The Long & Winding Road - 2004/03

        


    
"Spring comes" by Miwa
    


2004/03/31 文部科学省 大学共同利用機関 メディア教育開発センター、最後の日

 今日は「国立大学」最後の日である。そして、同時に「大学共同利用機関」の最後の日でもある。

 僕の勤務先である「文部科学省 大学共同利用機関 メディア教育開発センター」は、明日から「独立行政法人 メディア教育開発センター」になる。僕は、今日をもって助手(文部科学教官)、国家公務員の身分を失う。明日からは、「独立行政法人 メディア教育開発センター」の教員として雇用される予定である。
 
 「それは形式的なものだ」と人はいうかもしれない。

 しかし、僕は正直にいうと、そう思っていない。内部にいる人間にとってよい方に変わるのか、悪い方に変わるのか、それは僕にはわからない。が、こういう改革が、形式的であるとは全く思っていない。

 まことに数奇な運命か、うちの家族は、父母が「電電公社からNTTへの民営化」を経験し、妹が「郵便局から郵政公社への組織改革」を経験している。その彼らの経験から言っても、次第に大学や大学共同利用機関のあり方も変わってくるのだと思う、静かに、そして確実に。

 少なくとも僕にとっては、「文部科学省 大学共同利用機関 メディア教育開発センター」は、とてもよい研究環境であった。大変自由に、そして、のびのびと研究をさせてもらえた。僕の場合、博士課程を中退しここに就職したが、ここで研究できたことは望外のシアワセだった、心からそう言える。

 終わりは始まり。
 また新しい日々が始まる。


2004/03/31 漬け物のモト

 カミサンが「漬け物のモト」を送ってきてくれた。「梅味」と「青じそ味」の浅漬けを速攻でつくることができるやつ。早速、とてつもない大きさのきゅうりを1本買ってきて、モトに浸す。こちらでは、この大きさしかないのだ。よく揉んで、冷蔵庫で冷やすこと30分。ほどなくして、漬け物ができあがった。

浅漬け
   
  

  

左の写真を見よ。僕は、今まで手の大きさだけは人に負けたことがない。そのくらい手が大きい。しかし、こちらでうっているきゅうりは、僕の手の大きさなんて目じゃない。きっと日本のきゅうりの4本分くらいはあると思う。

  

 アタリマエのことだが、漬け物の味には一滴の「アブラ味」も感じなかった。そのスガスガシサに感動した。そうだ、オマエを僕は待っていた。涼やかなその味に、心が動いた。

 たかが漬け物、されど漬け物。浅漬けひとつで感動できる自分に気づく。
 僕のような立場で、アメリカで暮らすとは、そういうことなのかもしれない。

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 後日談。あまりに漬け物がおいしくって、それを肴に酒を飲んでいたら、飲み過ぎて胃が少し痛い。一人酒でカラダを壊すというのは、ダメ人間の1歩手前である・・・カタジケナイ。漬け物がうまかったこともあるが、ちょうど、その日のワインが以上にうまかったこともある・・・トホホ。

 漬け物恐るべし!


2004/03/30 デイブ=ブルーベック

 週末の夜、ハーバード大学の講堂で開催されたデイブ=ブルーベック・カルテットのJazzコンサートにいった。デイブ=ブルーベックのレコードは、僕がはじめて買ったJazzのアルバムであった。今からもう15年以上も前のことである。そのアルバム、名前を、「タイムアウト」といった。

 テイクファイブはこんな曲(原曲とは違うけど、雰囲気はわかる)

 デイブ=ブルーベック・カルテット「タイムアウト」

 デイブブルーベックを知らない人はいるかもしれないが、彼らの代表作である「テイクファイブ」を聞けば、「あっ、あの曲か」と思うだろう。日本では、健康ドリンクのCMなんかに使われたことがある。l

 今回、彼らの演奏を生で見るのはもちろんはじめてで、その音楽に時がたつのを忘れてしまった。気づいたときには、最後の演奏曲であるテイクファイブを迎えていたというのが事実である。もう70歳をこえる高齢だというのに、彼らは、今、米国やヨーロッパを演奏旅行する毎日をおくっているのだという。先月は1日しか自宅にいなかったと言っていた。

  それにしても、週末の大学の構内に一流にアーティストがくるってのは、とてもよいことだと思う。大学は、知的であるだけでなく、文化的であってほしいと思う。

コンサート
   
  

  

コンサートが行われたハーバード大学のホール。コンサートは満員だった。右の写真は、講堂内部である。それにしても、この大学は、すべての雰囲気がいちいち「ハリッポッター」的である。

  

 カルチャーを欠いた知性に、僕はあまり魅力を感じない。


2004/03/29 ニューヨーク

 先日週末を利用してニューヨークに一人旅したときの写真ができた。ニューヨークではここぞとばかりにミュージカルを3本も見て、美術館をじっくり堪能してかえってきた。6月に僕と妻の親・親戚がこちらに遊びにくるが、そのための下見もかねた小旅行であった。

ニューヨーク
   
  

  

左は国連ビル。とてもスゴイ警戒態勢であった。左はタイムズスクエア。ミュージカルはやっぱり楽しい。

  
ニューヨーク
   
  

  

左はメトロポリタンミュージアム。フェルメールやルノアールの絵画はいうにおよばず、「鎧の展示」、「アメリカのインテリアの展示」などが特に楽しめた。右は、9/11以降、NYで一番高い建物になったエンパイアステートビルデイング。

  

2004/03/28 第三の道

 朝、ハーバード教育大学院に通っているウォーレンと、田口さんとハーバードスクエアで待ち合わせて散歩。今日のボストンは、数日前とはうってかわって死ぬほど寒かったが、何とか完歩。そのあと、ウォーレンのドミトリーにいったり、お昼を一緒にしたりして、話した。とても楽しかった。

 ウォーレンは、小学校の校長先生になるべく、この大学院に通っている。こちらで校長先生になるためには、多くの場合、数年の教職キャリアのほか、修士号以上の学歴が必要である。授業の中には、講義やディスカッションの他に、ケースメソッドなどを組み合わせたものもある。

 すべての学校がそういうわけではないが、多くのこちらの学校では、校長先生は、「経営者」である。教員を雇用・解雇したりする、予算を決定するなど、様々な権限をもっている。教員の解雇に関しては様々な手続きがあり、最低3年間は時間を要するが、そのほかのことは、迅速な意志決定を求められる。リーダーシップを発揮し、学校をマネジメントしていくことが期待されている。

 校長には任期がある場合が多い。マサチューセッツ州、カリフォルニア州の場合は1年契約であるとのことである。募集は、ちょうど日本の研究者公募のように行われているようだ。契約を更新されるかどうかは、校長や学校の業績を評価するスーパーインテンデントという人たちによって決定されるのだという。ニューヨークの場合、1名のチャンセラー、11名のスーパーインテンデント、多くのアシスタントインテンデントがその任にあたっている。

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 教育の世界における「リーダーシップ」...それによる学校改革。

 前の日記にも書いたことだが、日本の教育現場においては、これまであまり注目されてこなかった概念であろうと思われる。日本の教育現場の場合、どちらかというと、「教師同士の協同による実践の吟味」が従来から行われてきた。アメリカでそれが言われる以前から、ずっと日本の教師たちはそうしたかたちで、教育の質の高さを維持してきたことは、間違いのない事実である。

 しかし、ここで詳細を述べることは差し控えるが、それだけで立ちゆかない社会的問題、つまりは学校全体として一貫した姿勢をもって取り組むべき教育的課題が生じてきているのも事実である。昨今の教育現場では、教師同士の協同性が失われてきているとも言われている。そもそも、協同性を発揮できる場をつくるためには、リーダーシップが必要であるとも言える。予算の執行や、人間の雇用などで権限を発揮するのもリーダーシップかもしれないが、教師同士の結びつきをつくることも重要なリーダーシップの要件である。

 しかし、だからといって、ここで単純に、「リーダーシップを教育現場に導入せよ」「リーダーシップの養成プログラムを日本の大学院につくれ」という結論をだすのは、早計であると僕には感じられてならない。それもよいかもしれないが、おそらくは根づかないと思うのである。「現場でおこっている出来事」を一番よく知っているのは、現場の先生方であり、実際に現場を変革するのも彼らである。彼ら自身が歩んできた歴史や、彼らがもつ文化との整合性をつける必要があるのではないかと思う。

 日本が誇る教師同士の同僚性による実践の変革、それに対して、どのようにリーダーシップをかみ合わせるかが、課題であるように感じる。そのためには、両者からシナジーを生み出せるような第三の道の模索が必要なのだろう。研究的には、理論的接合の可能性を模索することも必要であるように感じるし、それをふまえた実践研究も必要なのであろう。


2004/03/27 白い巨塔

 白い巨塔...

