NAKAHARA-LAB.net

2020.2.28 09:33/ Jun

本日発売!僕の新刊「サーベイフィードバック入門ーデータと対話で職場を変える技術【これからの組織開発の教科書】」

本日2月28日、僕の新刊「サーベイ・フィードバック入門――「データと対話」で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】」が発売になりました!
  

サーベイ・フィードバック入門――「データと対話」で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】
https://amzn.to/39YXbI1
     
  ▼
  
「サーベイフィードバック入門」は、
  
1.サーベイ(組織調査)によって職場を「見える化」し、
  
2.それらのデータを職場に返すことをとおして(フィードバック)
  
3.職場のメンバーのなかに「対話」をうながし
  
4.職場の改善を進めたり、変革を行ったりする
  
 ために必要な基礎理論、実務的ノウハウ、企業での実践事例をコンパクトに学ぶ本です。
  
 1.実践の前には押さえておきたい「理論」
 2.中原研究室が、これまで各種のプロジェクトで蓄積してきた「実務ノウハウ」
 3.パナソック、メルカリ、デンソーさんでの「最新企業事例」
  
 の3つをすべて1冊で学べるところが最大のウリです(笑)。
 1粒で3度おいしい(笑)
    
 この本を通して読者のみなさまは、
     
 データにもとづく人事
 対話をとおした職場づくり
     
 に関する知見を、これでもかと学ぶことができます。
 どうぞご笑覧くださいませ!
  
 近年広がりをみせているHRテック、従業員調査、エンゲージメント調査、教学IRなどなど・・・「組織における各種の調査・データ」を用いて、職場・組織づくりを行うことをめざす、すべてのひとびとに、お読みいただけるよう、執筆・編集を行っています。
 経営者はもとより、人事担当者、実務担当者、そして現場のマネジャーの方々にもお読みいただけるよう、平易に簡潔に、サーベイフィードバックの本質を書いています。
  
 どうぞご笑覧くださいませ!
  
サーベイ・フィードバック入門――「データと対話」で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】
   
 以下、本書の詳細なご紹介です(再掲)。
  
 ▼
  
「サーベイフィードバック入門」は、理論から実務ノウハウ、さらには、企業事例まで、「調査を実務に活かすこと」のすべてを、縦横無尽に書き連ねた本です。
  
 まず、本書の冒頭で「サーベイフィードバックとは何か」について考察を深めます。
  
 ここでサーベイフィードバックとは、
  
1)組織調査(従業員調査やHRテックを含む:サーベイ)によって職場・組織をデータによって「見える化」することを通して、
  
2)そのデータによって、職場メンバーが対話を行いつつ、組織を変革する手法
  
です。
  
 サーベイフィードバックは、組織開発の手法のひとつですが、人材開発においても、360度調査(多面評価)などで用いられています。サーベイフィードバックは、「これからの人づくり・職場づくり」には、必須のスキル、必須の内容・経験となるでしょう。ぜひ、人材開発・組織開発をなさるすべての方々にお読みいただければと思います。
  

  
 サーベイフィードバックは、近年、HRテックなどの隆盛により非常に一般的になっていますが、一方で、「多数の、頭の痛い問題」も生み出しています。
  
最大の課題は、
  
 サーベイを通じて組織や現場のコンディションを「見える化」するべく、多種多様なデータを大量に取得したのに、そのデータが活かされておらず、死滅している
  
 といったものや
  
 現場・職場・チームにフィードバックされたが、それらの改善に寄与するどころか、むしろ、現場に混乱をもたらしている
  
 というものではないでしょうか?
   
 1.ザ・「やりっぱなし」の調査
  
 2.活かされることのない「ゾンビデータ」
  
 3.現場を陥れる「何していいんだかわかんない数字」
    
 日本全国津々浦々・様々な組織で、こうしたお悩みが生まれています。そして、そんな組織には、現場の人々のため息と怒りが、こだましています。
  
「ただでさえ忙しい中、面倒くさい調査に協力して答えた。けれども、その後のフィードバックもなく、あれはいったい何だったんだろう……」
  
「月に一度、うちのメンバーはアンケートに回答させられていて、その結果が、メールでマネジャーの私に飛んでくる。でも、膨大なデータが返ってくるので、何をどのように改善していいかは、まったくわからない……」
  
