕だけ40代という仕事も、ままあります。つまり、知らないあいだに、僕に「下の世代」が生まれてくるのです。
  
 そんなとき、僕には、いつも脳裏に浮かぶひとつの言葉があります。それは、アパレル企業「ワークマン」専務取締役の土屋哲雄さんが、僕との対談のときにもらしたひと言です。
  
 ワークマンといえば、現場の社員にエクセルを用いたデータ分析をさせ、店舗で様々な試行錯誤を繰り返し、躍進を続ける、今、もっとも熱いアパレル企業のひとつかな、と思います。
  
 土屋さんがおっしゃったひと言とは
  
「自分は、いつも50%は間違う、と考えるといい」
  
 というものです。僕は、土屋さんのこの言葉にグッときました。
 現場の社員たちが創意工夫を発揮する場を与え、最高益をだしつづけるワークマンの秘訣が、ここにあると思ったからです。
    
 土屋さんはおっしゃいます。
  
「中原先生、僕はいつも50%は間違えるって思ってる。だから、僕は社員の発案を信じる」
   
 この土屋さんの言葉は、より詳細に分解して考えると、こういうことになるのかな、と思うのです。
  
「現場の感覚をつかめているのは、おそらく年配の世代ではなく、若い世代であること」
  
「世の中の変化をつかんでいるのは、おそらく年配ではなく、若い世代であること」
  
「だからこそ、自分は彼らの現場感覚・アンテナ感覚を信じなければならないこと」
  
  ・
  ・
  ・
  
 こうした一連のことを、リーダーは潔く認めなければならない、ということなのかな、と思います。
 しかし、一方で、リーダーには「経験」というものがあります。これが生きることもある。おそらくは「50%」くらいは。だからこそ「僕は50%間違う」なのかな、とも思うのです。
  
 多くの人々がよってたつ「経験」はたかだか意志決定の正しさのうち「50%」くらいしか保障しない、ということなのでしょうね。変化の早い時代にあっては。
  
  ▼
  
 しかし・・・この言葉は、なかなか実行できることではありません。
 頭ではわかっていても、年配の方々や管理職の方々のなかには、
  
「自分は100%正しい」
「自分の判断は、100%間違っていない」

  
 と考えてしまう方もいらっしゃるのではないか、と思うのです。これは、自戒を込めて、そう申し上げます。そうして、若い人々の発案や意志決定を潰してしまうことも、ままあるのかな、と思います。
   
「自分は100%正しい」という世界観から、「自分は50%間違っている」という世界観への転換が図れれば・・・おそらく、若い方々とも関係を取り結び、リーダーとして、年配者として大成するのかもしれません。が・・・皆さんの周囲の方々は、いかがでしょうか?
  
 ま、これは年齢ではない、ともいえる。若いときから謙虚なひとは謙虚だし、年齢がいっても変わらないひともいますけれども。
  
 あなたの周囲の年配者・リーダーたちは「自分は100%正しい症候群」に陥っていませんか?
  
 あなたは「自分の判断は100%間違えない病」に罹患していませんか?
  
 そして人生はつづく
  
    ーーー
  
【無料・講演募集中】2月17日パーソルカンファレンスで、新研究「転職学」の成果を、同社の小林さんと発表させていただきます。今、絶賛、そのプレゼンをつくっているのですが・・・なかなか苦戦中。1500人以上の方がご参加いただけるそうです。頑張ります! 無料ですので、ぜひお越しくださいませ!
(本研究はパーソル総研・小林さん、パーソルキャリアの吉村さん、平田さん、影山さん、藤田さんらとの共同研究の成果です!)
 

パーソルカンファレンスお申し込みサイト(2月17日です!)
https://www.persol-group.co.jp/service/business/lp/conference-21-online/index.html?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=conference_event&utm_content=webinar&gclid=CjwKCAiAjeSABhAPEiwAqfxURWVz8eUpUrzjkuAVd-G6g4HBtDQPvdaBZ8kg1RLpGWWS0Zra9VNl-hoCIH8QAvD_BwE
  
 ーーー
  
【新刊予約発売中】
新刊「学校がとまった日」の特設サイト完成!&予約販売開始中! 緊急事態宣言・全国一斉休校で「学びを継続できた子どもの特徴」は?学びをとめないために学校にできることは?:書籍の内容が概観できます!どうぞご覧くださいませ!
  

新刊「学校がとまった日」の特設サイト
http://toyokan-publishing.jp/stop/index.html
  
新刊「学校がとまった日」予約販売開始中(AMAZON)

   
  ーーー
     
【好評発売中】1on1の失敗・成功ケースをまとめ、映像教材を中原とPHP研究所さんとで開発しました。失敗しない1on1について、具体的なイメージをもって学ぶことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
   
  ーーー
   
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
   
  ーーー
  
ラーニングエージェンシーさんと中原研究室の共同研究により開発した「女性の視点で見直す人材育成:トランジションサポートプログラム」のご提供がはじまっています。ライフステージに応じて、役割移行を支援する、きめ細かい研修となっています。共同研究の成果は書籍「女性の視点で見直す人材育成」としても刊行されています。
  
女性の視点で見直す研修 トランジション サポート プログラム
https://www.learningagency.co.jp/service/transition/
 

 
 ーーー
    
。AMAZONの各カテゴリーで1位記録!(会社経営、マネジメント・人材管理・労働問題)。
長時間労働はなぜ起こるのか? 長時間労働をいかに抑制すればいいのか? 大規模調査から、長時間労働の実態や抑制策を明らかにします。大学・大学院の講義調で語りかけられるように書いてありますので、わかりやすいと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
また残業学プロジェクトのスピンアウトツールである「OD-ATRAS」についても、ご紹介しています。職場の見える化をすすめ、現場マネジャーが職場で対話を生み出すためのTipsやツールが満載です。ご笑覧ください。
    

対話とフィードバックを促進するサーベイを用いたソリューション「OD-ATLAS」の詳細はこちら
https://rc.persol-group.co.jp/learning/od-atlas/
   
  ーーー
   
「研修開発ラボ」(ダイヤモンド社)が、フルオンライン化して大幅リニューアルしました。人材開発の「基礎の原理」を学ぶことのできるトレーニングプログラムです。どうぞお越しくださいませ!
    
研修開発ラボ 特別講座「人材育成の原理・原則を学ぶ」
https://jinzai.diamond.ne.jp/seminar/SEMINAR0495/
  
 ーーー
   

     
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
    

    
 ーーー
  
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
      
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。利用人数20名までは「無料」だそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
    
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
   
 ーーー 
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約31000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.4.17 23:54/ Jun

給特法、および、それにまつわる中教審審議に対する私見(中原淳)

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.17 08:17/ Jun

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.15 08:05/ Jun

「タイパ重視の時代」だからこそ「時代遅れ!?のラーニング」を楽しむ!

2024.4.15 07:29/ Jun

【参加費無料】リーダー育英塾2024募集開始!:特色ある学校づくり+持続可能な学校づくりを進めたいあなたへ!

日本の企業はホワイトになったのか?:あなたの周りには「ノスタルジー温泉」につかって「昔」を懐かしんでいるひとがいませんか?

2024.4.4 08:57/ Jun

日本の企業はホワイトになったのか?:あなたの周りには「ノスタルジー温泉」につかって「昔」を懐かしんでいるひとがいませんか?