 ボストンにきたあとでも、密かにカミサンにビデオを送ってもらって、見続けていました。最終回のDVDが、今日、日本から届いて、さっき見終わりました。日本でドラマはもう随分前に終わっていたのかもしれないけどね、僕の中で、今日がようやく完結です。もちろん、小説でも読んでいたけどね、やっぱり映像になるとひと味違うね。

 このドラマ、どうして僕がずっと見続けていたのかというと、ドラマの主題に通底している「基礎研究と臨床研究」「研究業績と医療業績」とか、そういう、ほとんど解決不能なコンフリクトが興味深かったからです。

 「教授選の攻防」も十分オモシロかったけれど、「ペーペーの助手」には、どうしてもこれは実感がわかない。それよりは、そういうコンフリクトに共感を寄せてしまうというのかね。

 ちなみに、個人的には、財前教授のようなキャラに魅力を感じます。別に奇をてらって「悪役」に敢えて一票を投じているわけでもないです。が、個人的にはとても美しいのだけれども里見助教授は好きになれません。

 と思っていたら下記のようなページを発見。

 僕たちの好きな白い巨塔
 http://kodansha.jp/cgi-bin/webgendai/shiroikyoto/vote/viewresult.cgi?question=12

 あなたはいかがですか?


2004/03/26 プロフェッショナル

 アメリカの大学院の中には、企業内の人材育成担当者を育成する教育プログラムをもうけているところがあります。要するに、企業内の学習戦略、教育戦略を構築するプロフェッショナルを養成する大学院教育ということですね。

 そのプロフェッショナルの名前ですが、たとえば「Workplace learning & Performance professional」といったり、「HRD professional」といったりします。細かいことを言えば、違いはあるのですが、その定義自体も曖昧ですし、ここでは区別せず「人材育成プロフェッショナル」とよぶことにしましょうか。

 この領域、研究者の数も限られているので、それほど数は多いわけではないです。ですが、中にはオンラインで受講できるものもありますね。たとえば、下記のようなものがあります。

フロリダステート大学 Human Resource Development
http://www.fsu.edu/~hrd/
http://www.fsu.edu/~hrd/programs/masters.html

イリノイ大学 Dept. of Human Resource Development
http://www.hre.uiuc.edu/
http://www.hre.uiuc.edu/online/index.htm

コロンビア大学 Organization & Leadership
http://www.tc.columbia.edu/academic/o&ldept/
http://www.tc.columbia.edu/academic/o&ldept/adulted/

ニューヨーク大学
http://www.scps.nyu.edu/departments/degree.jsp?degId=58

バンダービルト大学
http://peabody.vanderbilt.edu/lpo/hrd.htm

ボストン大学
http://www.bu.edu/education/students/prospective/graduate/programs/admin-policy/tyngsboro/tyngsboro.html

コーネル大学
http://www.ilr.cornell.edu/

 ここでどのような学習が行われ、それでどのようなExpertiseがつくのか、とっても興味がありますが、ホントウのところ詳細はわかりません。もしどなたかここを卒業した方がいらっしゃって、お話など聞けるととても嬉しいのですが。

 願わくば、ここで学んだことが現在のキャリアにどう活かされているのかも知りたいですね。



2004/03/25 ダイガクカイカク

 文部科学省のページにダイガクカイカクの現状に関する報道発表がのっていた。

 大学における教育内容等の改革状況について(文部科学省)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/03/04032301.htm

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 また、僕の仕事がらみでは、下記のような調査研究協力者会議の議事録・資料も見つけた。この調査研究協力者会議のことは、山内さん、西森さんらがワーキングループに参加していらっしゃったから、少し話は聞いていた。

 国際的な大学の質保証に関する調査研究協力者会議(文部科学省)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/024/index.htm

 資料など、とても充実していて参考になった。

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 ...今日は26日、国立大学最後の日まで、既に残り1週間をきった。


2004/03/24 春休み

 今、MITは春休みである。

 ということで、学生ではないのだが、僕もこの機会に便乗し今週を春休みとすることにした。春休みといっても何もしないわけではない。新たになるべく情報を入れることをしないで、整理することに時間を使うという意味である。

 2月から3月にかけて少しずつ忙しくなっていった。だんだんと忙しくいったんだよね・・・なぜだろうか、それは幸せなことではあるけれど。

 しかし、時には、少し整理することも重要である。整理されない情報は、たとえ、それがどんなに貴重なものであったとしても、すべていつか失われる。

 1週間・・・短く、そして貴重な春休み・・・それにしても読まなければならない文献は日々増えていく(涙)。


2004/03/23 不思議

 こちらにきて不思議で不思議でしゃーないことのひとつに - 「ひとつ」というからにはたくさんあるんだけどね - スーパーマーケットでのレジの非効率さがある。最近、僕は自炊をしているので、スーパーマーケットによくいく。いつもサラダと、ブロッコリーと、パスタを買う。

 ともかく・・・

 僕にはアメリカのスーパーマーケットは非効率の固まりであるように感じる。いつお買い物にいっても、レジに長い列ができている。そして、その列の長さを店員は誰一人として気にしている様子はない。客の方も慣れているのだろうか、全然気にしている様子はない。

 「プラスチックとペーパー、どっち?」と聞くことの意味がわからない。思わず、「どっちでもいいからはやく品物を入れろ」と言いたくなる。

 わざわざ、客が買いたい品物をひとつひとつベルトコンベアに乗せることの意義もわからない。買い物かごから直接商品をとってレジ打ちすればよいのにとふと思ってしまう。

 そんなこんなで長い行列ができているのに、店員がひとつひとつ買い物袋に品物をいれてくれる意味もわからない。そんなことしてる場合じゃないだろ、と思わず、その作業を手伝ってしまう。「いいよ、オマエははやく次の客のレジうてよ」と思って、ついつい、自分の商品を手に取ってしまう。

 アメリカ人がプラクティカルとは誰がいったか。どこがプラクティカルなのか教えて欲しい。少し前にアメリカで流行っている映画に、「Lost in translation」があったが、「それはこっちのセリフだ、こんちくしょー」と言いたくなる。

  どうでもいいことだが、いつも不思議に思う。


2004/03/21 ファカルティデベロップメント

 先日、同じMITのCECIで客員研究員をやっているフランチェスカとミーティングをもった。先日、フランチェスカと僕が話していたときに、彼女の研究領域がファカルティ・ディベロップメントにあるということを知って、それならば田口さんに引き合わせようとしたのが、きっかけだった。今日のミーティングには、田口さんも参加した。

 フランチェスカは、スイスの大学からMITに調査にきていた。彼女が事例研究の調査対象としたのは、MIT、タフツ大学、ノースイースタン大学というボストンの3つの大学。

 彼女のリサーチテーマとは、「ITを活用した教育を行うために、それらの大学ではどのようなサポートをファカルティに対して行っているか」ということである。彼女は、各大学の関係者に対して、各種のインタビューを行った。

 もともとビジネスのバックグラウンドをもつ彼女は、この問いに対して、組織構造的なアプローチを行っている。彼女の発見はいくつかあるだろうが、ファカルティディベロップメントを、各学部から独立したCenterized organizationが行うか、各学部の内部につくられるFD部門のような、independent and decenterized organizationが行うかに関して考察を試みていた。それぞれにメリットがあり、デメリットがある。

 彼女と話していて、僕自身思ったことは次のとおり。

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1.ファカルティディベロップメントをどこで行えばよいのか、という問いに対する答えは、「It depends on each university」という他はなさそうである。

→組織の分散性の程度、意志決定の所在は、大学に依存してしまう。それらが一様でない以上、ジェネラルな回答をだすことは難しい。ただし、フランチェスカによると、米国の大学では図書館司書が専門職として確立している。彼/彼女たちは、専門性を有しているし、Pedagogical content knowledgeも高い。故に、centalizeした機関でそれを行う場合、図書館司書にその役割をもたせることは、ある程度妥当性があると言っていた。

2.ファカルティディベロップメントを行うに際して参考になりそうな、「ジェネラルなファカルティ学習モデル」「ジェネラルなファカルティ成長モデル」「ファカルティに必要なジェネラルな知識モデルの構築」は、どうも難しい。

→もし可能であったとしても、一般的に教師研究で語られる教師知識モデルや、成長モデル等との差異がつけにくいのではないかという懸念がある。僕自身は、教師教育でいうところの、それらのモデルと同じモデルをある程度当てはめてもよいのではないかと思っている。