「毎月毎月、サーベイの質問に真面目に回答しているが、それで職場が良くなる気配はいっこうにない。それどころか、最近はその結果もフィードバックされなくなってきた・・・」
  
 本書は、こうした「嘆き節」を、これ以上、現場に生み出さないために、様々な理論、ノウハウ、企業事例をおしげもなく掲載しています。ぜひ、これから企業で組織調査を実施なさる場合には、本書を現場のマネジャーの皆様にお渡しいただいたり、そのエッセンスを研修などで語っていただければと思います。
  

  
  ▼
  
 本書のしょっぱなでご紹介したいのは「サーベイフィードバックの根幹を支える理論」です。
 ここで皆さんに問題がございます。
  
【問題】
 多くの企業で実施されている組織調査は、なぜ、どのようにして「組織を変えること」に寄与するのでしょうか?
 A4×1枚で理論的に説明しなさい
  
 学部の試験っぽいですが(笑)、皆さんでしたら、このような問題になんと答えますか?
   
  ・
  ・
  ・
   
 おそらく、この問いに関しては、多くの方々は、あまり考えを巡らしたことはないはずです。
   
 なんとなく
    
「調査って、組織を変える機能をもってるんぢゃなかったっけ?」
  
 と「トートロジー的な答え」をもって、回答してしまいがちではないでしょうか。
  
 あるいは
  
「ベンダーやコンサルが、調査は、組織を変えるって言っていたけど・・・・」
   
 と回答してしまうのではないでしょうか。
  
 しかし「これもやむをえないところ」もあるのです。
 実は、これまでサーベイフィードバックについては、理論的に考察した本は、あまりありません。本書では、これをしっかり理論的に考察することから、サーベイフィードバックの「本質的な理解」をすすめます。
  
 すこしだけ紹介させていただきますと、古典的には、サーベイフィードバックには「コレクション効果」といったものがあると言われています。それが何かは、ぜひ、本書をお読みくださいませ!(笑)ごめん、それを語るだけで、数ページかかります。
  

  
 また「フィードバックシステム」という概念の理解も、サーベイフィードバックの本質を理解する上で、非常に重要です。
 本書では、システム理論をなるべくなるべく平易に解説した上で「フィードバック」というアイデアに理解を深めます。フィードバックは、それ自体、モティベーション効果、キューイング効果、外在化効果という効果をもっています。本書では、このように「なぜ、サーベイフィードバックが現場に変化をもたらすか」を根源的に考えるところからはじめます

  

  

  
 みなさん、サーベイフィードバックの本質を、「理論」から理解しませんか?
  

   
  ▼
  
 理論的な理解をしっかり行ったあとは、サーベイフィードバックの重要な「見える化」と「対話」のうち、「見える化」の部分にこだわります。
  
 一般にサーベイフィードバックや組織調査では、従業員調査が注目されがちですが、実は、「見える化の方法に」は、いくつかの手法があることを論じています。組織開発や職場づくりは、定量的手法だけでなく、定性的な手法も重要です。本書では、こうした「基本の基」から、「見える化の基礎」を学びます。
    

  
 また、もしサーベイを用いるのであれば、「サーベイの選び方」についても実務バリバリで解説しています。
 サーベイには、自社で開発するものと、外部のベンダーが提供するものがあります。それらは、それぞれ、メリット・デメリットをもっていきます。本書では、こうした基本的な内容から、「見える化」を見直します。
  

  
 これまで、従業員調査、エンゲージメント調査、HRテックを、ベンダーやコンサルのいいなりで選んでいた方には、ぜひ読んでいただきたい内容です。
  
 あなたの組織を「見える化」するとは、どういうことなのか?
 もう一度、地に足をつけて考え直してみませんか?
  

   
  ▼
  
 最後は、サーベイフィードバックの「フィードバック」の部分ーすなわち、職場でフィードバックミーティングを開催し、いかに対話をすすめ、職場づくりを行っていくかについて、2章をかけて論じます。
  
 本書で何度も何度も繰り返しているテーゼですが、
 
 データや見える化、そのものが、組織を変えるわけではありません
 組織を変えるのは、「見える化されたデータ」をもとに、現場のひとびとが対話し、意味づけられたときのみです
  