3.少なくとも、ボストンで僕があった人の話から類推するに、ここでは、ファカルティデヴェロップメントは、コンサルタントモデルで行われるべきだとされているようである。つまり、日本のように学部から独立させ、どこかの機関が一様にサービスを行うのではないということである。各学部が、その当該知識領域に精通し、Educational Technologyの素養のある人を個別にやとい、あくまでファカルティとOne to oneでコンサルテーションに応じるというモデルで、ファカルティディベロップメントを行うことがよしとされている傾向にある。

→OCW(オープンコースウェア)のファカルティリエゾンの仕組み、SMAのファカルティリエゾンの仕組みがそうである。

4.上記のような事情故に、ジェネラルなファカルティディベロップメントを対象とした研究領域は、日本だけでなく、ヨーロッパでもアメリカでも盛んではないようである。「海外ではファカルティディベロップメント研究は盛んだ・・・だから日本もやらなければならない」ということが言われているが、それは、これまで僕がいろいろな人に聞いた限り、どうも眉唾ではないかと思う。事態はそれほど変わっていない。ただし、提供している教育の質には差があるように思う。

5.4で生じている教育の質の格差は、ファカルティ個々人の教育能力の差というよりも、テニュア制度、評価制度等、大学の組織構造から生まれているように思われる。故に、ファカルティの教育の質を向上させようとするならば、これらの制度に対してもアプローチを試みる必要があると思う。


2004/03/20 学術雑誌

 下記は、今、僕があさっている「企業の中の学び研究」に関連ありそうな雑誌のリスト。この領域に取り組んでみたいキトクな人がいれば、是非、一緒に読みましょう。

 英文雑誌、みんなで読めばツラクナイ・・・わけない。

【実践的な雑誌】
 □Training
  →http://www.trainingmag.com/training/index.jsp  
 □Executive edge
 □Executive
 □Chief learning officer
  →http://www.clomedia.com/
 □Exective exellence
 □Harvard business review
  →http://harvardbusinessonline.hbsp.harvard.edu/
 □Training and Development Magagine
  →http://www.astd.org/astd
 □HR Magazine
  →http://www.shrm.org/
 □Human resource planning
 □HR exetive review
 □HR Forcus
 □Harvard bussiness school case

【研究的な雑誌】
 □Human resource management
 □The academy of management
 □Journal of management education
 □Journal of human resource
 □Journal of occupation and organization
 □Performance Improvement Journal
  →http://www.ispi.org/
 □Performance Improvement Quarterly
  →http://www.ispi.org/
 □Educational Technology Research and Development
  →http://www.aect.org/default.asp
 □International Journal on E-Learning (IJEL)
  →http://www.aace.org/
 □Organization
 □Organizational science
 □Organizaional studies
 □Reflection(Society of organizatonal learning)
  →http://www.solonline.org/
 □Adult Education Quarterly
  →http://www.aaace.org/
 □Adult Learning
  →http://www.aaace.org/
 □General Training & Human Resource Development
  →http://faculty.okstate.edu/ahrd/
 □Human Resource Development International
  →http://faculty.okstate.edu/ahrd/
 □Human Resource Development Review
  →http://faculty.okstate.edu/ahrd/
 □Journal of the Learning Sciences
  →http://www.isls.org/
 □Annual review of psychology
 □Journal of applied psychology
  →http://www.apa.org/journals/apl.html


2004/03/19 会合

 この2日間、ある会合に参加していた。それが何であるかは、この場では言えないが、僕にとって、とても勉強になった会合であった。

 研究的に実りがあった。なるほどね、と深くうなずいてしまうこと思うこともあったし、発見もあった。また、その会合の運営の仕方からも学ぶべき点が多かった。

 この場を借りて、この機会を与えてくださった皆さんに感謝したいと思います。ありがとうございました。


2004/03/18 インターネット高校

 「株式会社による学校設立」の教育特区に、石川県美川町が内定したことで、オンライン学習だけで、高卒資格をゲットできる高校が出現するそうですね。

 インターハイスクール
 http://www.inter-highschool.ne.jp/

 アットマークラーニング
 http://www.at-learn.co.jp/

 どのような学生がここに集い、どのように勉強するのか、僕としては、興味津々です。おそらく、学校にいきたくてもいけない不登校の子どもたちが、主な学生になるのかな、と思いますが。

 が、それはとても大きなニュースなのだけれども、もう少しマクロな目でみると、「株式会社による学校設立」が部分的に許可されはじめたということでしょうか。これは教育界にとってみれば、ものすごく大きな出来事だと思うのですが、それにしては、この問題に対する世論の盛り上がりは今ひとつですね。

 ずっとずっと前から、教育学者たちはこの問題に警鐘を鳴らしてきました。しかし、たとえば、一番の関係のありそうな小学校、中学校、高校の先生方からあまりこの問題が語られることは少ないような気がします。

 あまり気になることでもないのかな?、現場の先生方にとっては。


2004/03/17 リーダーシップ

 最近、とあるところから、「海外大学院における「リーダーシップ」に関連するカリキュラムについてざっくりさくっと調べてくれませんか」という依頼があって、少し興味もあったし、勉強になるかな、と思い、引き受けることにした。

 早速、スクールリーダーシップがご専門の佐藤くん@ハーバード大学や、MITの客員研究員の同僚たちに相談し、彼らが世界各国のいろいろ情報を提供してくれたおかげで、何となく大枠がぼんやりと見えてきたかな、というところである。ありがとうございました。

 うーむ・・・なるほどね・・・この領域も、オモシロイねぇ。
 とてもオモシロイ。

 まずね、「リーダーシップ」とか「Leading」という概念がさ、日本の教育界には、なかなかないのだと思うのです。

 いやいや、もちろん、全くないわけじゃないよ。

 たとえば、日本でも「教育改革には学長 / 教育長のリーダーシップが重要」とかいう議論はなされます。特に、「地方に対する権限委譲」や「教育の市場化」が進んでいる教育界では、よくこういう鼻息の荒い議論を耳にします。そう結論づけとけば、否定はされないからね、「ふーむ、確かにそうだわな」ってことで終わるから、安易に語られることも多い。

 だけど、それ以上、具体的なものは何もないんだよね。そこには「そうですよね、おっしゃるようにリーダーシップって重要ですよね、でも、そりゃわかってますよ、で、具体的にどーすりゃいいのよ?」って思わずツッコミを入れたくなるようなスキがあります。

 ビジネスの世界では、この領域の先行研究はものすごく多い。組織がかわるためには、、リーダーシップをもとにしたシステマティックなアプローチが重要であーる、というような前提がそこにはある気がします。だから、リーダーシップは「育成されるもの」だ、という考え方が浸透している。どこで、どうやって「育成される」か、という問題に関しては非常に論争があるね、だけど、少なくともそれは育成されるものだってみんな思ってる。

 だけど、教育界においては、そういう考え方があんまりない。「育成される」というよりも、「カリスマ」っぽくとらえられている。「ある日突然、スゴイ人が赴任してきて、いくなり辣腕をふるいはじめちゃったー」みたいなイメージ。システマティックというよりは、「有無を言わせぬ必殺トップダウン」的概念ていうのかな。

 でもね、アタリマエのことですが、リーダーシップは育成されるものなのです。
 つまり「学ばれるものだ」ということです。

 どうやって学ばれるかについては、さっきも言ったけど、非常に多くの理論があります。それは今ここでは話題にしません。でも、学ばれるものだということは、当然、海外大学院とかでは、それがカリキュラムになったり、短期プログラムになっているんだねー。

 下記は、ハーバード教育大学院関連の「リーダーシップ」関連プログラムのリストです。ちゃんとお金をとって、教師を集め、リーダーシップについて、教育について学んでもらう機会を提供しているわけですね。

Harvard Change Leadership Group
http://www.clg.harvard.edu/index.php

Harvard Change Leadership Group Change Leadership Groupプログラム
http://www.clg.harvard.edu/programs/03-04_CLG_brochure_final.pdf

HGSE Programs in professional development
http://www.gse.harvard.edu/ppe/index.html

 こちらは研究プロジェクトのリスト。

Harvard Public Education Leadership Program
http://www.hbs.edu/socialenterprise/pelp/

Harvard Social Enterprise
http://www.hbs.edu/dept/socialenterprise/

 いろいろあるよねー。これらについて、Webでは一通りみたけど、詳しいことはまだ全然わからないから、今後、調査しなきゃね。シラバスとかにリーディングリストもあったので、ざっくり注文した。いや、こういう開墾的作業のは、楽しいねー、快楽だねー。

 ていうのはね、僕ね、今日、久しぶりに「つながった」感じがしたわ、MITの同僚にもらった文献読んで。それはleading school reform in higher educationが主題の文献だったんだけどね。論理の展開の仕方が、これまでいろいろ読んできた文献にとても似てるし、そもそも引用文献が同じなわけよ。

 ここにきて2ヶ月、少しずつ調べてきたいろいろな「異なった」領域に住むオトナたち・・・たとえば、企業の人材育成担当者、大学のアドミニストレータ、K-12の教師たち・・・彼らみんなオトナですが、これらの人々の学びに関する理論は、結局は、つながってるんだわ。すごく全く異なった領域に思えるけど、みんなつながっているのです。

 ふふふふふ・・・「どらえもん笑い」を思わずしちゃうほど、今日は愉快だねー。

追伸1.
ひとつ分からないのは、教師教育での接合です。つまり、そこでずーっと言われている「同僚性」「反省」とかの概念との関係がわからない。しばらく教師教育の文献は読んでないから、今のトピックがどこにあるのか、正直言ってわからない。どなたか教師教育が専門の方、ご教示ください。お願いします。


2004/03/16 シンガポールとMIT

 今日はSingapore-MIT Allianceのことで、ラーマン先生にインタビューさせていただいた。ラーマン先生は、このアライアンスのDeputy directorをつとめる。インタビューには、田口さんも参加してくれた。

 この日記では何度もでてきているけれど、Singapore-MIT Allianceは、シンガポール国立大学、ナイヤン工科大学、MITの間でむすばれたアカデミックアライアンスのこと。高速回線を使って、MITの授業をシンガポールでも受講できるようにするという遠隔教育プログラムである。教育だけでなく、共同研究も行われている。

 シンガポール・MITアライアンス
 http://web.mit.edu/sma/

 MITの木陰から
 http://news.kyodo.co.jp/kikaku/mit/

 近年、日本でもアジア各国を対象とした遠隔教育の実施を模索する動きが、いくつかある。そのほとんどは現在のところ実験的プロジェクトであるが、本格的に学位や単位をだすプログラムは、どのように運営され、どのような成果をだしているのだろうか。このような興味関心から、今日のインタビューを行う運びとなった。

 以下は記録である。

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■Singapore-MIT Alliance(SMA)の概要
 →シンガポール国立大学、ナイヤン工科大学、MIT
 →シンガポール側のヘッドクォータは、ナイヤン工科大学
 →1998年に開始された。
 →当時、シンガポール政府からデリゲーションがあり、2年かけて合意
  【教育】
   ・大学院教育プログラムの提供、5つのプログラムから成立する
   ・下記5つのうち、4つがナイヤン工科大学、1つがシンガポール国立大学に設置
     1. The Advanced Materials for Micro- and Nano-Systems
     2. The High Performance Computation for Engineered Systems
     3. The Innovation in Manufacturing Systems and Technology
     4. The Molecular Engineering of Biological and Chemical Systems
     5. The Computer Science
  【研究】
   ・3大学が最先端の工学研究を共同で行う

■参加する学生
  →ひとつのプログラムに30名から50名の学生が在籍
  →修士号と、博士号取得が可能。学位取得はシンガポールの両大学から、MITからは修了証がでる
   →修士号取得者は、ピーク時で年間200名
   →博士号取得者は、年間数名
→学生の35%から40%がシンガポール人、残りは中国・マレー人など
 →非常に人気が高い
  

■修士号の取得まで
 →1年間で取得可能
  ・6月にシンガポールで事前オリエンテーション
  ・7月に3週間MITでオリエンテーション、授業
   →1週間はオリエンテーション
   →2週間はインテンシブに授業を受講(サマーカンファレンスと呼んでいる)
  ・あとはシンガポールで遠隔教育を受講(8月から翌年5月まで

  ・毎年12月にはシンポジウムがある
  
  
■ 学習活動の実際
   →遠隔授業(ライブ授業:Live classroom=ビーミィング:Beaming)は8am、8pmに受講
   →それ以外の時間は、学生はオンキャンパスで過ごす
     ・現地の教授とのミーティング
     ・ホームワーク
     ・現地の教授のラボに通って実験
      →リサーチペーパを書く
   →毎年12月に開催されるシンポジウムで、すべての学生は自分の研究発表をするよう促される
 →学生のすべての費用はシンガポール政府が負担する
  ・生活費
  ・渡航費
  ・学費

※SMAでは、現地とMITのファカルティが共同で学生の教育にあたる
  

■シンガポールの背景
 →資源をもたないシンガポール、経済はすべて優秀な人材と知識に依存
  →なんとしても優秀な人材をシンガポールにとどめたい
 →シンガポールの費用負担
  ・年間20万ドルをMITに支払う
   →政府、各大学、国立研究機関が折半して拠出
  ・年間10万ドルをこのプログラムの学生たちに支払う
 →シンガポール国外からきた学生の70%が、学位取得後、シンガポールに在住
  

■それでは、シンガポールが、なぜ、MITを選んだか?
 →授業とファカルティのクオリティが高いから
  

■授業はどのように行われるか?
 →シンガポールとMITの時差は11時間。故に、毎日朝7時、夕方7時から講義開始
 →講義には、MITの学生も参加している。ほとんどの授業はそれをそのまま送信
  →送信には高速回線を使用
 →そのほか、Stellarなどのコースマネジメントシステムも使用されている
  

■実施スタッフ
 →18名のスタッフが在籍
  ・Webデザイン、ビデオ管理など
 →それぞれのジョブディスクリプションに従って職務を遂行
   →その中には、AMPS(MITのテクニカルスタッフ部門)のスタッフも含まれる
  ・3名のファカルティリエゾンがいる
   →ファカルティの相談に1対1でコンサルテーションを行う
   →ファカルティリエゾンにはInstructional Designの専門家を雇用
    →いわゆるGeneralなファカルティディベロップメントはない
    →いわゆるGeneralなトレーニングコースもない
    →コンサルテーションモデルによるファカルティ対応
 →費用は年間1万5000ドル程度
  

■MITのファカルティ
 →MITとの間にアグリーメントを締結する
  ・年間3週間、1セメスターに5日以上、シンガポールの滞在の義務をおう
  ・インセンティブは下記のとおり
   1. リサーチファンドをMITからもらえる
   2. リサーチアシスタント(ポスドク)の給料をだしてもらえる
    →サラリーは変わらない
  ・授業の著作権はMITに所属する
  

■SMAの評価結果
 →アカデミックアチーブメントはMITの学生と変わらない
  ・テストスコアによる比較
 →発展的プロジェクトの可能性へ
  ・MITの学生と同じ達成度なら、MITからも学位をだすことができる!

 ↓(2005年夏から、SMA2が開始される)
  

■SMA2の特徴
 1. 参加する学生はMITの学位と、シンガポールの学位を2年間で両方取得可能
  →つまり、今度はMITからも学位をだす
    (SMAの結果から、シンガポールの学生の達成度が高かったから)
    →1セメスター+サマースクールをMITで過ごす
     →MITの学位を取得するためには、MITで最低1セメスター学習すること
      は、MITのポリシーである
    →残りのセメスターはシンガポールで滞在
 2. 修士から博士コースにすすむ学生を増やす

 →現在ある5コースを再編し、バイオテクノロジーを含んだプログラムを5本
 もうける
 →どのようなコースを残すかは、コンペティションで決定する
  ・MITとシンガポールのファカルティ、両方でチームを組みプロポーザルを提出
  ・その結果次第で、SMA2のプログラムを決定する

※日本でも最近、上記のようなアカデミックが締結されましたね

東京工業大学 - 清華大学、両者で修士号が取得可能

http://www.asahi.com/science/update/0309/001.html

      

■MITと海外大学のアライアンス
 →現在のところ、他国とのアライアンスの予定はない
  →マレーシア科学技術大学のように、MITがアドバイスとコンサルテーションを
  行うことはありえる

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 インタビュー終了後、田口さんとラップアップミーティング。「リエゾン」の重要性、支援スタッフのジョブディスクリプション、相互の関係性については、さらにディテールを知りたいので、再度、違う人にインタビューにいくことにした。

 また、「eラーニングと組織論」というネタで、某社から出版が予定されている「大学経営戦略本」への共同執筆と、ねがわくば、どこかの学術雑誌に論文を書くことになった。

 さらに情報が必要だ。今後は、1)Harvard Business School関係、2)SMAの実務担当者、3)ニューヨーク大学、4)レズリー大学関係へのインタビューを模索することになった。

 さらに人生は続く。


2004/03/15 講演

 最近聞いた2つの講演。ひとつはMITで行われた「インタラクティブテレビのインタフェース」についての講演。もうひとつは、ハーバード大学教育大学院で行われた「CNN Student Burea」についてのもの。

 以下、2つの講演のメモを公開。

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Interactive television
Josh Bernoff @ forrester research
http://www.forrester.com/

■現在のInteractiveテレビのインタフェースはどうよ?
・デジタルケーブルのインタフェースはイケてない
・オマケにリモコンもイケてない
・オマケにリモコンのマニュアルもイケてない
  →テレビを見るユーザの「目的」を支援することにことごとく失敗している

↓(どうやってインタフェースをデザインするか?)