 ですので、フィードバックや対話をいかにうながすかは、サーベイフィードバックの本質です。
 本書では、この本質をゼロから学ぶことができます。
  

  
 対話を促すひとびとが、いかにルールを設定しながら、職場で生産的な対話の生み出すかについても、考察をしています。
  

  
 本書では、下記のように、各所に「現場マネジャーの方々」に対するコラムやヒントがちりばめられています。
 いわゆる、プロの組織開発担当者、人事担当者でなくても、現場マネジャーが思わず悩んでしまうような内容に関しては、ここで学ぶことができるようになっています。
     

  
 現場マネジャーの方々が、職場で対話をうながすときにそのまま使える「台詞(スクリプト)」なども掲載されています。対話をうながすときに悩まれる場合は、本書でご紹介したスクリプトを、そのまま職場で、用いることができます。
  

  
 データを用いながら、職場に対話をうながす方法を、「基本の基」から学んでみませんか?
  

  
  ▼
  
 最後は、企業事例です。
 今回は、メルカリの石黒卓弥さん、パナソニックの大西達也さん、デンソーの中川浩人さん、金森英明さんらの協力を得まして、各社の組織開発事例、職場づくり事例を企業事例として収録させていただきました(この場を借りて感謝いたします)。
   

  

  
 どの事例も素晴らしいもので、非常に示唆にとみます。
  

  
 企業によって、サーベイフィードバックのあり方、組織開発のあり方は、異なります。
 自分の会社にフィットした組織開発のあり方が見つかることを心より願っています。
  

  
 サーベイフィードバックを経営に活かす!
 生々しい企業の事例、皆さんも学んでみませんか?
  

 ちなみに・・・玄人さん向けのコンテンツもございますよ。
 たとえば、組織開発には「コンテナ」という概念がございますが、そういう概念を詳細に紹介しています。
  

    
  ▼ 
  
 最後になりますが、謝辞を述べさせていただきます。まず本書の編集・構成の労をとってくださったのは、PHP研究所の宮脇崇広さん、(株)オフィス解体新書の杉山直隆さんです。また、近年、サーベイ・フィードバック、組織開発の研究をともに進めてきたパーソル総合研究所OD-ATLA 開発チームの小林祐児さん、青山茜さん、種部吉泰さん、岩崎真也さん、櫻井功さん、渋谷和久さん、ダイヤモンド社のワークプレイスラーニング組織診断を10年前から筆者とともに推進してきた永田正樹さん(ダイヤモンド社)、松尾睦先生(北海道大学)にも心より感謝いたします。
 また本原稿の試読をしてくれ、筆者にフィードバックをくれた立教大学中原ゼミナールの学生諸氏、柴井伶太さん、我妻美佳さん、秋山亮さんにも心より感謝いたします。また、これ以外にも多くの方々との共同研究の経験の蓄積のうえに、本書は編まれています。それぞれのプロジェクトの皆様への謝辞は、本書の後書きに記されております。どうぞご笑覧ください。
    
 いよいよ本日2月28日発売です!
  
 サーベイフィードバック入門ー「データと対話」で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】
    
 どうかご笑覧くださいませ! 
 本書がきっかけとなって、よりよい組織、働きがいを感じることのできる職場が、さらに生まれることを、僕は願っています。
 研究者が、経営の実務に貢献できるところは、まことに少ない。本書で紹介する理論、わたしどもの研究室が、さまざまな研究でちつかってきたノウハウなどが、皆さんのお役に立てることを心より願っています。
    
 まだ詳細は決まっておりませんが、3月・春には、オンラインで読書会などもやってみたいなと思っています。それまでに、どうかご笑覧くださいませ!
    

サーベイ・フィードバック入門――「データと対話」で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】
https://amzn.to/39YXbI1
  

ブログ一覧に戻る

最新の記事

褒め方ひとつ間違えると「怯える、いい子」を量産してしまうメカニズムとは何か?

2024.4.24 08:22/ Jun

褒め方ひとつ間違えると「怯える、いい子」を量産してしまうメカニズムとは何か?

2024.4.17 23:54/ Jun

給特法、および、それにまつわる中教審審議に対する私見(中原淳)

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.17 08:17/ Jun

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.15 08:05/ Jun

「タイパ重視の時代」だからこそ「時代遅れ!?のラーニング」を楽しむ!

2024.4.15 07:29/ Jun

【参加費無料】リーダー育英塾2024募集開始!:特色ある学校づくり+持続可能な学校づくりを進めたいあなたへ!