■シナリオデザインが必要だ
・シナリオデザインは3つの問題に答えることが必要
 1.あなたのユーザーは誰か
 2.あなたのユーザーのゴールは何か?
 3.ゴールを達成するためにどのように彼らを支援すればよいか?

・パルソナ(Personas)の手法
 人々を観察することによってユーザの目的、態度、行動
 を決めていくこと

 ↓(ところでところで)

■テレビのインタフェースデザインには、特定のニーズがある
・展開されるインタラクションは乏しい
・達成されるタスクは限られている
・ユーザーはすぐにあきらめてしまう

 ↓(じゃあ、どうデザインするか?、その方針は?)

■テレビジョン・インタフェースのデザイン原則
1.人々が望むことをできるようにすること
 →人々がテレビでしたいと思うことを調査した
 →その結果は下記のとおりである。これは工学屋の予想を裏切るものだった
 
 1. コマーシャルをスキップすること
   2. 他の番組を見ているときに、裏番組を見ること
   3. ライブのテレビをポーズさせること

  →テレビの開発者たちは、次世代のテレビを考える際に、
  ユーザは「テレビでゲームをしたいハズだ」とか、「インターネットがしたいハズだ」とか、
 考えがちであるが、 そういうことを人々は全く求めていない

  →「Actually, Who wants?」って聞くことが重要だ

2.一般性があること
3.リモコンとテレビ画面を使うこと
4.シンメトリーなデザインにすること
5.Avoid second-system syndorome
 →すべてできるけど、わかりにくいインタフェースを避けること
6.Detail matter
 →ディテールにとことんこだわること

↓(これらのことをふまえて)

■僕たちはTivoというシステムをつくった
・トップには人々がよく思う項目をトップの配置
・操作は、「上下」「決定」「前へ戻る」「先へ進む」が中心
 →ちょうどWebと同じような感じ、シンプルな操作
 
→確かに使いやすそうだ(Jun)、PS2的な使用感と思われる

※この講演会ではもうひとり講師がいましたが、他会議出席のため中座しました。



講演会の様子

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Constructing Media : Student Making news
John Richard
http://cnnstudentnews.cnn.com/fyi/interactive/student.bureau/about.sb/what.is/student.storypage.html

■自己紹介
・Johnさんは、PBSやDiscovery、CNNなどに関連するプロジェクトを行っている
 →教師トレーニングのコンサルテーションなど...


■本プレゼンテーションの概要
・CNN Student Bureauは、下記を活動の中心においている。
 →「生徒が自らの視点からニュースをあつめ、ストーリーをつくり、 レポートすること」
・つくったドキュメンタリー番組は、CNNで放送される。


■裏側に見えるCNNの危機感
・CNNを見る人々の平均年齢は65歳である。
→若者をターゲットにできてない
・ある若者へのインタビュー
「テレビを見るくらいなら、Webで調べればいいし。
テレビニュースはわたしの知りたいものを提供してくれないわ。」


■CNN Student Bureau
・750の高校、大学が参加
 →49州、55の国々から
・これまで400本の番組がつくられている
 →デモでは、学生の目からつづった北アイルランド紛争が紹介された

■Jun Memo
 CNN Student Bureauの活動には、いくつもの学習の機会が含まれているように思う。たとえば、下記のとおりである。

1) CNN Student Bureauに参加した学習者Aが、CNNのスタッフとニュースを構成するにあたり獲得するであろうメディア操作技能、メディアに対する理解

2) CNN Student Bureauに参加した学習者Aが、ニュースを構成するにあたり獲得するであろう、ニュース素材そのものに関する知識

3) CNN Student Bureauを視聴した学習者Bnが、番組を見ることで獲得するであろうニュース素材にそのものに関する知識

4) CNN Student Bureauを視聴した学習者Bnが、学習者Aのニュース構成プロセスを知ることができたとすれば獲得できるであろうメディアに対する理解

5) CNN Student Bureauを視聴した学習者Bnが、番組を見たことで行うことが期待される発展的な学習

 学習者の方だけにフォーカスしても、少なくとも上記のような学習要素が含まれている。CNNスタッフの方の「学習」まで含めれば、より豊かな学習機会が含まれているだろう。

 しかし、本報告では、この試みの「目的」が明示されていなかった。レポータ役の学生と、視聴者の学生、スタッフ等から構成される循環的な学習モデルも想定されていなかった。

 別に研究として成立するか、しないか、とかそういうこと言いたいわけではない。でてくる番組のクオリティも非常に高いし、活動としてオモシロそうだ。

 だけれども、この番組の質をより向上させたり、持続可能なものにしていくためには、「何がきっかけで、どんな出来事が起これば、この試みは成功したと言えるのか」を把握しておくことが必要だと思った。

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追伸1.
 MIT Worldに、チョムスキーの講演がアップロードされていました。

 MIT World
 http://mitworld.mit.edu/

 この講演を見ていたら、少し前に、東大の同期生からこんなメールをもらったことを思い出しました。チョムスキーと同じように「市場主義批判」「グローバリズム批判」を行っていたピエールブルデューが、丁度、亡くなったときのことでした。

「グローバリズムや市場主義を「時代の流れ」だとして正当化するのは、その影響によって生活が脅かされる危険の全くない者どもである。」

(2002/1/24 M)

追伸2.
 実験計画の件で、望月君、八重樫さんらとテレビ会議。時差があるので少しだけツライが、有意義な議論ができたのでとてもよかった。1ヶ月後に、また会議を行い、そこで最終的な研究計画をフィックスすることになった楽しみだ。

テレビ会議


2004/03/14 朝おきれば

 昨日、ケーブルテレビで「Sister act2」を見た。
 邦題は「天使にラブソングを2」。ウーピー=ゴールドバークが主演の、ちょっと前の映画です。

 で、その中にとてもいいなと思ったセンテンスがあったので、忘れないうちに書いておこう。ウーピー=ゴールドバーグとの確執から、コーラスグループに入ることを拒否しているものの、将来はシンガーになりたいと思っている、ちょっとふてくされた女の子(ちなみに、演じているのはローリンヒルだ)に、説教をするシーン。

モノカキになる人間ってのは、「モノカキになるためにはどうすればいいですか?」なんて、人に聞いたりしないヤツなんだよ。朝、目覚めたとき、モノを書くこと以外にやりたいって思うことがなかったら、そいつは、もうモノカキなのさ。アンタも、朝、起きたとき、歌いたいってまっさきに思うんだったら、もうあんたはSingerってことなんだ

(Sister act2 : scriptより)

 ちょっと英語力に問題があるし、ワイン飲みつつ映画見てたから、このままのことを言ったかどうかは心許ないんだけど、たぶん、こんな感じか?、間違ってたらごめん。まーいいよ、感じてくれ。

 それにしても、おっしゃるとおり。
 そういうものなんだろうなと思う。


2004/03/13 アヌチャイ先生

 今日は、ホンマ、よー働いたわ。疲れたけど、なんだか爽快感があります。結構収穫あり。でも、もう眠たくて狂いそうなので、詳細はまた今度書きます。

 あっ、そうそう、今日、NIMEに客員研究員として6ヶ月間滞在していらっしゃったアヌチャイ先生@チュラロンコン大学と何度かメールをしました。アヌチャイ先生とは、僕がNIMEにいるとき、ランチによくいったし、お話もしました。僕とおそらく年齢があまり変わらないと思われ、短い間でしたが、仲良くなりました。このたび、6ヶ月の滞在期間をおえて、4月にご帰国するそうです。

 久しぶりにお互いの最近の近況を話したあとで、アヌチャイ先生が帰国の際にご家族と「鎌倉」「箱根」にいかれるというので、少し僕の知っている情報をシェアしてあげました。サクラもみたいということだったので、「千鳥ヶ淵」をおすすめしたけど。

 うーん、手段がメールしかないから、YahooのMapのURLを使って場所を教えたけど、アヌチャイさん、わかってくれたかなぁ。

 この日記を見ていらっしゃると思われるNIMEの方々にお願いがあります。是非、アヌチャイさんに、「鎌倉」「箱根」「さくら」の情報を教えてあげてください。どうかよろしくお願い致します。


2004/03/12 ロスト・イン・トランスレーション

 僕が渡米した直後の1月頃なのかな。以前、こちらで少し話題になっていた映画「ロスト・イン・トランスレーション」を、ついに見た。

 Lost in translation
 http://www.lit-movie.com/

 この映画のあらすじは、だいたいこんなところだろうか。

 CMの撮影のため日本(パークハイアット東京)に滞在している俳優と、カメラマンである旦那の仕事の都合で滞在している女の子。彼らは理解不能の日本文化に戸惑い、眠れぬ夜を過ごしている。次第にひかれあう二人。で、別れ。少し切ない物語。

 個人的には、とてもオモシロク見ました。行ったことのある場所、いつも歩いていた場所が、映像になっていてね、見ていてとてもワクワクする。こちらのアメリカ人さんたちが、どう見ているかは知らないけどね、僕は好きだよ、この映画、雰囲気も。

 中には、日本をやや小馬鹿にするような表現も含まれているけど、僕はそれにいらだちを感じなかった。僕が作り手の立場だったら、演出上、日本での彼らの孤独を表現するために絶対にそうすると思うので、それは致し方ないと思います。

 東京、懐かしい。
 それにしても、スカーレット=ヨハンソン、おぬし、カワイすぎるぞ、しかし。


2004/03/11 国際プロジェクト

 来週、ラーマン先生に「The singapore MIT alliance」のことをお聞きする機会をいただいた。このインタビューには、田口さんも参加してくれることになっている。

 で、その下準備と思って、MITが関係する国際関連のプロジェクトを調べていたら、こんだけ見つけた。これにOCWをたすと、全部かなぁ・・・自信ないけど。それにしても、アライアンスとかInitiativeだらけですね。

 詳しいことはよくわからないが、質問をまとめて次回のミーティングに備えよう。

The singapore MIT alliance
http://web.mit.edu/sma/

 MIT、ナイヤン工科大学、シンガポール国立大学が、最先端の工学教育と共同研究を推進していくというアライアンス。1998年に開始された。最先端の遠隔教育テクノロジーを駆使し、1000名をこえる学生に授業を行ってきた。同期型のテレビ会議システムと、非同期のコースマネジメントシステムを利用して授業を行っている。修士号と博士号のコースがある。

Malaysia university of science and technology
http://www.must.edu.my/

 マレーシア経済を活性化する専門的人材を育成するためにつくられた大学。NPOによって経営。MITのアドバイスとコンサルテーションによって2000年につくられた。現在100名の学生がいる。授業は、バイオテクノロジーやITなど。
 コース素材の多くは、Distance EducationとStellar(MITで使われているコースマネジメントシステム)によって、MITから供給されている。

MIT-Aflica Internet Technology Initiative(MIT-AITI)
http://web.mit.edu/mit-africa/www/home/index.html

 MITの学生が自らアフリカに出向き、現地の人たちにIT教育を行うためにつくられた団体。MITの学生を6週間アフリカにインターンとしておくりだす。彼らがアフリカの生徒や先生たちに、テクノロジーを教える。

MIT Internaional Science and Technology Initiatives in Emerging Country
http://web.mit.edu/misti/www/

 MITの学生たちが、グローバルエコノミーの時代のリーダーシップをとっていくことを目指す教育プログラム群。異文化理解も促す。短期間、学生たちを各国に送り出し、インターンシップに従事させたり、ラボでのWork experienceをつませたりする。インド、中国、フランス、日本などがある。


2004/03/10 Emotional Design

 今年のお正月に出版されたドナルド=ノーマンの「Emotional Design」を読んだ。

 ノーマンといえば、認知科学の生みの親のひとりであり、元・アップルフェローであり、かつ、「誰のためのデザインか?」などのベストセラーで知られるカミサマみたいな人である。

 人間には、Cognitive systemの他に、意志決定に影響を与えるAffective systemがある。道具やインタフェースは、Cognitiveにわかりやすく使いやすいだけでなく、Affetiveに快いものでなければならない。結局、Usabilityとは、Emotionの影響を強く受けてしまうのだ。だから、人工物のデザインは、Pleasurebleで、Funで、Enjoyableなものでなければならんぞ、というのが、本書の骨子であろう。様々な事例や、3種類のデザインモデルなどを用いて、この主題を繰り返し説明していた。

 僕の中で、前作との整合性はまだとれていないけれど、読んでいてオモシロかった。賛否両論はあるだろうが、オモシロイ。まさにEmotionalにDesignされている本である。日本人の研究者の方々が何人も文中で取り上げられていた。

  ちなみに、本書の一番最初にでてくる「決してお湯を注げないポット」が欲しい。

Norman, D. A.(2004) Emotional Design: Why We Love (Or Hate) Everyday Things. Perseus Books Group

Donald A. Norman (著)、野島久雄 (訳)(1990) 誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 新曜社認知科学選書. 新曜社

Donald A. Norman (著)、佐伯胖・八木大彦・嶋田敦夫・岡本明・藤田克彦 (訳)(1996) 人を賢くする道具―ソフト・テクノロジーの心理学 新曜社認知科学選書 新曜社

Donald A. Norman (著)、安村通明・岡本明・伊賀聡一郎(訳)パソコンを隠せ、アナログ発想でいこう! 新曜社


2004/03/09 エリオットハウス

  「明日への希望」に満たされたハーバード大学のフレッシュマンたちを、毎年のように迎えるチャールズ川沿いのドミトリー。その一角にある小さな図書館。これまで幾人もの高名な学者の目にとまり、今は、誰かが手にとってくれることを、この小さな図書館で静かに待つ書籍たち。

 あの書物たちは、きっとこれから何十年という時をこの図書館で過ごし、真新しいノートを抱えた学生たちが勉強する姿を、毎年のように見続けるのだろう。そして、春の到来を感じさせる温かな週末 - ピアノの音色が響く、ちょうど今日のような佳き日に - 窓から差し込む陽の光を、その背表紙に浴びるのだろう。

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 今日、ハーバード大学のドミトリーのひとつであるエリオットハウスの図書館で、各国のフルブライター(フルブライトで留学した人たちのことをフルブライターと呼ぶ。フルブライターの募集は世界各国で行われている)たちが集まる小さな音楽会が開催された。

 フルブライターの中で、ピアノやヴァイオリンなどを弾けるできる方たちがパフォーマーとなり、演奏を行う。日本からは、MITの洋子さんが、「さくら」と「シューベルトのソナタ」を演奏した。とてもステキな演奏だった。

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 演奏会を終え、エリオットハウスを出ると、さっきまでチャールズ川のベンチに座っていたカップルたち、家族連れが、ハーバードスクエアの方に戻ってくるのを見た。チャールズ川の方に目をやると、水面には夕暮れの光が照り返していた。

 綺麗だなぁ 月並みだけど、心からそう思った。いつも通い慣れたマサチューセッツアーベニューから、ほんの少しだけ奥にはいったところに、もうひとつの美しいボストンを見つけた。

 長い冬からはや6ヶ月・・・ボストンに少しだけ早い春が訪れようとしている。

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 ・・・・・と思って一晩寝たら、今日は「猛吹雪」じゃねーか!
 ボストンの冬は長い。


2004/03/08 ルー度

 こちらにきて思うことのひとつに、アメリカ人のオトコたちは、なんて「紳士的な振る舞い」をするんだろうってことがある。たとえば、ドアの開け閉めのとき、次にはいってくる人たちのために、ドアを手で押さえて待っている。エレベータからでるとき、エレベータのドアを手で押さえてまっている。

 はっきりいって、慣れないうちはただただ感心するばかりだった。が、こちらで僕も生活するということは、そうした立ち振る舞いを社会から期待されているということである。今は、ドアの開け閉め、エレベータの乗り降りの際には、かなり気にするようになった。

 もちろん、これは人による。「オマエ正気か!?、人として大丈夫か!?」というような感じの無愛想なオトコたちもいるから一概には言えない。しかし、僕が大学などで接する多くの人たちは、とてもPoliteである。

 僕は反省した。

 うちのカミサンと僕が歩いているとき、彼女は何度鼻をぶつけそうになったことだろう。実際に、鼻にドアがあたったことも一度や二度ではあるまい。

 どうして、そんなことが起こるのか?
 もちろん、彼女の前を歩く僕が、後ろのカミサンのためにドアを手で押さえていないからである。閉まろうとするドアが、後ろを歩き、今、まさにドアを通り抜けようとする彼女に「バシン」とあたる。頭上から「たらい」が落ちてくるわけじゃないが、その状況は、かなり「ドリフ的」だよな・・・いや、笑い事じゃない。

 英語で「不作法」のことを「ルード(rude)」という。不作法さの程度を、今、仮に「ルー度」とするならば、かつての僕は「ルー度満タン、100%」であったかもしれない。

 人はそう簡単に変わることができないかもしれない。が、せめて「ルー度」を20%くらいに押さえたいとは思う。

 ごめん、カミサン。


2004/03/06 マイルストーン

 あと1週間で、「1つめのマイルストーン」だ。
 こちらにきて2ヶ月たつということである。

 渡米前、僕は、9ヶ月の滞在期間の中で3つのマイルストーンをもうけた。各マイルストーンでは、自分の研究目的にしたがって、その期間に学んだ成果を、簡単にまとめようと思っていた。その第一回目のマイルストーンまで、あと1週間である。

 この2ヶ月間、いろいろなことがあった。

 いろいろな人々の助けのおかげで、何とかかんとか住居、研究環境をセットアップし、これまで逢うこともできなかったような人たちと話をすることができた。執筆者たちとメールで連絡をとりながらの作業であったが、本も無事脱稿することができた。すべては、僕を支えてくれた人たちのおかげである。

 生活にはまだまだ戸惑うところもあるし、拙い語学力のせいで人々とのコミュニケーションには苦闘する毎日を送っているが、何とかかんとか、こちらの「生活」に慣れてきた。

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 しかし、僕は「生活」をしにここにきたのではない。
 確かに、生活は研究を支えるインフラである。しかし、それは目的ではない。
 僕は「研究をする」ために、ここにきた。

 否、「研究をする」とは曖昧さを含む物言いである。どのような状態 / 行為をさして、「研究をする」と言表するのかについて、解釈が分かれるからである。

 少し狭めの定義をあてはめるとするならば、研究は「かたち」にならなければならない、と僕は思う。

 「かたち」にするとは、日々、僕の目の前を流れる情報の中から、自分なりに問題に対する解を「inscribe」することであるように思う。inscribeした「かたち」は、はじめてストックされる対象となる。それ以外の情報は、すべてフローし、いつしか忘却のかなたに消えていく。

 幸い、この2ヶ月で、自分がこれから取り組みたい領域の全体像をおぼろげながら理解することはできた。それに気づいたのは、つい先日のことだが、「自分の取り組みたい研究領域」を2次元の空間っぽく把握することができた。

 「これだけがアンタの2ヶ月間の成果かい」、と聞かれると大変恥ずかしいことこの上ないが、第一回目のマイルストーンとしては、これをキチンと図にあらわそうと思う。

 ディテールについては、まだまだ学ぶしかない。

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 東京 - カミサンも数ヶ月後の渡米に備えて、準備をしはじめたようだ。仕事の合間をぬっての勉強は大変だと思うが、大いに楽しんで欲しいなと思う。ウサギを捕獲せよ。

 数年前、学習する組織(Learning organization)という言葉が流行した。

 「学習する夫婦」という言葉は流行しないと確信する。
 が、そうありたいとは思う。 


2004/03/05 パフォーマンス

 Training 2004の会場へ。

Training 2004
   
  

  

Trainingはジョージアワールドコングレスセンターで開催されました。エキスポとの同時開催です。

  

 おもしろかったのは、Performance Improvementのセッション。Performance consultantのDana Robinsonという人の講演で、タイトルは「Transitioning your department to get into the performance businss」。

 僕の貧弱な英語力のせいか、もともとの概念が人によって解釈が違うのか、どうもまだ僕自身わからないことが多いから、あんまり人前で言うのははばかれるんだけど、このPerformance Implovementという考え方は、ホットトピックらしい。

 要するに、こういうことなのかな。

「今まで、みんな評価っていうときに、ラーニングソリューションの評価してたでしょ。でもさー、それじゃ、ホンマに業績(パフォーマンス)の改善につながるラーニングが生み出されているのか、結局、疑問だよねーここはひとつ、最終目標をパフォーマンスにしちゃってさ、それを生み出すシステマチックな方法論、介入を考えましょうや」

 だいたい、こんな前提のもとに、Danaは、その方法論などを語っていました。

 うーむ・・・。

 何となくわかるんだけど、わかんないんだよな、何となく腑に落ちない。この動向については、僕も勉強するので、詳しいコメントはまた今度。・・・なんか、その新しさがわかんないんだよなー。用語がかわっているだけの気がするんだけど・・・。

 まぁ、独りで鼻息荒くして悩んでいるのもどうもな、と思って、隣に座っていたオッサン - この人はコンサルタントらしいが - に話しかけたら、彼は、こんなことを言っていた。

「Who knows! 僕も考えているところさ。でも、この業界、みんな今までシステムとか仕様とかで売り上げをあげようとしてきたけど、次の波はパフォーマンスの評価だよ。重要なのは違いだよ、わかるだろ。ここにいる連中は、そのためのソリューションづくりに関心があるんだろうな」

 あとはモバイル&ラーニング関連のセッションなどがおもしろかった。いくつかの典型的な使用事例が聞けてよかった。

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 ホテルに戻る。

 SITEのポスターセッションでは、下記のような話があったようだ。テレビとハンズオン体験とWebを組み合わせたNASAの科学教育プログラム。

 NASA CONNECT
 http://connect.larc.nasa.gov/

 テレビ番組の方は、PBSで放映されているらしい。

 あと、ポスターセッションでは、PT3(Preparing Tomorrow's Teachers to Use Technology Program)のグラントを受けた発表が多かったようだ。

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 カンファレンス終了後、夕方、ホテル近くにあるコカコーラのミュージアムへ。アトランタはコカコーラの本社があるところです。ここでは、コカコーラのポスター、瓶などが展示されていて、展示の最後には無料で浴びるほどコカコーラがのめます。

 個人的におもしろかったのは、コカコーラのポスターのうつりかわり。最初は、薬として売られていたコカコーラ。どういう人を対象にコーラを売ろうとしていたか、その歴史的変遷がポスターを見ているとうかがい知ることができますね。メディアリテラシーの授業とかの素材に使えそう。

Training 2004
   
  

  

一番最初の頃のコカコーラのポスター。なんだかベルバラ的世界である。なんだか紅茶を飲むようなカップにコーラを入れていたことがうかがい知れる。最初は、そういう飲み物だったのだろうか。

  
Training 2004
   
  

  

コカコーラはやがて、「さわやかなオトコとオンナの子が集う場所でのまれるもの」になり、労働者がリフレッシュするときに飲むものになっていった。

  

 夜、ロビーで食事の待ち合わせ。黒田先生、成瀬先生ほか、東京工業大学の皆さんと一緒に近くのシーフードレストランへ。久松君も合流した。

 レストランでは、東京工業大学の永井先生といろいろな話をした。永井先生が今やっておられるという調査研究が、とてもオモシロク興味深かった。データがもうそろそろでるとのことであった

 永井先生のホームページ
 http://www.ak.cradle.titech.ac.jp/nagai/

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追伸.
 あるセッションに参加していたとき、参加者の誰かが「オーカットが云々・・・」という話をしていたので、早速グーグルで検索したら、こんなのはやっていたんですね。要するに(出会い系サイト=ソーシャルネットワークキングサイトとよぶらしい)なのですが、唯一これまでのものとちょっと違うのは、「参加するためには、既にユーザになっている人からの招待が必要」だってことらしいです。一見さんは、内部で何をやっているか見ることすらできない。要するに、人の縁を利用して「参加者を限定するしかけ」になっている。

 orkut
 http://orkut.com/

 丁度、数日前、「教師のオンラインコミュニティ」の設計について酒井君と話していたときに、「完全にオープンなコミュニティもあるけど、一見さんお断りコミュニティを敢えて設計することもおもしろいよね」、と話していた。タイムリーだったのでびっくりした。まぁ、ある臨界点を超えると、爆発的に広まっていくと思うので、その設計が意味をなすのは、最初だけかもしれないけれど。

 どなたか、ワタクシメをOrkutに招待していただけませんでしょうか?


2004/03/03 へーきのへーちゃん

 早朝起床。このところ運動不足なので、部屋でエクササイズをする。ちゃっちゃっとシャワーをあび、近くのフードコートへ。ベジーラップ(野菜巻き)を食べる。

 Trainng 2004の会場へ。朝一番は、ウィリアム=ホートン(e-learning specialist)のセッションに参加。

 ウィリアム=ホートン
 http://www.horton.com/

 人を引きつけるラーニングサイトのデザインについて、いろいろな事例を引用しつつ、語るみたいな話だったが、今ひとつ。僕が思うに、その原因は、ラーニングサイトを語るときの、語り口にあるのではないのかな、と思いました。

 結局、ラーニングサイトのデザインというのは、コンピュータの機能を説明するだけでは、十分でなく、それが使用される物理的状況、またそれが使用される活動の流れ、などと切り離して考えることができない。「こんなデザインもある」「あんなデザインもある」と言われても、そのデザインが「生きてくる場所」や、そのデザインがそもそも対象としていた「学習者が見えてこない」から、聞いた人には、どうしてもMake senseできないのです。近くにいたアメリカ人さんとも、セッション終了後、感想を言い合いましたが、同じ事を言っていました。

 今回のセッションからは少し離れますが、このことからはかなり重要な示唆が見て取れるような気がします。より広く考えるならば、「テクノロジーで支援されたラーニング」についての語り方っていうのかな・・・。

 「テクノロジーで支援されたラーニング」を、「どのような視座から(what kind of the point of view)」、「どのように見て(How to observe)」、「どのように記述し(How to describe)」「どのようにレポートするか(how to report)」・・・ちょっとうまい言葉では言えないけれど、そういったもののコンセンサスが必要なのかな、と思います。そうでなければ、吟味するに値する事例が蓄積しないと思うんですね。

 このカンファレンスに参加しての全体的な感想ですが、もう「テクノロジーの新奇性だけに焦点をあてたような議論」や、「テクノロジーの細かな仕様に関する議論」は、非常に少なくなっているように感じます。ほとんどなされていないといっても過言ではないかもしれない。これは同時に開催されているエキスポのエキシビジョンを見ても、そう思います。

 「テクノロジーを使って生み出されることが期待されている出来事」ではなくて、「ローテクでもいいから、全くそんなことは気にしないから、ほんとうにおこった出来事のディテール」をみんな知りたがっているような気がする。

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 今日はいろいろなセッションにでましたが、よかったのはIBMのセッション。「Effective blended learning strategies for the develpment of manager」というタイトル。

 要旨を簡単にいうと、以下のようになります。

「現在は、Winning the talentの時代だよねー、そんな中で必要なのはマネージャクラスの人材をどう育てるかってこと。で、IBMはこんなソリューションを考えちゃいましたぁ」

 って感じ。

 このソリューションは、かつてIBMで使われていたもので、今はカスタマイズしていろいろな会社に売られているんだって。

 この日は、1000名の全米各地に散らばっているマネージャに対して、1年間のプログラムを提供しているある会社の事例が紹介された。

 僕としては、この話はもともと知っていた話だったのですが、より詳細な様子がわかってよかったです。こういうものを、どのようにクライアントとコラボレーションして開発していくが聞けたのがよかった。専門性をもった人たちが、それぞれに役割分業しているんだねー、ほほー。

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 それにしても、英語力のなさを痛感しました、今日は、久しぶりに打ちのめされた。

 もともと国際会議ではないので、みんなネィティブスピーカだから、話されている英語はむちゃくちゃ早い。で、講演の最中でも、「さー、みんな立って、3人で組になってこの問題について議論してー」とか、へーきのへーちゃんでディスカッションが促される。頼むから、それだけはやめてくれー。ひえーって感じです、青ざめちゃう。

 だって、この会場にいる誰一人として、このような場に「英語に困難を感じているヤツが紛れてる」なんて思ってないから、容赦なんか全くない。ネィティブが2人の中で発言することは異常に困難、聞き取ることことさえかなり困難・・・。

 あのね、今まで全く思わなかったけど、僕の住んでるケンブリッジの英語ピーポーたち、チミたちはみんな、優しかったのだね。英語が困難な人たちに対して、まだ寛容なんだなぁと思います。さすがに、ケンブリッジは留学生とか客員研究員とか多いから、みんな慣れてるんだろうなぁと思いました。

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 はぁ、もうこっちにきて、1ヶ月半なんだよなー。
 随分早いことですわね。

 ・・・まー、イジけてもみっともないし。
 まー、しゃーないわな。
 
 そして苦闘の人生は続く。

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追伸.

よい文献を手に入れました。ひとつは企業内教育関係のハンドブック。ひとつは、トレーナーを育成するトレーナーが使う教科書とハンドブック。全部で3万円だったけど、投資だと思って買った・・・それにしても高い・・・トホホ・・・絶対回収したる。


2004/03/02 知見

 2月29日

 我が家で「石狩鍋」を囲んだホームパーティ。とても楽しい時間を過ごした。途中で韓国の飲み会慣習「爆弾」がはじまり、途中でややボミット系になった人もいたが、無事、全員を帰し終了。(ちなみに爆弾ゲームをはじめたのは僕じゃないぞ、そこんとこよろしく)

Party@Nakahara's house
   
  

  

左の写真は八重樫さん。中央のアイゼアが「かんぱーい」を連呼しはじめて大変なことに。

  

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 3月1日

 朝7時の飛行機で、酒井君、八重樫さんとともにアトランタへ。お昼ゴハンを食べ終わって、さー、そろそろカンファレンスにでもいくかと思っていたら、奈良教育大学の小柳先生に出会い、夕食をご一緒することになった。

 Information Technology & Teacher Educationがテーマの「SITE2004」にでている酒井君たちとは違って、今回、僕は「Training 2004」というカンファレンスにでています。要するに、「企業内の人材育成」に焦点をあてたカンファレンスだね。

 SITE 2004
 http://www.aace.org/conf/site/

 Training 2004
 http://www.trainingconference.com/

 で、いくつかのセッションにでました。

 うーん、なるほどねー、学会異なればここまでまた雰囲気も異なるとは。発表を行うカンファレンスではないからねーここは。「勉強しまっせ」という姿勢というのかな。みんな、講演者の話に熱心にメモをとっています。

 今日、印象に残っている発表は、企業内教育の実践と理論についての発表。このセッションを一言でまとめると、こんな感じ。

「実践家がアタリマエだーと思っていることでも、それを裏切る研究知見はあるんです・・・ちょっとみんなで見てみましょうか・・・ほーら、常識とは違う重要な研究知見がこんなにあるじゃあーりませんか」

 このセッション、いろいろな先行研究について知ることができたのはとてもよかったと思います。なるほどねー、そういう領域でも研究されていましたか・・・という感じです。

 でもね、なんだかさ、このプレゼンターの背後仮説である「研究者がまとめた論文=いつでもどこでも同じ結果が得られる=実践家はそれに従えばよい」っていうのは、ごめん、悪るいんだけど、あまりにプリミティブすぎる。

 研究が、コントロールされた環境下において行われる限りにおいては、そのような「傾向」があるかもし、そうした研究は重要だと思います。

 でも、企業内教育現場で実践家がどう振る舞うべきか、といった課題の場合、研究知見をすべて手放しでは信じることは困難に思います。ぶっちゃけていいますと、実践家の常識を支える知見も、それに反する研究知見も、両方でちゃうと思います。それは研究者の不誠実からそういう曖昧さが残るのではなくって、研究対象の特性です。

 たとえば、企業内教育の場合、労働者の気質、人種構成、背景知識、企業の規模、めざすべき目標、コンペティター、企業文化・・・etc。様々な変数の中で、実践家は教育を行おうとしている。彼らにとって有益な研究知見とは、どのようなものなのか・・・古くて新しい問題にここでも出あってしまいました。

 明日も楽しみです。
 おーそうだ、SITE2004については酒井君が毎日レポートをしてくださるそうです。「シュンスケがのぞいたSITE」をお楽しみに。

 追伸.

 夕方、カンファレンス終了後、近くにあるCNNセンターにいってきた。ここアトランタは、CNNの本拠地があるんですね。スタジオツアーに参加したぞ。CNNヘッドラインとか、CNN大統領選とかのスタジオを真上から見られて、なかなかおもしろかったです。

CNN
   
  

  

右は今日のアトランタ。だいたい12度くらいかな。ボストンとは違ってかなり温かい。右はCNNのスタジオツアーで展示していた衛星通信キット。これを使って、世界中どこからでもライブ中継を可能にする。

  

 NAKAHARA,Jun
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